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【北九州市立美術館】今見るべき!「幻の」山岡コレクション「日本近代洋画への道」

  • 2026.5.4

北九州市で20年ぶりの開催!「幻の」山岡コレクション 「日本近代洋画への道」

こんにちは!リビングふくおか・北九州Web地域特派員のtokimekiのiroです。

北九州市立美術館で4月29日(水・祝)から「日本近代洋画への道 山岡コレクションを中心に」が開催されています。開会前日の4月28日に内覧会に行ってきました。その感動の様子をレポートしたいと思います。

北九州市立美術館では20年ぶりの開催となる、笠間日動美術館(茨城県笠間市)が所蔵する「山岡コレクション」は、ヤンマーディーゼル創業者である山岡孫吉氏が収集した、初期洋画の宝庫と評される作品群です。

本展では同コレクションを中心に、日本洋画の父と言われる高橋由一をはじめとして、黒田清輝、藤島武二、青木繁ら、日本洋画の礎を築いた巨匠たちの作品約150点を一堂に集め、幕末から明治にかけての日本近代洋画形成期を振り返る、大変見ごたえのある展覧会です。

日本近代洋画 第一人者の「高橋由一」の名画《鮭図》(1879-80)

主催者・後小路雅弘館長の心に響く挨拶の言葉!

北九州市立美術館の後小路雅弘館長は、開会にあたり、主催者挨拶をしました。以下のような内容です。

「『日本近代洋画への道 山岡コレクションを中心に』とは、日本の幕末から明治にかけての日本近代洋画形成期を振り返るものです。"美術"という言葉が日本で初めて使われたのは、明治5(1872)年からで、ヨーロッパの言葉を翻訳して使われ始めました。つまり、日本に"美術"がなかった頃、そして言葉として使われ始めた頃、日本人が何をどう描いたら"美術"となるのか?"美術"とは何なのか?"美術"ができるということは、"美術"じゃないものもできる。その混沌とした中で"美術"が出来上がってくるところを見ていただきたいです。この日本に"美術"が誕生する瞬間を、この展覧会を通じてその時代の"美術"にふれ、心豊かな時間を過ごしていただきたいと思います」(後小路館長)

私は、当日この北九州市立美術館で、「日本に"美術"が誕生する瞬間」に立ち会える喜びと期待感で、胸がいっぱいになりました。

後小路雅弘館長の挨拶で開会しました。とても胸が高まるスピーチでした!
来賓のテープカットです。来賓の挨拶で北九州市議会副議長の村上直樹さん(写真左)は「本展は市民が豊かな感性を育む貴重な機会、市民にとって大きな喜びです」と話しました
会場は、本館1F企画展示室です。いざ内覧会へ入場です

日本の"美術"が誕生する瞬間、展覧会への入口

ヤンマーディーゼル創業者である山岡孫吉氏が、戦後の日本産業の復興・発展に多大なる貢献をしたとともに、文化・美術に高い関心を持ち、特に絵画の収集に注力し、著名な絵画を数多く購入しました。そしてその後、山岡氏の子孫が大切に代々受け継いだ多くの作品を、「なるべく多くの人に良い状態で鑑賞してほしい」との想いの元、2001年に笠間日動美術館に「山岡コレクション」として所蔵されることとなり、これを機に長い間眠っていた作品が、全国を巡回することになりました。

それ故に、幕末明治文化や、日本の近代美術にとって「山岡コレクション」は、まさに「幕開け」であり「維新」となったのです。本展はその時期により3章で構成されています。

ヤンマーディーゼル創業者である山岡孫吉氏の功績をたどります

第1章:江戸幕末の洋画風(写実的描写を目指して)

主な出品作家:円山応挙/司馬江漢/高橋由一/チャールズ・ワーグマン/橋本雅邦

伝 信方・《達磨図》(桃山~江戸時代)。展覧会はこの絵から始まります
伝 円山応挙・《志那風景/三十三間堂》(1733-1795)

名画・日本近代洋画 第一人者の「高橋由一」の名画《鮭図》

高橋由一・《鮭図》(1879-80)生々しい描写で鮭の色が写真やパンフレットで見るのとはまるで違います。圧巻の存在感を放っていました
《鮭図》を前にする後小路雅弘館長です
高橋由一・《丁髷姿の自画像》(1866-67)こちらが、作家の高橋由一氏です

第2章:明治初期留学生と工部美術学校(西洋美術教育のはじまり)

主な出品作家:百武兼行/山本芳翠/五姓田義松/浅井忠/小山正太郎/山下りん/ジョルジュ・ビゴー

百武兼行・《ブルガリアの女》(1882)
ラファエル・コラン(1850-1916)・《婦人像》コランの弟子黒田清輝、久米桂一郎らが創立した白馬会第8回出品作(当時の題名は《樹陰》」)です

第3章:明治外光派と浪漫主義(色彩かデッサンか。白馬会が吹き込んだ新風)

主な出品作家:中村不折/久米桂一郎/黒田清輝/藤島武二/岡田三郎助/和田英作

黒田清輝・《黒田清兼像》(1907)清兼は黒田の実父。黒田は6歳の時、伯父(清兼の兄)の養子となっていますが、この肖像画は(1904年)実父が上京の折制作されました
藤島武二(1867-1943)・《観桜会》
藤島武二・《婦人像》(1927)

展示の流れ。絵画の額縁と展示壁の色彩のコントラストの美しさ

初期洋画の宝庫と評される作品群、150点の展示は額縁の美しさももちろんですが、展示の壁の色も工夫されていて、青や緑・紫と変化して絵画がとても映えます。

出典:リビングふくおか・北九州Web
橋本邦助(1884-1953)・《姉妹》
青木繁・《二人の少女》(1909)
岸田劉生(1891-1929)・《村娘之図》 〈スペシャル〉「日本」近代洋画を超えていく画家たち(特別出品:他、佐伯祐三ら)

後小路雅弘館長に聞く「本当の美術館の楽しみ方!!」の珠玉の言葉

荻原碌山のブロンズ像《女》の作品の前で、後小路雅弘館長にお話を聞くことが出来ました。

約150点のたくさんの作品の中で、ブロンズ像はこの1点だけです。

荻原碌山は、新宿「中村屋」の「相馬黒光」をモデルにこの彫刻を制作したそうですが、後小路雅弘館長が高校生の頃、この新宿「中村屋」の相馬夫婦を描いたドラマで、モデルの「相馬黒光」と「荻原碌山」が登場する、「パンとあこがれ」というテレビドラマがあったそうです(調べましたが現在は見れず残念です)。

日本はそれまでの彫刻は仏像中心でしたが、動きやポーズが生まれ、人間の生命力を感じる、リアルな内面を表現するようになったそうです。大変貴重な話を聞くことが出来ました。

荻原碌山・《女》(1910)・フランスに留学し、ロダンの彫刻に衝撃を受けて、日本の近代彫刻を切り開いた彫刻家です
荻原碌山のこのブロンズ像のポーズは、西洋のロダンの影響を受けて「内なる生命の躍動」を表現しているとされ、代表作の《女》は日本の近代彫刻の最高傑作と言われているそうです。
出典:リビングふくおか・北九州Web

また、後小路館長は『作品について「これはわからない」とか、「良くない」「見たくもない」「不快で不安」と感じるものもありますが、私は「それがよい」と思うし、そういう作品を「推します!」』と言います。一瞬「え?そうなんですか!」と驚きましたが、後小路館長は、『「わからないと思わせる」ことで、「わかりたい自分になる」そして、「わかる瞬間になる」と話しを続けました。

「名作にふれて自分の美術に対する認識は育ってきた」ので、とらわれすぎず、「自分の目で見る!そして、自分の名作を見つけてほしい」と後小路館長。「友達もそうだけど、意外と初対面で『不快・不安』を抱いた人が『良い友達になる』のと同じです」と話してくれました。

「この話は、美術館の楽しみ方の極意だ!」と、私は、聞きながら感動で胸いっぱいになりました。この荻原碌山のブロンズ像《女》の前で後小路館長から聞いた話は、私の一生の宝となりました。そして、荻原碌山の《女》は私の友達になりました。

美術館内散歩・ミュージアムショップ

明るく吹き抜ける美術館内の空間は開放感にあふれ、何時間でも過ごせる気持ち良さです
高橋由一氏の《鮭図》にちなんで、「鮭」グッズがたくさんありました。全部可愛いです

展示会の感動さめやらず、美術館内の喫茶店「カフェ・ミュゼ」に寄りました

美術館内の「カフェ・ミュゼ」では、「日本近代洋画への道 山岡コレクションを中心に」の期間限定特別メニューがありました(ランチタイムのみ、税込3080円)。

内容は「サーモンのムニエル2種のソース(焦がしバターソースとタルタルソース)」「サラダ盛り合わせ」「オニオンスープ」「パンまたはライス」「バウムクーヘン生クリーム添え」「コーヒーまたは紅茶」です。

名画・高橋由一の《鮭図》にちなんだ、「サーモン」ですね。とても美味しそうです。でも、私は内覧会に行ったので、翌日からのメニューになり残念です。この情報があるので、次回は「日本近代洋画への道」を見て、「カフェ・ミュゼ」で限定ランチ決まりです!窓際の景色の良い席がお薦めです。

「日本近代洋画への道 山岡コレクションを中心に」の期間限定特別メニュー
「日本近代洋画への道 山岡コレクションを中心に」の図録は抱きしめていたいほど素晴らしい1冊です(税込1800円)
是非 美術館に行きましょう!

1974年の開館から52年目を迎えた、私たちの美しい「北九州市立美術館」は、建築界のノーベル賞であるプリツカー賞を受賞した、磯崎新氏が設計した、現存する貴重な建築物でもあります。2本の筒が前方に迫り出す独特な外観から「丘の上の双眼鏡」として今も市民に愛されています。

開館以前から始まった収集活動により、今では内外の近代美術を中心に約8000点の作品を収蔵しているそうです。

新緑の美しい季節に、この戸畑の美しい美術の森「北九州市立美術館」へ、家族や仲間と、また一人でも是非行ってみてください。絵画や芸術を見て・考え・感じ、時と場所を超えて、たとえわからなくても「楽しむ」事ができます。

「友達の家に遊びに行くように」「友達に会いに」「自分の名作を見つけに」、気軽に行ってみてください。きっと、友達が待っていてくれると思いますよ。

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