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70代父と同居する娘→「最近、父の口臭が気になる」歯医者に連れて行くと…医師から指摘された“想定外の原因”とは?

  • 2026.7.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

「最近、父の口臭が気になる」。食後の会話でそう感じたとき、家族が最初に思い浮かべるのは歯磨き不足かもしれません。

ただ、高齢の家族の口の変化は、本人が面倒になっただけとは限りません。今回は、歯磨きの手順や入れ歯の扱いをきっかけに、生活全体の変化に目を向けるようになった家族のお話です。

Aさん家族に起きたこと

Aさんは50代女性で、70代の父親と同居しています。父親はもともと身だしなみに気を配る人で、食後の歯磨きも欠かさないタイプでした。

ところが、ある時期から食後の口臭が気になるようになります。洗面所をのぞくと、歯ブラシが乾いたままの日がありました。入れ歯のケースに、食べかすが残っていることもあります。

最初は「雑になったのかな」と思い、Aさんは少し強い口調で注意してしまいました。しかし父親はいつも「磨いたよ」と答えます。
けれども、様子を見ていると少し違いました。歯磨き粉を出したあと、何から始めるのか分からず、洗面台の前で止まっていることがあります。入れ歯を外したまま、洗う前に別のことを始めてしまう日もありました。

歯医者へ付き添った際、Aさんは洗面所での様子、入れ歯の扱い、食事に時間がかかることを伝えました。歯医者では磨き残しと入れ歯の汚れを確認し、「手抜き」ではなく、歯磨きの手順そのものが難しくなっている可能性を指摘されたのです。

主治医にも共有すると、認知機能の低下が日常動作に影響している可能性があると説明されました。原因は入れ歯そのものではなく、歯磨きの順番を組み立てにくくなっていたことだったのです。

歯磨きは、いくつもの手順でできている

私たちは毎日当たり前のように歯を磨いていますが、実はこの習慣、いくつもの細かい動作が組み合わさって成り立っています。

「歯ブラシを手に取る」「歯磨き粉をつける」「順番に磨く」「うがいをする」「入れ歯を外して洗う」といった一連の流れのなかで、どこか一箇所でもつまずいてしまうと、お口の中をきれいに保つことは難しくなってしまいます。

特に、認知機能の低下が見られるようになると、こうした動作を頭の中で計画し、順番通りに進めること自体が大きな負担になることも。歯ブラシをうまく動かせなかったり、入れ歯を洗う手順が分からなくなったり、声をかけられても次に何をすべきか戸惑ってフリーズしてしまうような場面が増えてくるのです。

結果として磨き残しが増え、虫歯や歯周病、さらには口臭や食べづらさを引き起こすことも少なくありません。ここで「最近、手抜きをしているな」「やる気がないのかな」と決めつけてしまうと、本当に必要な手助けやサポートを見逃してしまう恐れがあります。

「ちゃんと磨いて」は伝わらない?家族ができる優しいサポートと声かけのコツ

できないことを責めてしまう前に、まずは本人の様子や洗面所の環境をそっと観察してみましょう。

「歯ブラシが乾いたままになっていないか」「洗面台に使った形跡があるか」「入れ歯が外されたまま放置されていないか」といった変化のほか、食事の後に口の片側だけに食べ物が残っていないかどうかも大切なチェックポイントです。

声をかけるときは、「ちゃんと歯を磨いてね」とあいまいな指示を出すよりも、「一緒に洗面所へ行こうか」「まずは上の歯から磨いてみよう」というように、次に取るべき動作を一つずつ分かりやすく伝えてみてください。一歩ずつのステップに分けることで、本人もスムーズに動きやすくなります。

また、歯医者さんを受診する際には、口臭や磨き残しの有無だけでなく、「歯磨きの途中で手が止まってしまう」「入れ歯の洗い方が分からなくなっているようだ」といった具体的な日頃の様子も伝えてみてください。歯科医師や歯科衛生士に普段の様子を共有することで、その方に合わせたケア方法や、ご家族が無理なくサポートできる具体的なアドバイスをもらいやすくなります。

お口のサインを見逃さず、家族みんなで健やかな毎日を

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

大切な家族の口臭や磨き残しが気になると、つい「もっとちゃんと磨いて」と焦ってしまいがちです。けれど、それは本人の手抜きではなく、「少しサポートが必要だよ」という体や心からの大切なサインかもしれません。

「これまでできていたこと」が難しくなった背景には、認知力の低下が隠れていることがあります。できていない部分を責めるのではなく、「最近どんな様子かな?」と優しく見守りながら、歯医者さんや主治医の先生に相談してみてくださいね。

口のケアを続ける工夫は、食事や会話を支える生活の土台になります。

一人で抱え込まずに専門家に頼ることが、大切な家族の笑顔と、心地よい食事や会話を支える温かい一歩になりますよ。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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