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【デザインで巡るレトロ喫茶】「明治安田CAFE 丸の内」で昭和モダンの名建築に浸る

  • 2026.7.24
SATOSHI TAMURA

インテリアや建築好きの心に刺さるであろう、“レトロ喫茶”を紹介する短期連載がスタート。第1回は、東京・丸の内を代表する名建築であり、昭和期に竣工した建物として初めて重要文化財に指定された「明治生命館」の「明治安田CAFE 丸の内」を訪ねた。

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店頭営業室が開放的な喫茶へ

建築家・岡田信一郎の設計により1934年に竣工し、当時は最先端の機能を誇るオフィスビルとして誕生した「明治生命館」。しかし、建物の歴史は平坦ではない。竣工まもなく日中戦争、太平洋戦争へと突入。金属類回収令発布によるブロンズ製の扉や照明器具の供出、戦後のGHQによる接収といった激動の時代をくぐり抜け、度重なる改修を経ながらも、その姿は大切に守り継がれてきた。そんな重要文化財「明治生命館」の1階に、2025年11月、「明治安田CAFE 丸の内」がオープンした。

<写真>明治生命館の1階に位置する「明治安田CAFE 丸の内」。家具はクラシカルな建築と調和するように製作された。

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<写真>1階入り口。花のレリーフが施された重厚な折扉は戦時中の金属類回収令を逃れ、今でも現役で使用されている。

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カフェへと生まれ変わったのは、創業当時から保険の相談窓口として親しまれてきた旧店頭営業室だ。手続きのデジタル化に伴い来店者が減少したことを機に、「歴史的な空間をもっと多くの人に開放し、ゆっくりと過ごしてほしい」という思いから一般公開範囲を拡大し、展示内容の拡充とともにカフェを設置した。

<写真> 2階の回廊からはカフェを見下ろし、シャンデリアや柱の装飾を間近に見ることができる。

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外観と同様、古典主義の意匠が施されている大空間には多彩なイタリア産大理石が贅沢にあしらわれている。さらに、漆喰と石膏彫刻による天井も必見。華やかなロゼットと八角形の装飾が特徴的で、中央はガラス屋根のため柔らかな光が差し込む。カフェのシートに腰掛けると、たちまち非日常の世界へと引き込まれる。

<写真>カフェのカーペットは建物内に残るブドウの装飾からインスピレーションを得て、ブドウ柄で統一されている。

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カフェでは、季節のスイーツやサンドイッチのほか、玉手箱に見立てた器で提供される和洋折衷のアフタヌーンティーなど、上品で落ち着いたメニューが豊富に揃う。家族や友人との優雅な時間はもちろん、一人でじっくりと建築と向き合いながら、空間と食事を楽しむのもおすすめだ。

<写真> モンブラン(¥1,700)とコーヒー(¥1,300)。カーペットと同様、テーブルウェアにもブドウ柄があしらわれている。

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<写真> 1階のロビーにさり気なく置かれたベンチは、設計を手掛けた岡田信一郎と師弟関係にあった家具デザイナーの梶田恵によるデザイン。梶田は館内のさまざまな空間の家具も担っている。

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カフェを楽しんだ後は建築探訪へ

「明治生命館」では、当時の工事現場を撮影した16ミリフィルムの映像や設計図面、貴重な写真資料を展示するとともに、2階の会議室など館内の一部を公開している。カフェで優雅なひとときを過ごした後は、館内を巡ってみよう。

<写真> 1階の西玄関。金色の扉、市松模様の大理石の床、天井の装飾、レトロな照明などが美しく調和する人気のフォトスポット。

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ひと際広く、荘厳な雰囲気が漂う会議室。ここは終戦後、GHQにより接収された際にはアメリカ極東空軍司令部が設置され、対日理事会の会場として使われたという歴史的背景を併せ持つ。中央に配された時計は、壁掛けではなく壁面埋め込み式電気時計という珍しい仕様だ。館内にある基準となる一つの時計と連動し、全室で同一の時刻を刻む仕組みになっている。こうした実用的なディテールからも、当時の最先端を誇った近代建築としての機能美が見て取れる。





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<写真>食堂に残るブドウとツタのレリーフ。この模様は1階のカフェのカーペットやテーブルウェアにも取り入れられ、建物全体をつなぐ意匠となっている。

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そして、他の部屋とは趣の異なる華やかなスパニッシュ様式が目を引くのは、南西隅応接室。中央の優美なテーブルは、創建時に梶田恵によってデザインされたものだ。部屋の様式に合わせた軽やかなデザインからは、90年以上前から建築と家具を一体で考えるインテリアデザインの思想が息づいていたことがうかがえる。

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<写真>南西隅応接室の華やかなカーペットやデコラティブな飾り暖炉もフォトジェニック。

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見逃せないディテールのひとつが、非常口サインだ。近年の建造物では緑地に白で人が描かれたピクトグラムに統一されているが、この建築では許可を得て、当時のデザインを今でも使用している。非常口以外にも、郵便物を一つの回収口に各フロアから落とすメールシュートやエレベーターのデザインなど、この時代ならではの機能やディテールを探すのも楽しい。

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カフェがオープンしたことで、より気軽に訪れやすくなった「明治生命館」。 細部にまで注がれた創建当時のこだわりや美学は、今もなお色褪せることなく息づいている。コーヒーと共に、受け継がれてきた名建築の魅力に浸ってみては?

<写真>1階と2階の回廊をつなぐ階段にも、大理石をふんだんに使用。繊細なアーチ窓の装飾もポイント。

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<写真>真下から天井の装飾を仰ぐと、その均一性や細やかな装飾がより際立つ。

明治生命館 重要文化財 一般公開
住所/東京都千代田区丸の内2-1-1
営業時間/9:30~19:00(最終入館 18:30)
休業日/月曜、12月31日~1月3日、建物定期点検日

明治安田CAFE 丸の内
住所/東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1階
営業時間/10:30~18:30(L.O. 18:00)
休業日/月・火曜、12月31日~1月3日、建物定期点検日

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