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「エルメス」の新メゾンがロンドンに誕生! “迷宮”のような建築を巡る

  • 2026.7.24
Valérie Sadoun

ひと言で言うと、「ラビリンス」。これが、ロンドンのニューボンドストリートに新しく誕生した、「エルメス」のメゾン「Hermès Maison Bond Street」を巡った際の感想だ。

「エルメス」にとって世界で6番目となるこのメゾンは、新店舗の枠を超え、ブランドの歴史における「メゾンにとっての節目」と位置づけられている。「エルメス」が2009年にこのスペースを取得し、20年近くもの年月をかけて対話を重ね、ついにオープンへと至った特別な場所なのだ。約2,000平方メートルもの規模を誇り、世界で2番目の広さだというこの空間は、250年以上の歴史を持つ建築群を再生し、現代のラグジュアリー空間へと生まれ変わらせた、ひとつの壮大な建築プロジェクトとも言えるだろう。

リノベーションをはじめ、メゾン全体のデザインを担当したのは、ドゥニ・モンテルがアーティスティック・ディレクターを務めるパリの建築事務所、RDAI(レナ・デュマ・アルシテクチュール・アンテリユール社)だ。彼らの手により、歴史ある建物が持つオリジナルの細部が息を吹き返し、そこに「エルメス」らしい新しい装飾や色彩が美しく融合されている。

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そんなRDAIが構築した空間のなかで、ひときわ強い存在感を放つ核となっているのが、アトリウムだ。ノーマン・フォスター率いるフォスター・アンド・パートナーズにより、もともと屋外だった中庭に、新たにスチールとガラスによるモダンな大屋根が架けられた。自然光が心地よく降り注ぐこの吹き抜けエリアは、点在する複数の建物をつなぐ建築全体のハブ的存在。そしてその中央には、同じくフォスター・アンド・パートナーズの設計による、石灰岩とガラスで構成された美しい螺旋階段が配されている。

Valérie Sadoun

55の部屋を巡る、ラビリンス体験

その螺旋階段を上がって店内を回る際に最も印象的だったのは、「迷う」という体験だった。

螺旋階段を上りながら店内を巡ってみると、異なるフロアや部屋が断片的に見え隠れしていく。1階から屋上までの5フロアには、55もの部屋、4つの階段、3基のエレベーター、そして屋上テラスが備えられており、それらが連続しながら、それぞれ異なる表情で緩やかに繋がる。また、館内には500点以上ものアートワークも。部屋を通り抜けるたびに見る景色が変わり、気づけば自分がどこにいるのか一瞬わからなくなり、思いがけない場所へと導かれる。

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レディースの空間には、ピンクを中心に色鮮やかなカラーリングが壁面やフロアを彩り、バッグ、プレタポルテ、シューズの部屋へと続いていく。

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そこから回廊を渡るように進むと、シックで現代的なメンズフロアが現れる。オーク材の寄木張りの床が英国のトラディショナルな書斎を思わせる一方で、モダンな什器には最新のプレタポルテや、遊び心あふれるタイ、レザーグッズなどが美しく並ぶ。

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さらに迷宮の奥へと進んでいくと、ブランドの世界観を自宅でも味わえるホームコレクションの部屋へと行き着く。リビングを模した空間には、新作家具やテーブルウェア、小物などが配され、まるで邸宅に招かれたかのような気分に浸ることができる。

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他にも、イエローに囲まれた神秘的なファインジュエリー&ウォッチの部屋や、フレグランスの香りに包まれるビューティの部屋も。ちなみにビューティの部屋は、ロンドン在住のイラストレーター、ケイティー・スコットによる植物柄の壁紙が空間を彩り、幻想的な雰囲気を演出している。

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4階には「エルメス」のレザー職人たちが常に拠点を構える修復のアトリエが。さらに上層へ上がると、プライベートな5階には「エミール・エルメス・コレクション」の空間が広がる。ここは、パリの「フォーブル・サントノレ24番地に所蔵されているプライベートコレクションを想起させるように構想された」特別な場所だ。そのスペシャルピースに囲まれたフロアの先には、屋上のサロンや庭園もあり、心地よい開放感に浸ることもできる。

建物の複雑さや歴史はそのままに、新たなデザインを重ねた「エルメス」のメゾン。迷い、発見し、また歩きたくなる——その回遊体験こそが、この場所ならではの魅力だ。巡るなかでプロダクトやアートと自然に出合い、気づけばショッピングそのものも建築体験の一部になっている。ロンドンを訪れたら、一度は迷い込んでみたい新たなスポットだ。

Hermès Maison Bond Street
166 New Bond St, London W1S 4RB

Photo::Valérie Sadoun

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