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駅直結・徒歩1分タワマンを購入も「朝は15分」共働き30代夫婦を悩ませた“悲惨な現実”

  • 2026.4.18
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

物件探しで「駅徒歩1分」や「駅直結」という言葉に、強い魅力を感じた経験はないでしょうか。

通勤が楽になる。雨に濡れない。時間に余裕ができる。そんなイメージが自然と浮かびます。

しかし、実際に住み始めてみると、この“徒歩1分”という言葉が、生活感覚と大きくズレるケースも少なくありません。

今日は、「駅直結・徒歩1分」という条件に惹かれてタワーマンションを購入したご夫婦が、想定外のストレスに直面した実例をご紹介します。

一見、理想的に見える条件の裏で、何が起きていたのか。ぜひ最後までご覧ください。

駅直結なのに“遠い”…想像と違った動線

今から3年ほど前、不動産会社に勤める知人から聞いた話です。担当していたのは、共働きのAさんご夫妻(30代)でした。

ご主人は会社員、奥さまもフルタイム勤務。「通勤時間を少しでも短くしたい」という思いから、物件探しを進めていたそうです。

ある物件の内見の際、ご主人はこう話していました。

「駅直結で徒歩1分なら、これ以上ないですよね」

広告には次のような魅力的な言葉が並び、条件としては申し分ありません。

  • 駅直結
  • 徒歩1分
  • 雨に濡れない動線

共働きのご夫婦にとっては、“時間を買う選択”にも見えたはずです。ただ、話を聞いた知人は、ひとつだけ気になる点があったといいます。

「玄関から改札まで、本当にスムーズに行けるのか」

図面や広告では見えにくい、“実際の動線”。ここを確認しきれないまま、購入を決断してしまったことが、後のズレにつながっていきます。

徒歩1分のカラクリと“見えない時間”

実は「徒歩1分」という表記には明確なルールがあります。不動産公正取引協議会連合会の基準では、次のように定められています。

  • 道路距離80m=徒歩1分
  • 物件の最も近い出入口から計算

つまり、「駅徒歩1分」とは “敷地のどこかの出口から駅入口までが近い”という意味であり、部屋から改札までの時間ではありません。

Aさんの物件も、まさにその典型でした。

実際の動線はというと

  • 部屋からエレベーターで1階へ
  • 地下へ降りて通路へ
  • 長い連絡通路を歩く
  • ようやく改札へ到着

という流れです。

入居後、ご主人からこんな言葉がありました。

「毎回10分以上かかっていて、朝は15分近く見ておかないと間に合わないんです…」

表示上は“徒歩1分”。それでも、実際の生活では大きな差が生まれていました。

参考:不動産の表示に関する公正競争規約施行規則(不動産公正取引協議会連合会)

タワマン特有の“見えないロス”

さらに見落とされがちだったのが、タワーマンション特有の“縦の移動”です。朝の時間帯は住民の出勤が重なり、エレベーターが混雑します。

ご主人はこう話していました。

「エレベーターが全然来ないんですよ…」
「1本見送ることも普通です」

実際にかかっていた時間を整理すると次のようになります。

  • エレベーター待ち:3〜5分
  • 地下通路の移動:5〜7分
  • 混雑による停滞:数分

合計で片道10〜15分。往復すると、毎日約20~30分のロスになります。

ご主人は次第にこう感じるようになっていきました。

「前に住んでいた“徒歩8分”の物件の方が、体感は楽でしたね…」

また、奥さまも現実的な不安を口にします。

「ベビーカーでこの動線は、かなり大変だと思います…」

“駅直結”という言葉から想像していた快適さとは違い、日々の移動がじわじわと負担になっていきました。

“徒歩分数”ではなく“生活動線”で判断する

タワーマンションの「駅直結」や「徒歩1分」は、たしかに魅力的な条件です。

ただし、それはあくまで表示上のルールに基づいた距離であり、日々の暮らしそのものを表しているわけではありません。実際の生活では次の要素が重なり、体感距離は大きく変わります。

  • エレベーター待ち
  • 共用部の移動
  • 地下通路の長さ
  • 時間帯による混雑

物件選びで本当に確認しておきたいのは、以下のような“日常を前提とした動きやすさ”です。

  • 玄関から改札までにかかる実際の時間
  • 朝の通勤時間帯でもスムーズに移動できるか
  • 子ども連れやベビーカーで無理のない動線か

見た目の利便性や言葉の印象だけで判断してしまうと、日々の小さなストレスが積み重なり、暮らし全体の満足度を下げてしまいます。

「徒歩1分」という言葉に安心するのではなく、自分の生活で何分かかるのかを、自分の足で確かめること。

そのひと手間が、数年後の後悔を防ぐことにつながります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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