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お金の考え方と心を磨く、マネーセンス・トレーニング。ウォーミングアップ編「お金を知る」

  • 2026.8.4

センスは持って生まれるものと思われがちだが、こと“マネーセンス”はトレーニング次第で身につけられるもの。体作り同様、大切なのは日々の鍛錬の積み重ねだ。お金のプロ・泉正人さん監修の下、お金のセンスをゼロから磨き、鍛え上げるメソッドを伝授。筋トレのごとく、まずは一歩一歩やっていこう!

illustration: mabo / text & edit: Yuriko Kobayashi

mabo イラスト/②お金のことは右脳と左脳で考える
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お金を知る

肉体改造を目指すなら、まずは体の仕組みを知るのが基本。同様にマネーセンス・トレーニングにおいても「お金」とは何かについて考え、知識を得ることがゴールへの第一歩となる。お金は毎日の生活や人生と切っても切り離せないものだが、専門的な教育を受けずに社会に出てお金生活をスタートさせた人も多いはず。前提知識なしでなんとなくお金と付き合っていると、誤った認識のままマネーセンスは低下していく。

まずはお金の持つ機能やそれらとどう賢く向き合っていくべきか、その際のマインドセットについて学び“お金脳”をほぐしていこう。

①お金の持つ3つの機能を理解する

最初に知っておくべきはお金の3つの機能。経済学では「交換」「尺度」「貯蔵」と呼ばれるが、まずは買い物を例に想像してみよう。店で「これ欲しい!」と思ったら、お金を出してその品物を入手できる機能が「交換」だ。「尺度」とは、あらゆるモノやサービスの価値を“金額”という共通の物差しで測り、比較できるようにする機能のこと。

例えば1個100円のリンゴと1,000円のリンゴだと、後者の方が高価値とわかる。このように価値を金額という数字で表すことで、ある程度安心してモノやサービスとお金を交換できる。同時に共通の尺度で価値を測ると、次第に“相場”が見えてくる。「この条件でこの金額は高い」「逆にこれはお値打ちだ!」といった比較もしやすくなる。3つ目の機能である「貯蔵」は、将来のために貯めておけるというもの。肉や魚などと違い、お金は時間が経っても腐らず、そのまま保管し備蓄しておけるからだ。

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マネーセンスアップの秘訣は、これらの機能を上手に掛け合わせること。投資の場合、株や不動産など、今後価値が上がりそうと思う資産を「尺度」で判断して選び、「貯蔵」していたお金と「交換」して増やしていく。お金の機能を賢く使えば、お金のセンスは磨かれていくのだ!

②お金のことは右脳と左脳で考える

お金を機能として捉えると、無機質でドライな印象を持つ人もいるだろう。だが一方で、お金にはウェットな側面もある。例えば、誰かを手助けした時、“心づけ”をもらうと温かい気持ちになる。逆に支払ったお金をぞんざいに扱われたりすると、嫌な気分にもなる。どちらも「交換」の機能が働いているだけなのに、どうして⁉

それは、お金が人間の感情と強く結びつく性質を持っているから。お金を機能として捉えるのが“左脳的”だとしたら、お金と感情を結びつけるのは“右脳的”な感性。この両極的なお金の捉え方は、一方に偏るとバランスが悪くなる。

左脳だけだと「お金しか信じられない」、右脳に偏ると「お金の話ばかりするのは下品」となりがち。本来お金は、上手に使えば人生を豊かにしてくれるもの。センスのいいマネーパーソンになるには、右脳と左脳をバランスよく使い、ニュートラルにお金を捉えることが重要なのだ。

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③お金の行き先を見通す視点を持つ

「お金は使えば減る」。この思い込みから脱却することも、マネーセンスのアップには欠かせない。たしかに手元にある100円でリンゴを1個買うと、お金はなくなる。リンゴを食べ終えたら手元には何も残らない。だが100円でリンゴの苗を買ったらどうだろう?

100円はなくなるが、庭に植えたリンゴの木がすくすく育ち、数年後に10個の実がなったなら、100円が1,000円の価値として手元に戻ったことになる。経済学ではリンゴ1個を買うことを「消費」、リンゴの苗を買うことを「投資」と言う。毎年多くの実をつけるリンゴの木は「資産」であり、支払ったお金よりも高い価値を還元してくれる可能性がある。

「お金とモノを交換する」という同じ行為でも長期的な視点で見ると、結果が大きく異なるのだ。自分が使うお金がどこへ行き、どう変化するか。その視点を持っていれば、「消費」と「投資」の線引きができ、賢くお金を使えるようになる。

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④お金の裏にある物語を読む

お金の持つ「尺度」という機能はモノの価値を測るのに有効だが、お金のセンスがある人は、金額が示す価値に加え、その裏側の流れを読む力を備えている。例えば北海道産の米を使ったおにぎりがコンビニで200円で売られていたとする。

一方、同じ米を使った50年続く手作りおにぎり店では600円。食べてみないと味の違いはわからないが、あなたは後者の店主が毎日心を込めて、丁寧に米を握っているのを知っている。「高いけど、おにぎり店で買おう」と思う時、あなたはその店が持つ個性やストーリーにお金を払っている。それは味や価格では測れない尺度で、美意識とも言い換えられる。

「味にさほど差がないなら1円でも安い方を選ぶ」という感性も時に大切だが、世の中のモノやサービスの裏にある美しい物語を読み取れたら、人生はもっと楽しく、豊かになる。お金を使うことを通して美意識を磨くのもまた、重要なセンスの一つだ。

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⑤お金に支配されない“閾値(いきち)”を知る

稼げば稼ぐほど、お金に執着してしまう……それは人間の性(さが)かもしれない。収入が上がればもっと広い家に住み、いい車に乗って、と贅沢したくなる。そのうち「もっと」とドライブがかかると、気づけば健康を害したり、周囲の人との関係が破綻したりもする。幸せになるためにお金を稼いでいたはずなのに、それでは本末転倒だ。

人はお金に支配されやすい生き物。そうならないために大切なのは、自分の“幸せの閾値”を知ること。上を目指せばキリがないが、人にはそれぞれ「自分にはこれくらいがちょうどいい」というレベル(閾値)がある。

人と比較したり、見栄を張ったり、閾値を無視して上を目指したりするのはナンセンス。お金に魅了される瞬間は誰にでも訪れるが、幸せの閾値以上を求めても、たいていそれ以上の幸福感は得られない。自分の“心地いい”を知り、それに見合ったお金との付き合い方をするのがヘルシーだ。

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