1. トップ
  2. 「敷金15万で収まるはずだったのに…」家賃8万円のマンション退去後に待っていた“200万円の請求”

「敷金15万で収まるはずだったのに…」家賃8万円のマンション退去後に待っていた“200万円の請求”

  • 2026.4.21
undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

皆さま、こんにちは。大手不動産会社での実務を経て、現在は不動産ライターとして活動しているT.Sです。賃貸物件のオーナーにとって、退去後の室内確認は部屋の状況を把握する重要な作業といえます。

しかしドアを開けた瞬間、想像を絶する光景が広がっていることも珍しくありません。今回は都内の賃貸マンションで起きた、ゴミ屋敷トラブルと解決までの道のりを紹介します。

退去後に判明したゴミ屋敷と200万円の請求

都内にある家賃8万円の1LDKマンションで、2年間暮らした会社員のCさんが退去することになりました。退去後、室内の確認に訪れた管理会社の担当者は、ドアを開けた瞬間に絶句します。

室内は腰の高さまでゴミが積み上がり、床材は変色して壁紙はカビとヤニで真っ黒に汚れていました。原状回復の費用を見積もったところ、ゴミ撤去と消毒をおこなう特殊清掃に約50万円かかります。

さらに消臭処理やクロスの全面張り替え、フローリング補修や水回り設備の交換などを合わせ、合計で約200万円という莫大な金額が算出されました。敷金の15万円を差し引いた約185万円をCさんに請求しましたが「払えません」の一点張りで交渉は難航します。

保証の対象外と回収困難なオーナーの自己負担

「保証会社に入っているから大丈夫だろう」とオーナーは安堵していました。しかし確認すると、Cさんが加入していたプランは家賃滞納と原状回復費の一部のみが対象であり、200万円規模の特殊清掃などは保証範囲外だったのです。

担当者は弁護士にも相談しましたが、Cさんに資力がなければ裁判で勝訴しても回収は困難だといわれます。さらに元入居者の同意なく勝手にゴミを処分すると、自力で権利を回復しようとする「自力救済の禁止」という法原則に抵触し、逆に損害賠償を請求される恐れがありました。

八方塞がりの状況でしたが、管理会社が粘り強く交渉を重ねた末、Cさんから所有権を放棄して処分に同意する「残置物放棄の同意書」をなんとか取得します。最終的にオーナーが約150万円を自己負担して部屋を復旧させるという、非常に苦しい結末を迎えました。

定期メンテナンスと家主向け保険でリスクに備える

このようなゴミ屋敷被害から身を守るためには、早期発見の仕組み作りが重要です。契約書に年1回の室内確認を盛り込んでも、入居者が拒否すれば強制的に立ち入る権利はありません。

現実的な対策として、消防設備点検や排水管清掃などの定期メンテナンスを必ず実施し、作業員の報告から室内の異変をいち早く察知する体制を整えましょう。また、オーナー自身が加入する家主向け保険に、原状回復費用を補償する特約を付けておくことも有効な防衛策となります。

そして退去時には、必ず元入居者から残置物放棄の同意書にサインをもらってください。この書面がないとゴミの処分すらできず、事態がさらに泥沼化する恐れがあります。賃貸経営に潜むリスクを正しく理解し、事前の対策を徹底することが大切といえるでしょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】