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“世界一美しい美術館”とも称される「ルイジアナ美術館」へ 【エディターの偏愛録】

  • 2026.7.20

“世界一美しい美術館”と呼ばれる理由

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6月にデンマークで開催されたデザインイベント「3daysofdesign」の出張で、ずっと訪れたいと思っていた「ルイジアナ美術館」へ足を延ばしました。コペンハーゲン中心部から電車で約40分。住宅街を抜けると、静かな海辺の町・フムレベックに到着します。

最近、建築を取材するなかで改めて感じているのは、「見る」こと以上に、「感じる」ことの大切さです。その空間に身を置き、光や風、素材の質感までを全身で受け止めることで、初めて見えてくるものがあります。「ルイジアナ美術館」は、まさにそんな場所。“世界一美しい美術館”という言葉を何度も耳にしてきましたが、実際に訪れてみると、建築単体の美しさだけではなく、建築と自然、そしてアートが共鳴し、一つのランドスケープとして成立しており、その体験こそが、この場所を特別な存在にしているのだと感じました。

控えめなエントランスとその先に広がる別世界

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1958年に開館した「ルイジアナ美術館」は、実業家クヌード・W・イェンセンが創設。19世紀の邸宅を中心に、建築家ヨルゲン・ボーとヴィルヘルム・ヴォラートが増築を重ね、現在の姿になりました。到着して驚くほど拍子抜けしたのは、その入口。壮大な建築を想像していましたが、迎えてくれるのはツタに覆われた落ち着いた邸宅でした。

歩くたびに風景が変わる、ガラスの回廊

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個人的に最も印象深かったのが、「ルイジアナ美術館」を象徴する細長いガラス張りの回廊です。白い壁、レンガ床、木の天井。シンプルな素材で構成された空間を歩くたび、窓の向こうには木々や芝生、彫刻庭園が次々と現れます。建築家のヨルゲン・ボーとヴィルヘルム・ヴォラートは、館内を公園の中の「屋根付きの散歩道」のように巡れる構成を目指したといいます。左右に大きく開かれたガラス越しに風景が移り変わり、作品を鑑賞するというより、自然のなかを歩いているような感覚になりました。

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自然を借景として取り込む大胆なガラス面も、この美術館ならでは。なかでも見逃せないのが、「ルイジアナ美術館」を代表する空間の一つ、「ジャコメッティ・ギャラリー」です。アルベルト・ジャコメッティの彫刻コレクションは国際的に見ても充実した規模を誇り、ボー&ヴォラートによる建築とも見事に調和していました。

有名な写真でよく目にするアングルももちろん美しいのですが、私は思わずギャラリーの中を何度も行ったり来たり。窓越しに見える木々や光の入り方が少し位置を変えるだけで表情を変え、どこで足を止めても、まるで一枚の絵画の額縁から風景を眺めているようでした。

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回廊や小さな展示室を抜け、階段を上がると、目の前にエーレスンド海峡の絶景が広がります。その風景へまっすぐ伸びるように設置されているのが、エルムグリーン&ドラッグセットの《Powerless Structures, Fig. 11》(1997)。ガラス窓を突き抜けて海へ向かう飛び込み台は、「飛び込めない飛び込み台」という発想から生まれた、二人を代表する作品です。

作品以上に印象に残った風景

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訪れたときは、フランス人アーティスト、ソフィ・カルの個展『Something Missing?』が開催されていました。もちろん作品も素晴らしかったのですが、年配のご夫婦がベンチに腰掛け、作品について静かに会話しながら、時間をかけて鑑賞していた姿が印象的でした。急ぎ足で展示を巡る人はほとんどおらず、それぞれが思い思いのペースで過ごす。その穏やかな空気もまた、「ルイジアナ美術館」が長く愛され続ける理由なのだと感じました。

旅の余韻を持ち帰る、ミュージアムショップ

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美術館で忘れてはいけないのが、デザイン好きにはたまらないミュージアムショップ。ここでは、レストランの壁にも飾られていた歴代展覧会のポスターが販売されています。アスガー・ヨルンやフリーダ・カーロ、エドワード・ホッパーなど、「ルイジアナ美術館」では、過去から現在までの展覧会やコレクション作品をモチーフにしたポスターが数多く制作されており、作品としてはもちろん、インテリアとして飾りたくなるものばかり。

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美術館で過ごした時間や、海辺の風景を思い出させてくれるポスターを一枚選び、旅の記憶を持ち帰る。それも、「ルイジアナ美術館」を訪れる醍醐味の一つ。私も最後まで一枚に絞れず、結局その日は手ぶらで帰ることに。日本でも一部のポスターは取り扱っているので、「やっぱりあの一枚にしようかな」と、帰国した今も悩んでいます。

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