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【レシピ】イタリアのマンマ直伝! ニョッキをこの上なくおいしく食べるためのコツとは?

  • 2026.5.8

日々の生活を彩るワインを自分らしく楽しむフィガロワインクラブ。イタリア人ライター/エッセイストのマッシが、イタリア人とワインや食事の切っても切り離せない関係性について教えてくれる連載「マッシのアモーレ♡イタリアワイン」。今回はマッシの大好物、マンマのニョッキについて! またまた直伝のレシピも大公開、そしてニョッキが日本で手に入る場所とは……!


イタリアの台所には、目に見えない魔法がある。それは高価なスパイスでも、最新の調理器具でもない。家族を想う愛情と、ゆっくりと流れる時間だ。

僕が子どもの頃、日曜日の午前中はいつもキッチンから聞こえる規則的な音で始まった。トントンとジャガイモを切る音、シュッシュと小麦粉が舞う音。そしてフォークの背を使って小さな生地を転がす、微かなリズム。それは、マンマがニョッキを作っている合図だった。

ニョッキは、イタリア語で「塊」を意味する。しかし、マンマの作るそれは、ただの塊ではなかった。それは、日々の慌ただしさを忘れさせて、家族をテーブルへと呼び寄せる「愛の結晶」だったのである。

「ジャガイモの呼吸を止めないように、優しくね」

僕の故郷、北イタリア・ピエモンテ州の冬は厳しい。霧が立ち込め、冷たい風がアルプスから吹き下ろす。そんな日、マンマは決まってニョッキを茹でた。

「マッシ、少し手伝って」

呼ばれてキッチンへ向かうと、そこには茹でたてのジャガイモの香りが満ちていた。マンマの手はいつも温かく、粉まみれだった。イタリアのマンマは計量スプーンをほとんど使わない。ジャガイモの水分量や、その日の湿度に合わせて、指先の感覚だけで小麦粉の量を決める。

「生地を練りすぎてはダメ。ジャガイモの呼吸を止めないように、優しくね」

そう言いながら、彼女は魔法のように黄金色の生地を細長い蛇のような形に伸ばし、手際よく切り分けていく。僕の役割は、その小さな一粒ひと粒にフォークで溝をつけることだった。不格好な僕のニョッキを見て、マンマは「それがあなたの味だね」と笑った。

その溝は、ただの飾りではなく、トマトソースやバターがよく絡むための、イタリア人の知恵だ。不揃いな形こそが手作りの証であり、その不完全さの中にこそ、機械では出せない温もりがあった。

お皿に盛られた熱々のニョッキを口に運ぶと、ジャガイモの滋味がふわっと広がり、次の瞬間には雪のように溶けていく。そのひと口で、外の寒さも、学校でのちょっとした悩みも、すべてがどうでもよくなった。マンマのニョッキは、僕にとって最高の心の特効薬だったのだ。

マンマ直伝:ジャガイモのニョッキ・レシピ

日本のキッチンでも、あの日の温もりを再現できるよう、マンマの教えをレシピにまとめた。ポイントは「ジャガイモ選び」と「スピード」だ。

【材料】(2〜3人分)

  • ジャガイモ(男爵などホクホクしたもの):500g
  • 強力粉:130g〜150g(ジャガイモの状態により調整)
  • 卵:1/2個(溶いたもの)
  • 塩:ひとつまみ
  • 打ち粉(強力粉):適量

【作り方】

  1. ジャガイモを茹でる:皮付きのまま水から茹でる。中心に竹串がスッと通るまで。皮付きで茹でることで、水分が入りすぎるのを防ぎ、ジャガイモの旨味を閉じ込める。
  2. マッシュする:熱いうちに皮を剥き、ポテトマッシャーやフォークで細かく潰す。ダマがないよう、滑らかにするのが理想だ。
  3. 生地を合わせる:潰したジャガイモを広げて少し蒸気を飛ばし、塩、卵、粉の2/3を振り入れる。
  4. 素早く練る:ここが重要だ。粘りが出ないよう、さっくりと混ぜ合わせる。残りの粉を加えながら、耳たぶくらいの硬さになり、手にくっつかなくなったら止める。
  5. 成形する:生地の塊をいくつかに分け、直径2cmほどの細長い棒状に伸ばす。1.5cm幅に切り、フォークの背で転がして溝を作る。
  6. 茹でる:たっぷりの塩を加えた熱湯に入れ、浮き上がってきたらすぐに網ですくい上げる。

お好みのトマトソースや、セージを効かせたバターソースで食べてほしい。口の中で解ける感覚があったら、成功の証だ。

日本でニョッキを買うなら……カルディで決まり!

マンマ直伝のレシピは最高だけど、現代の生活の中でジャガイモを茹でるところから始めるのは贅沢な時間かもしれない。そんな時、僕が日本で見つけた頼もしい味方が「KALDI」で手に入る「フラテッリ・バッタッリオーニ ポテトニョッキ」だ。

この青いパッケージのニョッキは、イタリア産の乾燥ジャガイモを使用していて、驚くほど本格的な食感を楽しめる。

フラテッリ・バッタッリオーニ ポテトニョッキの素晴らしさは、「モチモチ感」にある。手作りはふわっとした口溶けになることが多いけど、この商品は程よい弾力が魅力だ。常温で保存できるため、ストックしておけば「今夜はイタリアンにしたい」と思った瞬間に夢が叶う。

調理法は沸騰したお湯で約2分茹でる。浮いてきたら完成という手軽さだ。弾力がしっかりしているから、ゴルゴンゾーラなどの濃厚なチーズソースや、ミートソースに負けない存在感を発揮してくれる。また、茹でた後にフライパンで少し焼き色をつけると、外はカリッ、中はモチッとした「焼きニョッキ」になり、最高のおつまみへと変わる。

フォークの背でつけた不格好な溝こそが、誰かの心を温める。

忙しい日々の中で、完璧を目指す必要はない。こうした便利なアイテムを使いながら、食卓に「イタリアの風」を吹かせる。おいしくいただきたいという気持ちこそが、料理において最も大切なスパイスなのだ。

僕は日本に移り住んで約20年が経つけど、冬に金沢の雪景色を見ながらニョッキを作っていると、ふと、マンマのあの温かい手を思い出す。イタリアでも日本でも、大切な人を想いながら作る料理に境界線はない。僕がフォークの背でつけた不格好な溝に、マンマのソースがたっぷり溜まっていたように、読者のみなさんが作る料理も、誰かの心を温める溝を持っているはずだ。

効率やスピードが重視される時代だからこそ、たまにはジャガイモを潰す温かさに触れてみてほしい。手のひらから伝わるぬくもりは、どんなレシピ本よりも「愛」という味を教えてくれるだろう。

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