1. トップ
  2. レシピ
  3. 同じカロリーでも太る——”炭水化物ばかり”で代謝が下がると判明

同じカロリーでも太る——”炭水化物ばかり”で代謝が下がると判明

  • 2026.4.19
パンなどの炭水化物ばかりだと太りやすい / Credit:Canva

「最近あまり食べていないのに、なぜか体重が増えている気がする」

そんな経験に心当たりはないでしょうか。

私たちは一般に、太る原因は食べ過ぎだと考えがちです。

ところが最新の研究は、その常識に揺さぶりをかけています。

大阪公立大学大学院生活科学研究科の松村成暢准教授らの研究によると、パンや小麦粉、米粉といった高炭水化物食品に偏った食事は、総摂取カロリーが大きく増えていなくても、体重や脂肪の増加を引き起こす可能性があることが分かりました。

この研究は2026年1月22日、栄養学・食品科学分野の国際誌『Molecular Nutrition & Food Research』に掲載されています。

目次

  • マウスは炭水化物を好み、体重が増えた
  • なぜ同じカロリーでも太るのか、マウスの体の中で起きていた変化とは?

マウスは炭水化物を好み、体重が増えた

肥満は糖尿病や脂質異常症、心血管疾患などのリスクを高めることから、世界的に重要な健康問題とされています。

これまでの肥満研究では、主に脂質の過剰摂取が原因と考えられ、高脂肪食を用いた動物実験が多く行われてきました。

しかし、私たちが日常的に食べている主食の多くは、パンや米、麺類などの炭水化物です。

そこで研究チームは、脂質中心だった従来の研究の枠組みを広げ、高炭水化物食品の影響を詳しく調べました。

実験では、栄養バランスの整った標準飼料とあわせて、パンを選べる条件、小麦粉を選べる条件、米粉を選べる条件をそれぞれ設け、マウスが自由に選んで食べられるようにしました。

さらに研究チームは、体重の変化だけを見るのではなく、呼気ガス分析による間接熱量測定でエネルギー消費量を調べ、血液中の代謝物や肝臓で働く遺伝子の変化まで幅広く解析しました。

その結果、マウスはパンや小麦粉、米粉に強い嗜好性を示し、標準飼料の摂取量が大きく減りました。

そして総摂取カロリーが大きく増えていないにもかかわらず、体重と脂肪量が増加したのです。

特に小麦粉やパンを選べる条件では、比較的早い段階から体重増加が見られました。

また米粉でも同じように体重が増えたことから、この現象は小麦だけに特有のものではなく、嗜好性の高い炭水化物食品への偏りと関係している可能性が見えてきました。

では、なぜ炭水化物ばかり食べると、体重が増えるのでしょうか。

なぜ同じカロリーでも太るのか、マウスの体の中で起きていた変化とは?

研究チームが注目したのは、エネルギー消費量です。

呼気ガス分析の結果、高炭水化物食品に偏った食事をしていたマウスは、活動量が大きく変わらないにもかかわらず、エネルギー消費量が低下していました。

これは、同じように動いていても、体がエネルギーをあまり使わなくなっていたことを意味します。

つまり今回の体重増加は、単純な食べ過ぎではなく、体の「燃やし方」が変わったことで起きていた可能性があります。

体の中では、さらにいくつもの変化が起きていました。

血液中では脂肪酸が増える一方で、必須アミノ酸の濃度が低下していました。

研究チームは、マウスが標準飼料をあまり食べず、小麦粉などに偏ったことで、アミノ酸の摂取バランスが崩れた可能性があると考えています。

また肝臓では、脂肪酸を合成する遺伝子や、脂質を体内に運ぶ遺伝子の発現が増加していました。

顕微鏡で観察すると、肝臓には脂肪の粒が多数見つかっており、体がエネルギーを使うよりも、ため込みやすい状態に傾いていたことがうかがえます。

こうした結果をまとめると、嗜好性の高い高炭水化物食品に食事が偏ることで、栄養バランスが崩れ、エネルギー消費が落ち、脂肪をため込みやすい代謝状態へ移っていた可能性があります。

興味深いのは、この変化が固定されたものではなかった点です。

小麦粉の摂取を中止すると、体重増加は速やかに止まり、脂肪の蓄積や血液中の指標も改善に向かいました。

これは、小麦中心の偏った食べ方から、よりバランスの取れた食事に戻すことで、体の状態も比較的早く立て直せる可能性を示しています。

ただし、この研究には限界もあります。

実験はあくまでマウスで行われたものであり、人間でまったく同じことが起きるとまでは言えません。

また、今回使われたのは精製された小麦粉や米粉で、全粒粉や食物繊維を多く含む食品、あるいはタンパク質や脂質と組み合わせた実際の食事とは条件が異なります。

今後は、人間を対象に、こうした代謝変化がどの程度当てはまるのかを確かめる必要があります。

今回の研究が示しているのは、「パンが悪い」「米が悪い」という単純な話ではありません。

むしろ、嗜好性の高い高炭水化物食品に偏った食べ方そのものが、体の代謝を変えてしまう可能性があるという点です。

太るかどうかはカロリーだけで決まるのではなく、食事の偏りも大きく関係しているのです。

参考文献

炭水化物好きは太りやすい ~同じカロリーでも体重・脂肪が増加すると判明~
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-22502.html

Researchers Found Out Why Bread Makes You Gain Weight Even If You Don’t Eat Extra Calories
https://www.zmescience.com/science/news-science/bread-weight-gain-study/

元論文

Wheat Flour Intake Promotes Weight Gain and Metabolic Changes in Mice
https://doi.org/10.1002/mnfr.70394

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる