1. トップ
  2. エピソード
  3. 贈られたお皿を割ってしまった僕は、同じものを探し続けながら彼女に嘘をついていた

贈られたお皿を割ってしまった僕は、同じものを探し続けながら彼女に嘘をついていた

  • 2026.6.19
ハウコレ

「あのお皿、使ってる?」と聞かれても、本当のことが言えませんでした。同じものを探して何軒も回り、見つからないまま嘘が積み重なっていく。彼女を不安にさせていたと気づいたのは、あとのことです。

割れてしまった大切な一枚

料理を始めたばかりの僕に、彼女は白い大きめのプレートを贈ってくれました。お気に入りのお店で選んでくれたと聞いて、僕はそれを使うのが楽しみで仕方ありませんでした。

ところが、何度目かの洗い物のとき、手をすべらせて床に落としてしまったのです。割れたお皿のかけらを、僕はしばらく拾い上げられずにいました。すぐに謝ればよかったのに、彼女のがっかりする顔が浮かんで、どうしても言い出せなかったのです。

写せないまま重ねた嘘

それでも料理は続けていて、出来上がるたびに写真を撮っては「今日の料理、自信作」と彼女に送っていました。ただ、あのお皿だけは写せません。別の食器に料理を盛りつけては、割れた事実が画面に映り込まないよう気をつけていました。

ある時、彼女から「あのお皿、使ってる?」とメッセージが届きました。本当のことを言うなら、ここしかない。そう思いながら、僕が打ったのは「うん、たまにね」という、その場しのぎの返事でした。

同じお皿を探す日々

同じプレートを見つけて、何事もなかったように差し替えればいい。そう考えて、僕は売り場をいくつも回りました。けれど、彼女が選んでくれた一枚は廃番になっていて、どこにも見つかりません。探せば探すほど、嘘を重ねている自分が情けなくなっていきました。

そのうち、彼女の返信が少しずつ短くなっていることに気づきました。僕の隠しごとが、彼女を不安にさせている。それ以上、ごまかし続ける気にはなれませんでした。

そして...

思い切って、僕は「ごめん、あの皿、割っちゃったんだ」とメッセージを送りました。続けて、「同じものを探してたんだけど、どうしても見つからなくて」と打ち明けました。

彼女からは、怒りの言葉ではなく「言ってくれてよかった」という返事が届いたのです。たった一枚のお皿のことで、僕はずいぶん遠回りをしてしまいました。

次に何かを壊してしまったら、今度はすぐに正直に話そう。そう決めて、僕は彼女と新しいお皿を選びに行く約束をしました。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる