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「水道代ゼロ」戸建てを“400万円安く”購入→入居後、妻と子3人暮らし40代夫を襲った落とし穴

  • 2026.4.19
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

物件探しをしていると「このエリアでこの価格は安すぎるのでは?」と感じたことはありませんか?ポータルサイトを見ていても、周辺相場より数百万円単位で安い物件が目に入ると「これは掘り出し物かもしれない」と期待してしまうものです。

また、家賃を払い続けることに疑問を感じ「どうせなら購入した方が得ではないか」と考えるタイミングも、多くの方に訪れます。

ただし、“相場より明らかに安い物件”には、「理由」があります。そして、その理由は広告上では十分に伝わっていないことも少なくありません。

今日は、相場より400万円安い戸建てに惹かれて購入を決断した結果、日々の生活に強いストレスを感じることになった40代男性Aさんの事例をご紹介します。

相場より400万円安い戸建てに出会ったAさん

Aさんは40代の会社員。妻と子ども1人の3人暮らしでした。これまで長く賃貸で生活してきましたが、ふとした瞬間にこう感じるようになります。

「このまま家賃を払い続ける意味ってあるのだろうか」

そんな思いから、中古戸建ての購入を検討し始めました。ある日、ポータルサイトで物件を探していると、目を疑うような情報が目に入ります。同じエリアの相場より、約400万円も安い戸建て。

「え、この条件でこの価格…?」

築年数も極端に古いわけではなく、立地も悪くありません。むしろ、売れ残っている理由が気になるレベルでした。

「この価格ならローンもかなり楽になる。少しでも早く動かなければ、他の人に取られるかもしれない」

不安よりも、“お得かもしれない”という期待が上回っていきます。少しの違和感を覚えながらも、Aさんは内見の予約を入れました。そしてこの時点で、すでに判断は“価格ありき”になっていたのです。

安さの理由は“井戸水と浄化槽”だった

内見当日、ひと通り室内を見終えたタイミングで、営業担当から説明がありました。

「こちらの物件ですが、井戸水と浄化槽(生活排水を敷地内で処理する設備)を使用しています」

Aさんは、その言葉に少し引っかかりを覚えます。

「それって…やっぱり不便なんじゃないですか?」

すると営業担当は、間髪入れずにこう答えました。

「最初は気になるかもしれませんが、慣れてしまえば問題ありませんよ。むしろ水道代がかからない分、ランニングコストは抑えられます」

“コストが安い”という言葉に、Aさんの気持ちは大きく揺れます。確かに、住宅ローンに加えて毎月の固定費が抑えられるのであれば、家計にとっては大きなメリットです。

実際、井戸水や浄化槽には以下のようなメリットもあります。

  • 水道料金がかからず、長期的なコストを抑えやすい
  • 災害時でも水が使える可能性がある(井戸設備の状態による)
  • 地域によっては一般的な設備で、問題なく生活している世帯も多い

一方で、当然ながらデメリットも存在します。

  • 水質や水圧が安定しない可能性がある
  • 飲用に不安を感じるケースがある
  • 浄化槽の定期点検・清掃が必要(費用と手間がかかる)
  • においやトラブルが発生する場合がある
  • 売却時に敬遠されやすい

つまり、良し悪しは「設備そのもの」ではなく、自分の生活に合うかどうかで判断すべき内容でした。しかし当時のAさんは、そこまで深く考えませんでした。

「多少の違いはあっても、生活できないほどではないだろう」

そう自分に言い聞かせるように納得し、本来であれば確認すべき水質検査やメンテナンス履歴なども、十分にチェックしないまま購入を決断してしまいます。

安い理由を正しく理解しないまま進めた選択が、後々の生活に大きな影響を与えることになるとは、この時のAさんはまだ想像していなかったのです。

入居後に気づいた生活の違和感

入居して間もなく、Aさんは違和感を覚え始めます。最初に気になったのは、水の使い勝手でした。

  • シャワーの水圧が急に弱くなる
  • 時期によって水に砂が混じる
  • 飲み水として使うことに不安を感じる

「こんなものなのか…?」

最初はそう自分に言い聞かせていましたが、日常の中で少しずつストレスが積み重なっていきます。結局、Aさんの家庭ではミネラルウォーターを常備するようになりました。

当初メリットとして感じていた「水道代がかからない」という点は、実質的に意味をなさなくなっていきます。さらに、想定以上に負担だったのが浄化槽でした。

  • 定期的な点検や清掃が必要(年に数回)
  • 維持費が年間数万円単位で発生
  • 夏場になると、においが気になる場面がある

生活していく中で、「設備を維持する手間」が確実に増えていきました。安さに惹かれて選んだはずの住まいが、気づけば日常的に気を遣う場所へと変わってしまっていたのです。

安い理由は「自分にとって許容できるか」で判断する

井戸水や浄化槽は、決して悪い設備ではありません。実際に地方では一般的であり、適切に管理されていれば快適に暮らしている方も多くいらっしゃいます。

ただし重要なのは、自分の生活に合うかどうかです。

Aさんのように、価格の魅力だけで判断してしまうと、日々の生活における小さな違和感が積み重なり、やがて大きな後悔へと変わっていきます。

購入前には、最低限以下のポイントを確認しておく必要があります。

  • 水質検査の有無と結果
  • 井戸設備のメンテナンス履歴
  • 浄化槽の維持費と清掃頻度
  • 近隣住民の利用状況や評判

そして何より大切なのは「なぜこの物件は安いのか」を納得できるまで掘り下げることです。不動産において安さは大きな魅力ですが、その裏にある理由を見誤ると、生活そのものの質が下がる可能性があります。

価格だけで判断するのではなく、その条件を自分が受け入れられるかという視点を持つことが重要です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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