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5400万で48平米の2LDKを購入も…入居3年後、国が50年定めてきた"基準"が消えた結末にゾッ【一級建築士は見た】

  • 2026.6.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「都心に住めるならコンパクトでもいい。そう思って50㎡を切る2LDKを買ったんです。今、後悔しています」

そう話すのは、都内の中古マンション(築12年・約48㎡・2LDK)を約5,400万円で購入したGさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。当時はまだ子どもが3歳。「リビングとベッドルーム、子ども部屋(5畳)で十分」と判断したといいます。

ところが入居から3年。子どもが小学校に上がり、本やランドセル、習い事の道具が増え、子ども部屋の収納には入りきりません。在宅勤務のためのワークスペースもなく、リビングが書類とおもちゃで埋まる毎日。「最低限の広さの目安があれば、もう少し慎重に選んでいたかもしれません」と振り返ります。

50年続いた「最低居住面積水準」が削除された

2026年3月、国土交通省は5年ごとに改定する「住生活基本計画」を発表し、50年間続いてきた「最低居住面積水準」を削除しました。

「最低居住面積水準」とは、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要な広さの目安です。これまでは単身25㎡、2人30㎡、3人40㎡、4人50㎡(いずれも住戸専用面積)が示されていました。同時に、より豊かな住生活の前提となる「誘導居住面積水準」も削除されています。

削除の理由について、国交省は「ライフスタイルや住まいの選び方が多様化し、一律の最低面積を示す意義が薄れた」と説明しています。たしかに、都心の利便性を重視して狭めの住まいを選ぶ動きや、シェアハウス、外部サービスを活用したミニマルな暮らしも広がっています。

「広さの目安」が消えても、必要な広さは変わらない

家族の人数や暮らし方によって必要な広さは変わります。しかし、健康で文化的な暮らしに必要な最低ラインは、計画から削除されたからといってなくなるわけではありません。

3人家族なら従来の基準で40㎡が「最低」、4人家族なら50㎡が「最低」とされていました。これらはあくまで最低限で、子どもの成長や在宅勤務、収納、家事動線まで考えると、もう少し余裕がほしいのが実情です。

Gさんの48㎡・2LDKは、3人家族の最低基準(40㎡)を満たしてはいますが、それはあくまで「最低限」の広さであることを意味します。子どもが成長すれば、それぞれの「個」のスペース、勉強する場所、家族が同じ空間にいても干渉しすぎない距離が必要になってきます。広さの目安は、購入時点だけでなく「10年後の家族」を想像して考えるべきものなのです。

Gさん夫婦はどう対応したのか

予算的に住み替えがすぐにはできないGさん夫婦は、限られた空間を最大限活かす方向で動きました。

子ども部屋には壁面収納を造り付けで設置し、本や学用品をまとめて収納できるようにしました(約30万円)。さらに、外部の倉庫サービスを月3,000円で契約し、季節物の衣類や使用頻度の低い物を預けることで、室内の収納を確保したといいます。

「広さを後から増やすことはできない。買う前に『この広さで家族の10年後まで耐えられるか』を想像すべきだった」とGさんは振り返ります。

「自分のものさし」を持って広さを決める

「最低居住面積水準」が計画から削除された今、住宅を購入する側は、自分で広さの判断軸を持つ必要があります。とくに以下の点を意識してみてください。

・現在の家族人数だけでなく、5〜10年後の家族構成を想像する
・各部屋の用途(寝室・子ども部屋・ワークスペース・収納)を具体的に書き出す
・収納スペースは居室の床面積とは別に確保できているかを確認する
・将来の在宅勤務やオンライン学習など、新しい暮らし方に対応できる余白があるか考える

「狭めの住まい」が合う人もいる

ここまで広さの話を中心に紹介してきましたが、コンパクトな住まいが暮らしにフィットする人もいます。

立地や趣味、外部サービスの活用に価値を置く人、ライフスタイルがミニマルな人にとっては、狭めの住まいは合理的な選択です。問題は、自分のライフスタイルや家族の変化を見極めずに「とりあえず予算重視」で選んでしまうことにあります。

国が50年守ってきた広さの目安がなくなった今だからこそ、買う側が「自分のものさし」を持つこと。それが、住んでから後悔しない住まい選びの第一歩です。

参考: 住生活基本計画(国土交通省)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者) 地方自治体で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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