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西原金蔵さんの初夏のデザートレッスン|2種のフレッシュなグラニテのレシピ

  • 2026.5.26
撮影=高嶋克郎

日本のフランス菓子界を牽引する傍ら、素材本来の味わいと季節ならではのアレンジを、誰にでもわかりやすく伝えてきたパティシエの西原金蔵さん。さっぱりした甘さと香り、冷たさが広がるデザートを教えていただきました。

今回は、フレッシュな「木の芽とヨーグルトのグラニテ」と、こぼれるほどの果汁が広がる「パイナップルのグラニテ(パイナップルのサラダ)」のレシピをご紹介します。

砂糖を上手に使うと、素材の味が明確になり、新たな味わいが生まれます

──西原金蔵
撮影=高嶋克郎

にしはらきんぞう◯1953年岡山県生まれ。「京都グランドホテル」(現リーガロイヤルホテル京都)「レカミエ」(フランス・パリ)、「アラン・シャペル」(神戸ポートピアホテル)で研鑽を積み、87年「アラン・シャペル」本店(フランス・ミヨネ)で製菓長に就任。帰国後、銀座資生堂パーラー総製菓長等を経て、2001年京都にて「パティスリー オ・グルニエ・ドール」開業。03年「エスパス・キンゾーお菓子教室」、10年「サロン・ド・テ オ・グルニエ・ドール」開業(現在は閉業)。19年「コンフィズリー エスパス・キンゾー」開業。26年、フランス農事功労章シュヴァリエを受章。

長年にわたりフランス菓子の製造と普及に努め、このほどフランスの名誉ある国家勲章「農事功労章シュヴァリエ」を授与された西原金蔵さん。現在、京都で「コンフィズリー エスパス・キンゾー」を営みながら、自身のテーマに沿って菓子作りと研究を行っています。

今回教えていただいた品々は、いずれも材料はごくシンプルで、複雑な仕込みをする必要もなし。家庭で簡単に作ることができ、かつ新しい味の発見があるものばかり。素材にほどよく砂糖を加えて冷凍し、搔き出すときに香りを添えるフローズンデザートと、ソーダ水で仕上げる涼しげなドリンク、そして夏向きに爽やかなレモンを香らせたマドレーヌ。ひと口の甘みが嬉しいサイドメニューも加え、初夏に向けて提案いただきました。

「酸味のあるヨーグルトは、口当たりが夏にぴったりなので冷凍するだけ。ほぐすときに木の芽を加えると、葉に傷がついて香りが立ちます」と西原さん。それぞれの素材が初夏に合うだけでなく、ふたつが調和し新しい風味が表れます。

一方のパイナップルのグラニテは、ひと口大の果実を凍らせつぶしたもの。砂糖と合わせ、寝かせてから凍らせるので甘みが浸透し、もとの果実よりもおいしさが増します。「パイナップルは大きめのひと口大に切ってください。噛めばぎゅっとジュースが出てくるくらいに。頰張ると果実を存分に味わえます」。冷たい氷菓が口いっぱいに広がれば、思わず笑顔に。「いちごも砂糖と混ぜたときに表面に傷がつき、浸透圧で甘みが入り込んでいきます。香りと甘みたっぷりのいちごを冷凍し、つぶしてドリンクに入れれば、溶けても味が薄まらずおいしいままです」

撮影=高嶋克郎

もう一つのドリンクは、粉寒天で作る錦玉羹が涼しげ。ゼリーのような食感に南国のフルーツのソースが絡みます。レモンのマドレーヌは、皮をすりおろして生地に加えることで、爽やかな香りが広がるとともに、ほんのりとした苦みも。「軽やかな食感に仕上げるには、粉をふるって空気を含ませる、卵と砂糖はすぐに混ぜる、ゴムべらでボウルの縁を搔き取らないなど、ダマにならないように注意を」

西原さんが日ごろから考えているのは、「一つ一つの素材の味が明確にわかること」、そして「それらを咀嚼することによって、新しい味わいが生まれること」。砂糖を効果的に使って素材以上のおいしさを引き出す技を、日々配合や手順を考えて調整しながら研究しています。そのルーツは、師であるアラン・シャペルから教わった“デザートの哲学”。その技の集大成は、お店のスペシャリテ「パート ド クルスティヤン」に集約されています。

フランス菓子職人としての多大な功績が認められて贈られた「農事功労章シュヴァリエ」の勲章と勲記。今夏、式典が執り行われる。 撮影=高嶋克郎

シャリシャリのなかに最適の甘み──グラニテのレシピ

ハーブのようなフレッシュな香り

木の芽とヨーグルトのグラニテ

撮影=高嶋克郎

シャリッ、ふわっとした食感。酸味爽やかなプレーンヨーグルトに砂糖を加え、冷凍するだけのシンプルなデザートです。凍ったら木の芽と一緒に搔き取ると、香りが立ち、ヨーグルトに移ります。

材料(3~4人分/お好みで)
プレーンヨーグルト 400g
グラニュー糖 30~60g
レモン汁 1/2個分
木の芽 適量

作り方
1.ボウルにヨーグルトを入れ、グラニュー糖、レモン汁を加えて混ぜ合わせる。

2.1を保存容器に入れ、冷凍庫で凍らせる。

3.2が凍ったらフォークでほぐすようにかき混ぜる。このとき、木の芽を手でちぎりながら、数回に分けて加える。ほぐしながら木の芽を加えることで、香りが引き出せる。冷やしておいた器に盛る。

撮影=高嶋克郎
撮影=高嶋克郎
こぼれるほどの果汁を頰張って

パイナップルのグラニテ(パイナップルのサラダ)

〈左〉パイナップルのグラニテ〈右〉パイナップルのサラダ 撮影=高嶋克郎

パイナップルを砂糖と合わせてひと晩おき、サラダに仕立てたら残りは氷菓に。冷えた果肉を頰張れば、口の中に冷たさと溢れんばかりの果汁が広がり思わず笑顔に。大きくカットすることがポイント。

材料(約2人分/お好みで)
パイナップル(生) 150g
グラニュー糖 30g
ミントの葉 数枚
キルシュ 数滴

作り方
1.パイナップルは大きめのひと口大に切る。

2.ボウルに1のパイナップルを入れ、グラニュー糖を加えて混ぜ合わせ、保存容器に入れて冷蔵庫でひと晩寝かす。

撮影=高嶋克郎

3.冷蔵庫から2を取り出し、ミントを加える(パイナップルサラダの出来上がり)。

4.3を冷凍庫に入れ、凍らせる。

5.4が凍ったら大きなフォークで押しつぶすようにしてほぐす。お好みでキルシュを加え、冷やしておいた器に盛る(グラニテの出来上がり)。

撮影=高嶋克郎

6.残ったら再度冷凍庫で冷やし固め、5の作業を行うとまた楽しめる。

西原金蔵さんのスペシャリテ

砂糖菓子「パート ド クルスティヤン」はお店でぜひ

撮影=高嶋克郎

和菓子の琥珀羹をイメージしながら、異なるアプローチで作り上げた結晶のようなお菓子。しょうがや柚子、レモンタイム、フランボワーズなどを生かしています。写真は「パート ド クルスティヤン」Aセット1,850円。

DATA
時間/13時~17時(第2・4土・日曜に営業)
不定休
tel.075-212-8022
Google mapで確認
京都府京都市中京区菊屋町519-2

コンフィズリー エスパス・キンゾー

撮影=高嶋克郎 取材・文=大喜多明子 編集=平田剛三(婦人画報編集部)

『婦人画報』2026年6月号より

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特集「西原金蔵さんの初夏のデザートレッスン」

・2種のフレッシュなグラニテのレシピ(この記事)
・しっとり爽やかなレモンのマドレーヌのレシピ(5/27公開予定)
・果物の涼感たっぷりな、2種のソーダのレシピ(5/29公開予定)
・食材の自然な風味を生かした、クリスタリゼと生姜湯のレシピ(5/30公開予定)

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