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事故で意識不明の重体となった弟→代わりに“140万円”の医療保険を請求しようとするが…50代兄を待ち受けていた“予想外の壁”

  • 2026.10.5
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

元金融機関OLでFPのかきまりです。

ある日、バイクで転倒し、意識不明の重体となってしまったAさん(40代男性)のお話です。

Aさんには妻と小学生の子どもがいましたが、妻との折り合いが悪く、1年前から賃貸住宅を借りて一人で暮らしていました。離婚についても話が出ていたといいます。

事故から約10カ月。Aさんには少しずつ回復の兆候が見られていたものの、いつ意識を取り戻すのかは分からない状況でした。

その間、Aさんの実の兄が職場への連絡や入院の手続き、賃貸の支払いなど、さまざまなことを担っていました。

「せめて医療保険を請求できれば、今の状況を少しでも改善できるのに」

そう考えた50代兄でしたが、思わぬ壁に直面することになります。

医療保険を請求したくても、指定代理請求人は「妻」

Aさんが加入していた医療保険は、入院は1日1万円を120日まで保障するもので、入院中の手術については入院費に対して20倍の保障となるものでした。

Aさんは120日以上入院をし、事故当時意識がない中で手術も受けていたため、最低でも140万円ほど受け取ることができると兄は考えました。

また、この医療保険には指定代理請求の制度がありました。

指定代理請求とは、被保険者本人が病気や事故などによって自分で保険金や給付金を請求できない場合に、あらかじめ指定された一定の範囲(一般的に三親等)の親族が本人に代わって請求できる制度です。

ところが、Aさんの契約で指定代理請求人として登録されていたのは、別居中の「妻」でした。

そこで兄は、Aさんの妻に連絡を取ろうとしました。

しかし、メッセージは一度既読になったものの、その後は連絡を完全にシャットアウト。

何度連絡しても、まったく取り合ってもらえない状況になってしまいました。

銀行に相談しても「成年後見人を立ててください」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

困ったのは、保険だけではありません。

Aさんがメインで利用していた銀行にも事情を説明し、Aさん名義の定期預金を解約して普通預金に移したいと相談しました。

しかし、本人が意思表示できない状態では、兄だからといって自由に預金を動かすことはできません。

銀行から案内されたのは「成年後見人を立ててください」という対応でした。

保険の請求もできない。

預金も簡単には動かせない。

一方で、Aさんの生活にかかる費用は発生し続けています。

事故から約10カ月が経過しても、兄の負担は続いていました。

「離婚していれば、対応できたケースも」

兄は改めて保険会社に事情を説明し、指定代理請求人を自分に変更できないか相談しました。

すると、保険会社の担当者からは、こんな説明がありました。

「過去には、すでに離婚が成立しているケースで、戸籍謄本などによって事実を確認したうえで、対応したこともあります」

しかし、今回のAさんはまだ離婚が成立していません。

1年間別居していたとしても、離婚が成立していない以上、妻は法律上の配偶者です。

そのため、指定代理請求人を兄に変更することも、簡単には認められませんでした。

もちろん、保険会社によって商品や契約内容、例外的なケースへの対応方法は異なります。

最後はAさん自身の意思確認で手続きを進めることに

その後、Aさんは少しずつ回復し、体を自由に動かすことはできないものの、意思確認ができる状態まで回復しました。

そこで、保険会社の担当者が立ち会い、Aさん本人の意思を確認。

代筆によって指定代理請求人の変更手続きを行い、今回必要となっていた保険の手続きも進めることができました。

長い間、Aさんに代わってさまざまな対応を続けてきた兄にとっても、ようやく状況を前に進めることができた瞬間でした。

今回のケースで考えさせられるのは、「もし自分が自分で保険の請求をできなくなったら、誰に手続きを託すのか」ということです。

家族構成や夫婦関係が変わったとき、保険に加入したときの指定代理請求人が、そのままになっていることもあります。

「まさか自分が意識不明になるなんて」と思うかもしれません。

しかし、事故や病気はいつ起こるか分かりません。

元気なうちに、自分の保険契約を確認し、いざというときに誰が手続きをすることになるのか、一度確認しておきたいものです。


執筆:かきまり|元金融OL・現役FP

金融機関で14年間勤務した後、Webライターに転身。銀行業務、保険業務では、預金や資産運用、保険商品の提案をはじめ、相続対策や資産形成、ライフプランに関するアドバイスなど、多くのお客様の相談に携わってきた。専門的な内容も読者目線でかみ砕いて伝え、「読んで終わり」ではなく、実際の行動につながる実用的なコンテンツを目指している。FP2級/AFP資格保有。

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