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お盆の高速道路で突然「カラカラ」→エンジン停止…30代男性が直面した約40万円の修理費と、数千円の先延ばし

  • 2026.8.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「まだ普通に走れるから、オイル交換はもう少し先でも大丈夫。」

そう考えて交換時期を先延ばしにしていませんか?

私が以前勤務していた整備工場で実際に経験したのは、わずか数千円のオイル交換を後回しにしたことで、約40万円もの修理費が必要になってしまったケースでした。なぜオイル交換を怠るだけで、エンジンが使えなくなるほど深刻な故障につながるのでしょうか。

高速道路で突然エンジン停止。原因は「オイル交換の先延ばし」だった

私が以前勤務していた整備工場へ、ある日レッカー搬送されてきたのは、30代男性のお客様・Aさんでした。

Aさんはお盆に、高速道路を走行していました。その時、突然エンジンから「カラカラ」という大きな異音が鳴り始め、その数分後にはエンジンが停止。路肩へ避難したものの再始動できず、そのままレッカー搬送となりました。

受付でお話を伺うと、

「警告灯は点いていなかったんです。最近、少しエンジン音が大きくなった気はしていましたが、普通に走れていたので気にしていませんでした」

とのことでした。

さっそく整備記録を確認すると、前回のエンジンオイル交換から推奨時期を5,000km以上超えて走行していたことが判明しました。さらにレベルゲージでオイルを確認すると、オイル量は規定値より少なく、色は真っ黒。粘度も低下し、本来の潤滑性能を十分に発揮できる状態ではありませんでした。この時点で、エンジン内部では深刻なダメージが起きている可能性が高いと考えられました。

「まだ走れる」が危険な理由。エンジン内部では摩耗が進んでいた

エンジンオイルは、単に部品を滑らかに動かすためだけのものではありません。金属部品同士の間に油膜を作り、摩耗や焼き付きを防ぐほか、冷却・洗浄・防錆など、多くの重要な役割を担っています。しかし、交換時期を過ぎたオイルは熱や酸化によって性能が低下し、十分な油膜を維持できなくなります。

さらに燃焼によって発生した汚れや金属粉がオイル内に蓄積すると、スラッジとなってエンジン内部へ堆積。細いオイル通路にも汚れが詰まり、必要な場所へ十分なオイルが届かなくなることがあります。

Aさんのお車も、その状態で真夏の高速道路を長時間走行していました。高温環境では劣化したオイルの性能がさらに低下し、クランクシャフトやコンロッドメタルでは金属同士が直接擦れ始めます。すると「カラカラ」「ガラガラ」といった異音が発生し、摩耗は一気に進行します。それでも走行を続けると、やがてメタルが焼き付き、エンジンは内部でロックして停止してしまうのです。

外から見れば「普通に走れていた」ように見えても、内部では少しずつダメージが蓄積していることは珍しくありません。

約5,000円を惜しんだ結果、修理費は約40万円に。日頃の点検が愛車を守る

エンジンを分解して確認すると、コンロッドメタルは完全に焼き付き、クランクシャフトには深い傷が入っていました。さらに金属粉がエンジン内部全体へ回っていたため、部分修理では対応できない状態でした。オーバーホールでの修復も難しく、最終的にはリビルトエンジンへの載せ替えを実施。エンジン本体に加え、交換工賃や、オイルなどの油脂類や冷却水も必要となり、修理費は約40万円となりました。数千円程度で済むオイル交換を先延ばしにした結果、その何十倍もの費用が必要になってしまったのです。

エンジンオイルは仮に「量が入っているから大丈夫」というものではありません。時間や走行距離とともに性能は確実に低下するため、定期的な交換が前提の消耗品です。特に、短距離走行が多い方、渋滞路を頻繁に走る方、高速道路を利用する機会が多い方、真夏にエアコンを多用する方はエンジンへの負担が大きくなるため、使用状況によってはメーカー推奨より早めの交換が適している場合もあります。

また、月に一度程度はレベルゲージでオイル量や汚れを確認する習慣をつけることもおすすめです。オイル消費が早くなっていたり、極端な汚れが見られたりすれば、エンジンの異常を早期に発見できる可能性があります。「エンジン音が以前より大きい」「燃費が悪くなった」「振動が増えた」といった変化も、オイル劣化や潤滑不足のサインかもしれません。異変を感じたら、「まだ走れるから」と様子を見るのではなく、できるだけ早く整備工場で点検を受けましょう。

「普通に走れる」と「エンジンが健康である」は、必ずしも同じ意味ではありません。目に見えない摩耗は少しずつ進行し、その積み重ねがある日突然、大きな故障として表面化します。数千円のオイル交換を適切なタイミングで行うことが、数十万円規模の修理を防ぐ最も効果的な予防整備と言えるでしょう。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。


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