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「子どものため」歯列矯正で“80万円”支払った40代母→『高額療養費制度が使える』と思いきや…窓口で告げられた“想定外の事実”

  • 2026.10.4
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。

「子どもの歯列矯正に高額な費用がかかったけれど、高額療養費制度で戻ってくるはずだ」

そう思い込んで安心していませんか?実は、歯列矯正などの自由診療は保険適用外となるため、公的な高額療養費制度の対象にはなりません。

しかし、子どもの成長阻害や噛み合わせ改善といった「治療目的」と認められる場合であれば、確定申告を行うことで「医療費控除」の対象となり、税金の還付や軽減を受けられる可能性があります。

今回は、高額療養費と医療費控除の明確な違いと節税のポイントをお伝えします。

高額療養費制度の落とし穴

娘との時間を大切にしていたFさんですが、気になっていたことがありました。それは娘の歯並びを矯正した方がいいかもと学校の歯科検診で言われていたことです。

そこで、近所で評判の歯科医院を訪れることにしました。

「放置したら噛み合わせや発音に影響が出る可能性があります」と歯科医から説明を受けたといいます。

「子どもの発育のためだから」

費用は80万円と高額でしたが、治療を受けさせることに決めました。

「治療のための矯正だから、高額療養費制度が使えるかも」と考え、確認することにしたFさんでしたが…。

※高額療養費制度は、所得区分ごとに定められた自己負担限度額を超えた自己負担額が払い戻される公的医療制度です。

歯科医院の窓口で「歯列矯正は自由診療なので高額療養費制度は利用できません」との説明でした。

高額療養費制度の対象になるのは保険診療のみだったのです。

「知らなかった…」

しかし翌年、確定申告の依頼に行った際、税理士に相談をすると「医療費控除の対象になる可能性はありますね」と言われ、「あれ?」と思ったそうです。

「歯列矯正は医療費控除の対象になるの?ならないの?」

「私が矯正したときは対象外って言われましたよ」

「ケースによって変わるからですね。噛み合わせの問題で成長に影響が出るような治療目的の歯列矯正の場合は、医療費控除の対象になります」

Fさんの場合は「見た目を美しくするため」であり、治療目的ではないと判断された可能性があります。ところが、娘の場合は、治療目的と認められるケースであったため、医療費控除の対象となる可能性があるとのことでした。

医療費控除の対象になるかどうかは、個別の事情によって判断が変わるので、迷ったときは税務署や税理士に相談することをおすすめします。

医療費控除でどれくらい税金が戻る?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

医療費控除が利用できる場合の控除対象金額は、支払った医療費のうち保険金などで補填される金額を差し引いた後の自己負担額のうち、10万円を超えた部分です。仮に医療費が歯列矯正の80万円のみであった場合、Fさんの場合は70万円が医療費控除の対象になる金額です。

※所得が200万以下の場合は、所得×5%を超えた分が医療費控除の対象です。

Fさんのケースでは、所得税の税率は10%です。そのため、申告内容によっては所得税約7万円の還付に加え、翌年度の住民税も軽減される可能性があります。

「全く対象にならないと思ってたからよかった」とほっとした様子でした。

自由診療と医療費控除の条件を正しく把握する

自由診療となる子どもの歯列矯正は高額療養費制度の対象外ですが、発育上の治療目的と認められれば年間10万円を超えた支払額が医療費控除の対象となります。

美容目的との線引きや個別の判断が必要となるため、自己判断で諦めずに領収書を保管し、判断に迷う場合は税理士や税務署へ事前に確認することが重要です。医療費控除を正しく申告できれば、所得税の還付だけでなく翌年度の住民税を抑える大きな節税効果が得られます。

高額な医療費支出があった際は利用できる税制がないか調べる習慣をつけ、知らずに損をしてしまう事態を防ぎましょう。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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