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「生理なんてなくなればいいのに」と何度も思った私が考える「生理の貧困」と社会への問い|連載 #こころをほどく

  • 2026.5.3

月経のある人にとって、生理用品は日常生活に欠かせない必需品です。

韓国政府は2026年3月に、生理用品を誰でも使えるよう公的施設に設置するパイロット事業が発表されました。低所得層向け支援とは別に、所得や年齢にかかわらず利用できる仕組みとして注目されています。日本でも一部の市区町村の公共施設で、生理用ナプキンを無料で受け取れるシステムの導入が始まっています。

生理用品が無償配布されていたら、助かる場面がたくさん想像できるから、正直とーーっても羨ましく思いました。

ただ、生理用ナプキンの無償配布の話題が出るたびに、「そのくらい自分で買え」「税金の無駄」という声が上がります。

そんな批判を見るたび、モヤモヤしてしまいます。

トイレにトイレットペーパーがあることを、誰も贅沢とは言わないのに、なぜ生理用品が置かれていると“甘え””女だけ優遇されている”という考えになるのでしょうか。

“生理の貧困”というワードは、最近よく知られてきているのではないかと思います。

女性読者の皆さんはお分かりかと思いますが、”生理の貧困”は、単に経済的に生理用品を買えないことだけを示す言葉ではなく、もっと多くの問題を含んでいますよね。

例えば、
生理用品を買う経済的余裕がない
生理について正しい知識がない
清潔なトイレや水がない
周囲の偏見や羞恥心で助けを求められない

などが挙げられるかと思います。

生理の貧困は、単に生理用品を買えないことだけではありません。必要な用品や衛生環境、知識、支援にアクセスできないことで、学校や仕事を休まざるを得なくなり、結果として学習機会や就労機会、収入を失うことにもつながります。

特に経済的負担に関しては、ナプキンだけでなく、生理痛の軽減のために痛み止めを買ったり、生理用ショーツを買ったりと、なんだかんだお金がかかります。

また、生理の悩みは経済的なことだけでなく、急に生理が来たり外出先で切らしたり、DVや家庭環境の問題で買えないことや、学生だと親に言い出しづらいといったことも挙げられます。

私は生理周期が安定してなくて、外出中に急に生理になることがしばしば。その日たまたまナプキンを持ち歩いていなくて、慌ててドラッグストアへ駆け込んだことが幾度となくあります。

お手洗いで生理に気づいてから、ドラッグストアで生理用品を手に入れるまでは、焦りと心配で頭がいっぱい。仕事をしている場合じゃなくなります。

こういった生理の悩みが結果的に、授業を休む、部活を休む、バイトに行けない、就活や仕事に支障が出る、十分な力を発揮できないなどの小さな機会損失となって、積み重なります。

生理の貧困は、買えないという経済的な理由だけでなく、もっと多くの問題が連なって起きているのです。

私はアナウンサー時代、長時間立って進行しなければいけない番組の日やピチピチとしたタイトな衣装を着させられる日に生理が被りそうになったら、ピルを使ってわざわざ生理日を移動させていました。

長い収録や生放送の時に、進行を担当する人間が席を外すことはできないし、男性の司会者ばかりの中、貧血や生理痛で座ることが許されないため、自分の生理を移動させるしかなかったのです。

ピルの代金という経済的負担もですし、身体的にも重く負荷がかかるので、「生理なんてなくなればいいのにっ!!」と何度も思ってきました。

生理用品にかかる税金についても、私はずっと疑問視しています。

日本では、生理用品は消費税10% です。

2019年の軽減税率制度では、食料品などは8%になりましたが、生理用品は対象外でした。つまり、生活必需品であっても、標準税率のままです。

一方、国際的な視点で見てみると、イギリスでは2021年に生理用品への付加価値税がゼロ税率化され、ドイツでは19%から7%へ引き下げられました。オーストラリアやカナダでも税負担の見直しが行われています。

好きで女として生まれてきたわけではないのに、生理のせいで女性だけ負担を多く背負ったり、学業や仕事に影響を受けて機会損失が生まれるのは、本当に悔しいことです。

日本人は、トイレットペーパーを自己責任で持参して、とは言いませんよね。

月経がある女性にとって、生理用品はトイレットペーパーと同じくらい生活必需品なのです。

だから、生理用品の無償提供に「女性だけ得をしている」と思う人たちは、やはり間違っています。

そして、せめて税率負担を減らすべきです。

これまで生理は個人の問題として処理され続けてきて、血も痛みも見えない場所に押し込められてきました。

生理用品の無料配布をめぐる議論は、ナプキンの値段の話ではありません。

社会が、今まで見てこなかった負担をどれだけ減らして、月経による機会損失を生み出さないようにするかが肝要なのです。

月経は生殖に関わる自然な身体機能のひとつです。けれど、そのことによる負担まで個人が黙って引き受けなければならない社会であっていいはずがありません。月経に伴う負担を減らすことを、もう少し社会全体の課題として捉えてもらえたらと思います。

渡邊渚

4月13日生まれ、新潟県出身。慶應義塾大学を卒業後、株式会社フジテレビジョンに2020年に入社。2024年8月末に同社を退社。現在はフリーで活動中。

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