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インフルエンザと診断された30代男性→数時間後、呼びかけに応じなくなり救急搬送され…男性を待ち受けていた“恐ろしい事態”

  • 2026.9.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「熱はあるけれど仕事に穴は空けられないし、薬を飲んだから寝ていればそのうち治るよ」インフルエンザと診断され抗ウイルス薬を飲んでベッドに入ったFさん(30代男性)。

しかし数時間後、看病していた妻は異変に気づきます。Fさんが突然起き上がり、意味不明な言葉を口にしながらフラフラと部屋を出ようとしたのです。そのわずか数時間後、Fさんは呼びかけに応じなくなり、救急搬送されてしまいました。一命を取り留めて、幸い後遺症もなく改善しましたがインフルエンザの季節になるたびに思い出しています。

今回は、大人のインフルエンザに潜む「脳症」のリスクと、誤解されがちな異常行動について解説します。

高熱の裏で起きている「自らの免疫による過剰反応」

インフルエンザ脳症と聞くと、ウイルスが直接脳に入り込んで悪さをしていると想像されるかもしれません。

しかし、実際のメカニズムは少し異なります。

【脳にダメージが及ぶメカニズム】

  • 免疫の暴走:体内に侵入したウイルスを退治しようと、免疫物質(サイトカイン)が過剰に分泌され、コントロールを失った状態に陥ります。
  • 脳の血管への影響:過剰なサイトカインが脳の血管の壁にダメージを与え、血管から水分が浸み出しやすくなります。
  • 脳の腫れ(脳浮腫)と圧迫:逃げ場のない硬い頭蓋骨の中で脳が急速に腫れ上がり、脳細胞が強く圧迫されて深刻なダメージを受けます。

「薬の副作用かも」という思い込みと「脳症」の境界線

「大人だから脳症にはならない」「抗ウイルス薬を飲んでいるから重症化はしないはず」と思ってしまうのは、無理もないことです。しかし、近年では大人のインフルエンザ脳症も報告されており、決して子どもだけの病気ではありません。

特に多くの方が陥りやすいものとして、急に走り出したり意味不明なことを言ったりする異常行動を「薬(タミフルなど)の副作用だろう」と自己判断して様子を見てしまうことです。

実は、抗ウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、前述の様にしてインフルエンザ感染そのものが原因で、異常行動が起こることがあるのです。

また、「高熱による一時的なうわごと」との違いも重要です。単なる熱のうわごとなら、声をかけて目を覚まさせれば意識が戻り、会話が成立します。しかし、脳症の場合は脳の腫れが進行しているため、呼びかけに応じず、ボーッとした意識障害が持続したり悪化したりしていくのが特徴です。

手遅れになる前に確認すべき3つのサイン

「様子が変だけれど、薬のせいだろう」と放置せず、脳へのダメージを疑うべき緊急サインは以下の3つです。

1. 人を正しく認識できない・会話が噛み合わない

家族が誰だか分からない、意味不明な言葉を繰り返すといった症状は、意識障害が始まっているサインです。

2. 急な飛び出しや暴れるなどの危険な行動

突然窓を開けて外へ出ようとしたり、異常におびえたり、押さえ切れない力で暴れる行動は、重大な脳の異変を示しています。

3. すっきりせずボーッとした状態が「1時間以上」続く

呼びかけても反応が薄い、意識がハッキリしない状態が1時間以上持続・悪化する場合は、一時的なうわごとではなく脳症の強い疑いがあります。

インフルエンザで意識が朦朧としているときには症状の確認を

忙しい毎日の中で、「大人のインフルエンザだから、ただ高熱が出る病気だ」「おかしな行動は薬の副作用だろう」と思い込んでしまうのは、誰にでもあることです。ご自身やご家族を責める必要は一切ありません。

しかし、もし高熱に加えて「会話がおかしい」「1時間以上様子が変だ」と感じたら、様子を見ずに迷わず救急や医療機関へ連絡してください。薬をもらった後すぐには受診しにくいと思うかもしれませんが、上記のサインや、異常を感じたらぜひ一度受診してください。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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