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花期がずれるからロングランで楽しめる【ヤマアジサイ×園芸アジサイ】の庭実例。管理のコツは?

  • 2026.5.22

花期がずれるからロングランで楽しめる【ヤマアジサイ×園芸アジサイ】の庭実例。管理のコツは?

春から初夏に移ろう時期、アジサイのある風景は、眺めるたび心をなごませるもの。多彩なアジサイを植栽し、その多様性を楽しんでいる庭の実例を紹介します。

特性を知ることで庭の彩りが豊かに

5月中旬を過ぎると、多種多様なアジサイが咲く、神奈川県にある青木さんの庭。敷地が広いため、表の庭には園芸アジサイ、裏の庭にはヤマアジサイを主に植え分けているそうです。お母さまの実家が、アジサイの育種で知られる静岡県の加茂荘花鳥園のすぐ近くだったことがきっかけで、奥さまがアジサイを集めるようになりました。

「小さな苗を購入したら、まずは鉢植えにして様子を見て、環境に合いそうだなと思ったら地植えにするようにしています」と青木さん。特にヤマアジサイは、鉢で育てている間に性質の違いを見きわめるようにしているとか。暗い場所に置いても花つきがいい、大型の品種は樹形を整えるのが難しい、など、観察していると個々の特性がわかってくるそうです。

多種のアジサイを育てているなかで、青木さんが優秀だと思うヤマアジサイのひとつ、‘七段花’。毎年、安定的に花が咲いている。ガク咲きで装飾花が八重になる繊細な花形。

ヤマアジサイ‘クレナイ’。咲き始めは白、名前のとおり、徐々に紅色になる色移りが楽しめる品種。

「主張しすぎず他の植物とも合わせやすい」と、青木さんがお気に入りのヤマアジサイ ‘仁尾ヶ内てまり’。

手前の ‘藍姫’も花つきのよいヤマアジサイ。落ち着きのあるブルーの花が庭をしっとりと引き立てる。

自生種と園芸種で長く開花を楽しむ

多くのアジサイを育てている青木さんが管理で特に気をつけているのは、鉢植えの置き場所だそう。

「夏は日陰になるところに、冬はひなたに置いています。真夏以外は日が当たったほうが花つきはよくなります」

鉢は大きくすると重くて移動が困難になるため、サイズは8号鉢までにし、それ以上になったものは地植えに。病害虫は、アブラムシがつくことがありますが、益虫と共存させて、薬剤散布は最低限にしています。

「水やりは夏になると1日2回していますが、ヤマアジサイのほうが園芸アジサイよりも水ぎれに強いと思います。葉が小さめで水分蒸散が少ないせいかもしれませんね」

落葉期の冬の間も2~3日に一度は水やりをするなど、開花期以外もていねいな管理を続けている青木さんです。

「試行錯誤しても花が咲きにくい品種もありますし、よく咲く年と咲かない年もあります。でもこれだけいろいろあるので、何かしら咲いてくれますし、ヤマアジサイと園芸アジサイの両方があると、花期がずれるのでロングランで楽しめます」

表の庭は園芸アジサイを多めに植えて華やかに。赤系の ‘花模様‘と白の ‘ラグランジア’。

ヤマアジサイは伸びている枝も生かしながら程よく剪定し、自然な風情になるようにしている。

清楚な白のガク咲きの花は、青木さんの庭で育ったという実生のヤマアジサイ。

青木さんのヤマアジサイコレクション

藍姫

濃い花色が特徴。地植えでは土壌の状態によって紫色から青、藍色になる。黒みを帯びた濃い葉色も魅力的。強健な性質で花つきがよく、青木さんも「毎年必ず咲く品種」と。

海峡

朝鮮半島南部、済州島原産のヤマアジサイ。藍姫と同様に強健な性質。濃い青色やさわやかな青色が美しい。シソを思わせる鋸歯のある葉も特徴。株は小ぶり。

九重の花吹雪

大分県九重連山原産。スティックブロッコリーのような花が一般的なアジサイにはない形状で特徴的。花房は小さいが小花が密集して咲く。赤紫や青紫色の濃い花色が美しい。

天城アマチャ

細い葉が特徴的で白のガク咲き。アマチャの葉を発酵、乾燥させ煮だしたものが甘茶。葉に含まれる甘味成分は本品種が最も多い。地名の天城は雨の多さや甘茶に由来するとされる。

※アジサイの葉には毒性成分が含まれ、食したり煎じて飲んだりするのは危険です。アマチャとアジサイの見分けは難しいので、アマチャと云えども口に入れないようご注意ください。

黒龍

黒味を帯びた濃い葉色で光沢のある細葉が特徴。青みのある紫色の花が咲くと、とてもシックでスタイリッシュ。株は比較的小型でまとまりがよい。ヤマアジサイの多様性を感じる一品。

七段花

星がきらめくような八重咲きが特徴の強健品種。シーボルトの『日本植物誌』に紹介されながら、日本では絶えてしまったとされていた。1959年六甲山で再発見され当時大きな話題となった。

天の川

装飾花のガク片の中心がかすりのように白くなったりする。フラットですっきりした装飾花で爽やかな印象。

撮影/柴田和宣 協力/田島道男

※この記事は『園芸ガイド』2026年夏号の記事を、WEB用に再編集したものです。

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