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ご近所さんと20kgの梅を収穫! ドイツ人ガーデナーが実践する「庭の恵み」で暮らしを豊かにするヒント

  • 2026.7.3

初夏の庭は、おすそ分けや特別な時間を運んでくれる素敵な空間。ドイツ出身のガーデナー、エルフリーデ・フジ-ツェルナーさんが、日本の住宅街で実践する、庭を目いっぱい楽しむアイデアをご紹介します。友人たちと20kgもの梅を収穫した賑やかな週末から、朝8時半から始まるユニークなサプライズ・ガーデンパーティー、そしてお庭を彩るハーブ「タイム」の活用法まで。人とつながり、毎日の暮らしをちょっと豊かにするヒントが満載です。

人と人をつなぐ果実

果実
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

ドイツ南部生まれの私にとって、広々とした畑や緑、森、牧草地、そして果樹は慣れ親しんだものです。当時、最も身近な果樹は、実家の庭の隅にあったミラベルプラムの木。隔年でやってくる成り年には、家族だけではとても食べ切れないほどの収穫がありました。そこで、近所の方や友人に収穫作業を手伝ってもらったり、採れた果実をおすそ分けしたりするのが日常でした。彼らも喜んでくれましたし、せっかくのプラムを無駄にせずに済む私たちにとっても嬉しいものなのです。

ミラベルプラム
黄色のミラベルプラム。dies-irae/Shutterstock.com

こうしたおすそ分けは、しばしば果物交換のような形になります。

例えば、我が家から夏にミラベルプラムをお分けすると、後になってプラムとリンゴがお返しされます。また、数リットルの自家製リンゴジュースやフルーツケーキなど、加工された形でいただくこともありました。

自宅で採れる果実は、人々との繋がりのポイントになり、より仲良く楽しく暮らすためのアイテムにもなりますね。

現在、日本で私が暮らしているのは住宅街で、近隣に農地は見当たりません。もしかしたら農家の方もいるのかもしれませんが、偶然に頼るか人を通じてでなければまず気づくことはできないでしょう。そのためか、ドイツほどはこうした果物交換は活発でないようです。

梅の実を探して

梅の実
Wako Megumi/Shutterstock.com

梅雨の季節、スーパーにも1kg入りの梅の袋が並び始めます。家族が梅酒や梅シロップを漬けるために梅の実を探していたので、店頭で見つけて思わず買ってしまいそうになりました。

購入しなかった理由は、顔の広い友人に、誰か梅の実を持て余している人がいないかを尋ねていたため。数日後、実家の庭に梅の古木があるけれど、収穫していない人がいるという素晴らしい知らせが届きました! なぜ活用していないのか理由は分かりませんが、おそらく多忙なのか、もしかすると梅酒作りなどにあまり関心がないのかもしれません。

その方は近所に住んでいらしたので、さっそく伺ってみることに。嬉しいことに、実った梅はとても大粒で、収穫もしやすい状態でした。

かつては手入れの行き届いた美しい日本庭園だったその場所に入ると、甘い梅の香りが漂ってきました。それはまるで香水のような、とても素敵な香りでした。

梅の木は樹齢70年を超えているとのことでしたが、姿も美しく、とても健康そう。消毒などもしていないそうで、オーガニックなのも嬉しいものです。

脚立と小さなバケツを手に、早速収穫をスタート。大人3人がかりで、休憩なしで2時間以上かけ、ようやく2本の木から収穫を終えることができました。

いくつものバケツいっぱいに集まった緑色のフレッシュな梅の実に加え、すでに熟して落ちた実も拾い集めて梅ジャムを作ることにしました。

収穫した梅
バケツや袋いっぱいの収穫。Photo/Elfriede Fuji-Zellner

収穫の際の作業で厄介だったのが、木々の周囲に時に密に生い茂る植物。日本庭園だった場所なので、脚立を立てたい場所の近くに、ツツジやソテツ、ユリなどが茂っているのです。どうにかそれらを傷つけないように脚立を立てたものの、大きく育ったソテツは葉が鋭く尖っていて危険なため、その茂みに落ちてしまった梅の実は回収することができませんでした。それらは虫や鳥たちにとってのご馳走になったことでしょう。

梅
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

結局、収穫した梅は20kg以上もあろうかというほどで、3人で分けてもたっぷりありました。これだけの宝物を抱えて帰宅したものの、さて何を作ろうかと決めるのは容易なことではありません。あまりの量の多さに、下準備をして保存作業を終えるまで、ほとんど丸一日を費やすことになりました。この梅の実は、これから何カ月、あるいは何年にもわたって私たちを楽しませてくれることでしょう。

収穫した梅
ずらりと並んだ梅の実は下処理だけでも一仕事。Photo/Elfriede Fuji-Zellner

梅酒、梅シロップ、梅ジャム、梅干し、梅味噌、梅サワー、梅醤油、梅の甘酢漬け……。

今回は梅尽くしの週末を楽しみましたが、あまりの量にもう少しでギブアップしそうになる瞬間もありました。

それでも、今や私たちの手元には梅仕事の成果として、毎日軽くゆすったり面倒を見なければならないたくさんのガラス瓶があります。それらはやがて美味しい保存食となり、未来の私たちを楽しませてくれることでしょう。

梅ジャム
梅ジャム作り。Photo/Elfriede Fuji-Zellner

ユニークなガーデンパーティー

ガーデンパーティー
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

庭やバルコニーといった屋外空間を存分に楽しむなら、パーティーを開くのが一番!

先日、6月の私の誕生日に、ガーデンブランチを楽しむ機会がありました。家族が私に内緒で友人たちを招待し、我が家のパーマカルチャー・ガーデンでサプライズパーティーを企画してくれたのです。

ガーデンパーティー
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

会場となったのは、幅約2m、長さ約3mの、黒いマルチシートが敷かれたスペース。周囲には桜の木や皇帝ダリア、ブルーベリー、カンナ、ハナショウガ、キクイモ、そして背の高いビワの木を植えています。午前中は自然な木陰ができ、時には桜とビワの木の間にピンク色のハンモックを吊るすこともある、お気に入りの場所です。

パーティーのスタートは朝8時半。テーブルと椅子が用意された場所に、木々の陰や茂みに隠れていた友人たちが登場し、ブランチを楽しみました。フィンガーフードは、ストラタ(アメリカ風のパンプディング)、フランス風のキッシュ、各種サンドイッチ、フルーツスティックなど。そしてフルーツジュース、紅茶、コーヒーといった飲み物が並びました。美味しい食卓に加え、折りたたみ式のアルミ製ガーデンベンチや、アジサイやシャクヤクといった庭の花々に、ブルーベリーの枝、チコリの一種のラディッキオ、パセリなどをアレンジしたエディブルプランツや野菜をあしらったブーケという最高のプレゼントも嬉しかったです。

ガーデンパーティー
Photo/Elfriede Fuji-Zellner

とてもユニークで本当に楽しい一日の始まりとなった、このガーデンパーティー。これほど多くの友人が一度にガーデンに集まったのは初めてで、素晴らしい体験になりましたし、これからもこの場所で楽しい時間をたくさん過ごしたいと思っています。

ガーデンパーティー
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

さて、こうしたガーデンパーティー・スタイルの大きな利点は、自宅の室内を特別に片付けたり掃除したりする必要がないこと。朝という時間帯もおすすめ。親しい友人たちと朝食や昼食を一緒に楽しむのは、一日の始まりとして最高です。

ガーデンパーティーのリスクとしてすぐに思いつくのは、次のような点があります。

  • 天候:雨が降った場合、大人数を同時に自宅にお招きしなくてはなりません。
  • 運搬:テーブル、椅子、そして食べ物をパーティーの場所まで運ぶ必要があります。

私の場合は、友人たちが実用的で軽量なキャンプ用の椅子やテーブルを持っていたため、簡単に持ち運びできました。

また、屋外で心置きなく楽しむために欠かせないのが、虫対策。今回は周囲に蚊取り線香を焚いたおかげで、虫に悩まされることも、刺されることもありませんでした。

“エディブル”なフラワーアレンジメント

ラディッキオ
ブーケに入っていたラディッキオ。Photo/Elfriede Fuji-Zellner

誕生日にもらったブーケに入っていたラディッキオは、しばらく飾っていても形が崩れることもなく、フレッシュな姿のまま。聞けば食用可能ということだったので、数日後にサラダ菜を切らしたときに食べてみることにしました。ブーケをばらしてみると、他のハーブや花と高さを揃えるため、木製の棒に刺さっていたことが分かりました。目を引くアイキャッチャーでありながら、とてもセンスよくアレンジされていたので悪目立ちすることもなく、ナチュラルになじんでいました。

ラディッキオ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Green Solutions

扱いやすい丸い形で、ほのかな苦味のあるラディッキオは、ミックスサラダに彩りとヘルシーさをプラスしてくれる食材。ラディッシュ、生のニンジン、キュウリ、その他ベビーリーフなどと混ぜ合わせた大きなサラダボウルは、ドイツの夕食の定番です。黒パンとソーセージを添えて食べるのがドイツ流です。

近年、ドイツではこうした苦味のある野菜や在来種の野菜への関心が高まっています。特に、食生活や胃腸の健康に気を付けている人やガーデナーに人気があるようです。ラディッキオは自宅でも栽培でき、秋の涼しい時期に種播きをするのがおすすめです。

ラディッキオ
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

誕生日にもらったアレンジには、青い実のついたブルーベリーの枝や、触るとよい香りが立つパセリのシードヘッド、アジサイの花も入っていました。こうした食用野菜や果物を使ったフラワーブーケは、グリーンなプレゼントのアイデアとしても素敵ですね。

おすすめハーブ タイム

タイム
Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

果樹やハーブを庭で育てていれば、友人や近所の人たちにおすそ分けでき、コミュニケーションのツールにもピッタリ。幅広い品種があり、グラウンドカバープランツとしても優秀なタイムは、育てやすいおすすめハーブの1つです。色や香り、風味もさまざまで、グラウンドカバーにすれば、地面を覆って保護し、乾燥しすぎるのを防いでくれます。

私のお気に入りは、明るいライムグリーンの葉を持つレモンタイムや、優秀なグラウンドカバーとして知られるイブキジャコウソウ、ロックガーデンによく利用されるティムス・プラエコクスなど。

タイムは蜜源植物としても知られ、ミツバチなど花粉を運ぶ昆虫(ポリネーター)をたくさん引き寄せます。開花時期も早く、ミツバチやチョウたちにとって嬉しいご馳走になります。

庭を彩る“緑×紫”のコンビタイム&アリウム

ハーブガーデン
タイムやチャイブ、バラなどを植栽したハーブガーデンの一角。Gartenbildagentur Friedrich Strauss / Strauss, Friedrich

タイムの間に高さのある紫色のアリウムを植えると、素敵なコントラストが生まれ、植栽に立体感も生まれます。この組み合わせは地植えの庭だけでなく、コンテナガーデンにもおすすめ。どちらも日当たりと水はけのよい、乾燥気味の環境を好むという共通点があるのも組み合わせのポイントです。

タイムと相性のよい植物にはほかに、ローズマリー、セージ(サルビア)、オレガノ、セイボリーなどがあります。ぜひお気に入りの組み合わせを見つけて、ガーデンに取り入れてみてはいかがでしょうか。

Credit
話 / Elfriede Fuji-Zellner - ガーデナー -

エルフリーデ・フジ・ツェルナー/南ドイツ、バイエルン出身。幼い頃から豊かな自然や動物に囲まれて育つ。プロのガーデナーを志してドイツで“Technician in Horticulture(園芸技術者)”の学位を取得。ベルギー、スイス、アメリカ、日本など、各国で経験を積む。日本原産の植物や日本庭園の魅力に惹かれて20年以上前に日本に移り住み、現在は神奈川県にて暮らしている。ガーデニングや植物、自然を通じたコミュニケーションが大好きで、子供向けにガーデニングワークショップやスクールガーデンサークルなどで活動中。

Photo/ Friedrich Strauss Gartenbildagentur/Stockfood

まとめ / 3and garden

スリー・アンド・ガーデン/ガーデニングに精通した女性編集者で構成する編集プロダクション。ガーデニング・植物そのものの魅力に加え、女性ならではの視点で花・緑に関連するあらゆる暮らしの楽しみを取材し紹介。「3and garden」の3は植物が健やかに育つために必要な「光」「水」「土」。「ガーデンストーリー」書籍第1弾12刷り重版好評『植物と暮らす12カ月の楽しみ方』、書籍第2弾4刷り重版『おしゃれな庭の舞台裏 365日 花あふれる庭のガーデニング』(2冊ともに発行/KADOKAWA)発売中!

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