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「港区で9,000万円台」地上14階建ての中層で、なぜこの価格が実現できるのか?不動産のプロに聞いてみた

  • 2026.4.18
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年、現在は不動産ライターとして活動している西山です。都心のマンション価格が高騰するなか、驚くような価格設定の物件を見つけた経験はないでしょうか。2026年11月竣工予定で、注目を集めている「ブランズシティ品川テラス」もその一つでしょう。

港区港南という都心エリアでありながら、9,470万円からという価格設定を実現しています。タワーマンションが立ち並ぶエリアで、地上14階建ての中層レジデンスという選択も異彩を放っています。本コラムでは「なぜ港区でこの価格が実現できるのか」について解説します。

港区で9,000万円台を実現した借地権スキーム

本物件は東急不動産などが手掛ける全216戸のマンション。その最大の特徴は「70年定期借地権」を採用している点です。正確には「定期転借地権」といい、今回のケースでは東京海洋大学から事業者が土地を借りて購入者に転貸しています。

公式の物件概要(2026年4月時点)によると、間取りは2LDKから4LDKで価格は9,470万円から1億3,610万円に設定されています。この価格には前払い賃料と建物価格が含まれており、同エリアの所有権マンションと比較すると、初期投資を大幅に抑えられる構造となっています。

最終的に土地を返還する点が心理的なハードルになりやすいものの、70年という期間は鉄筋コンクリート造の建物寿命とほぼ一致します。70年間の利用権を確保しつつ土地取得コストを省く合理的な選択肢として、検討する層が増えているといえるでしょう。

タワマン林立エリアであえて中層レジデンスを選ぶ価値

もう一つ注目したいのは、高層タワーマンションが立ち並ぶ港南エリアにおいて、地上14階建ての中層レジデンスという形態をとっている点です。隣接する東京海洋大学キャンパスの豊かな緑と調和するランドスケープ設計は、タワマンとは異なる落ち着いた住環境の価値を提示しています。

何百戸も存在するタワマンに比べてエレベーターの待ち時間が少なく、災害時の避難が容易である点も中層マンションならではのメリットです。価格の優位性だけでなく、周辺環境を活かした住み心地の良さを追求している点が、本物件が注目を集め続ける理由の一つでしょう。

ただし中層ゆえに、高層タワーのような圧倒的な眺望は期待できない点は理解しておく必要があります。

デメリットを理解しトータルコストで比較検討する

一方で、購入前に把握しておくべきデメリットも存在します。定期借地権物件はリセール時に残存期間の減少が価格に影響し、所有権物件と比べて売却の選択肢が狭まる可能性があります。

また、住宅ローンを扱う金融機関が限定される傾向がある点も理解しておかなければなりません。港区で9,000万円台というインパクトだけで飛びつかず、前払い賃料と建物価格の内訳を冷静に分析することが不可欠です。

月々の地代負担の有無や、70年後に建物を解体して更地で返還するための解体準備金を含めたトータルコストで比較検討することが重要となります。「土地という資産」を持たない代わりに「予算を抑えて都心に住む価値」を選ぶのが正解なのか。ご自身のライフスタイルと照らし合わせて慎重に判断してください。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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