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築48年団地を650万円フルリノベも「突然キッチンの下から…」GW明け、30代夫婦が直面した“悲惨な現実”【一級建築士は見た】

  • 2026.6.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「リノベは完璧でした。キッチンも壁紙も、自分たちの理想通り。でも、5月のある日、突然キッチンの下から茶色い水が…」

そう話すのは、築48年・3LDK・約65㎡の団地を約1,800万円で購入し、内装フルリノベに約650万円かけたDさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。「築古でも、リノベすれば新築同然になる」という不動産会社の説明に共感し、購入を決めたといいます。

ところがGW明けのある日、キッチンのシンク下から茶色く濁った水が逆流してきました。原因は、団地全体の縦配管(数十戸が共有する排水管)の劣化。専有部のリノベがどれほど美しくても、共用部の老朽化までは個人の力では解決できない──築古団地ならではの現実に直面した瞬間でした。

「専有部」と「共用部」の境界線

集合住宅には、所有者が自由に使える「専有部」と、住民全員で共有する「共用部」があります。

専有部は、住戸内の壁紙・床・キッチン・浴室・トイレなど、室内のリノベーションで自由に変えられる部分です。一方、共用部には、外壁・廊下・階段・エレベーターのほか、各住戸を結ぶ縦配管(給排水管・ガス管・排気ダクト)などが含まれます。

築古団地では、共用部の縦配管が築年数なりに古いまま、というケースが少なくありません。専有部の横引き配管(キッチンや浴室から縦配管までの短い区間)はリノベ時に交換されることがありますが、縦配管は住戸を貫通しているため、個別での交換は基本的にできないのです。

5月以降に表面化しやすい「配管のトラブル」

団地特有の配管トラブルは、5月以降に表面化しやすい傾向があります。

気温と湿度が上がる5月は、配管内の汚れや有機物が発酵しやすくなり、詰まりや逆流が起きやすくなる時期です。また、室内側にドレン管を接続しているなどエアコンの設置状況によっては、夏場に冷房使用が増えると大量のドレン水(結露水)が室内の排水管に流れ込み、劣化した縦配管に普段以上の負荷をかけるケースもあります。

築40年を超える団地では、縦配管に使われている素材自体にも問題が潜んでいます。古い物件では排水管に「鋳鉄管」が使われていることが多く、内部に錆や汚れが堆積して水の通り道が狭くなっているケースがあります。築年数によっては初期の塩ビ管が使われていることもあり、いずれも経年でつなぎ目の劣化や内部の汚れが進みやすくなります。Dさんのキッチンから茶色い水が逆流したのも、配管内部の堆積物が一因でした。

専有部のキッチンや浴室の配管(横引き配管)はリノベ時に新しいものに交換されることがありますが、その先の縦配管が古いままだと、結局トラブルは下流の縦配管側で起きてしまうのです。

Dさん夫婦はどう対応したのか

配管トラブルが起きたDさん夫婦は、まず自治会・管理組合に状況を報告。同じ縦配管を共有する他の住戸でも同様の症状が出ていたことが分かり、管理組合主導での縦配管交換工事が計画されました。

専有部側でも、キッチン下の床の張り替えと配管周りの清掃で約15万円。

振り返れば、配管の更新状況については、購入時の重要事項説明や管理組合の資料の中で触れられていたといいます。ただ、Dさん夫婦は内装リノベの美しさに気持ちが向いていて、共用部である縦配管の状態までは十分に気に留めていませんでした。

「説明そのものはあったはずなのに、自分たちが建物全体の状態にまで意識を向けられていなかった」とDさんは振り返ります。

「個人のリノベ」では救えない部分を見ておく

築古団地のリノベ物件を検討する際は、専有部の美しさだけでなく、建物全体の状態を確認することが大切です。

・大規模修繕の実施履歴:とくに縦配管の更新時期と次回予定
・縦配管の素材と築年数:鋳鉄管・塩ビ管などで耐久性が異なる
・修繕積立金の残高と長期修繕計画
・管理組合の活動状況:総会の議事録、理事の交代頻度
・過去の漏水・配管トラブルの履歴

これらの情報は、不動産会社や売主、管理組合に確認するほか、長期修繕計画書や総会議事録で把握できる場合があります。リノベ済みの専有部だけを内見して判断するのではなく、「建物全体の健康診断」を済ませているかを必ずチェックしてください。

「団地リノベ」が合う人もいる

ここまで共用部のリスクを中心に紹介してきましたが、団地リノベが暮らしにフィットする人もいます。

新築マンションでは予算的に手が届かない立地に住める、自分好みの内装で個性を出せる、コミュニティが既に形成されている──こうした魅力があります。共用部の修繕計画が明確で、管理組合がしっかり機能している団地であれば、長く快適に住むこともできます。

「専有部」と「共用部」を分けて見る目を持つこと。それが、団地リノベで後悔しない第一歩です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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