1. トップ
  2. エピソード
  3. 彼に頼まれた写真選び。候補から私が写ったものだけが消えていて、理由を聞いても答えてくれませんでした

彼に頼まれた写真選び。候補から私が写ったものだけが消えていて、理由を聞いても答えてくれませんでした

  • 2026.6.19
ハウコレ

私が写った写真だけが、ひとつ残らず消えている。理由を聞いても彼は言葉を濁すばかりで、考えるほどにいやな想像が膨らんでいきました。隠されているのではと、落ち着かない日が続いたのです。

メッセージアプリの通知が光り、彼からアルバムが届きました。今度の写真選びを手伝ってほしい、という短いお願いです。けれど候補をめくるうちに、私はあることに気づいてしまいました。

届いた写真選びのお願い

 彼と過ごす日々が、ちょうど一年を迎えるころでした。「今度の写真、どれがいいか選んでくれる?」と、彼からのお願いが届いたのです。旅行先で見た景色や、二人で立ち寄ったお店の料理が、画面いっぱいに並んでいました。私を頼ってくれたことがうれしくて、私はさっそく一枚ずつ見ていくことにしました。

候補から消えた私

ところが、何枚めくっても、私が写った写真が出てきません。見落としているのかもしれないと、はじめからめくり直しました。それでも、私の顔が入った一枚は、どこにも見つからないのです。残っているのは、私のいない景色や食べ物の写真ばかり。気になって「これ、何に使うの?」と聞くと、彼は「選んでくれたら、それでいいから」と返すだけでした。

膨らんでいく想像

それからは、考えないようにしてもうまくいきませんでした。誰かに見せるために、私を抜いたのだろうか。私といることを、知られたくない相手がいるのだろうか。一度浮かんだ問いは、次々に新しい問いを連れてきます。彼に直接たしかめる勇気は出ず、私は当たり障りのない返事を続けました。それでも、自分の返事の言葉数が減っていくのは、はっきりと分かっていました。

そして...

迎えた記念日、彼は一冊のアルバムを差し出しました。表紙をめくると、消えていたはずの私の写真が、ページいっぱいに並んでいたのです。「消したんじゃなくて、こっちに集めてたんだ」。彼は少し照れたように言いました。私を選び出して、別の場所へ移していただけだと知って、ずっと張りつめていた不安が、ふっとゆるんでいきました。一言そう言ってくれたら、と思わなくはありません。それでも、私の知らないところで私のことを考えてくれていた時間を思うと、その不器用さも、嫌いにはなれませんでした。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる