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奥様「いいね…」“未公開物件”に惹かれて契約した結果…その後、30代夫婦を襲った300万円の後悔

  • 2026.4.21
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

家探しをしていると、狙っていた物件が他の人に取られてしまい「やっぱり良い物件はすぐなくなる」と感じた経験がある方も多いのではないでしょうか。

そんなときに「まだ表に出ていない特別な情報です」と聞かされると、少し優越感を覚えてしまうものです。

不動産の世界では「未公開物件」という言葉があります。一見すると、選ばれた人だけが購入できるお得な物件のように感じるかもしれません。

しかし現場で見ていると、その“特別感”が判断を鈍らせ、結果として数百万円単位の損失につながるケースも少なくありません。

今日は「未公開物件」という言葉に惹かれて即決してしまい、結果として相場より300万円高く購入してしまったご夫婦の実例をご紹介します。

「この物件まだ出していません」の一言で心が動いた

数年前、30代のご夫婦(Aさんご夫婦)からこんなご相談を受けました。お話を伺うと、ある不動産会社で物件を探していた際、担当営業からこう切り出されたそうです。

「実はこの物件、まだ不動産ポータルサイトには掲載していません」

その物件は、駅から徒歩圏内で外観も整っており、ご夫婦の希望条件にかなり近いものでした。奥様が小さく「いいね…」とつぶやくと、担当営業はさらに続けます。

「公開前なので、他の方はまだ知らない状態です」
「こういう物件は、出した瞬間に決まってしまうんですよ」

その言葉を聞いた瞬間、ご夫婦の表情が変わりました。

「これは、今決めないといけない物件かもしれない」

そんな空気が、一気にその場に広がったのを覚えているとAさんご夫婦は語ります。“自分たちは特別な情報を持っている”という感覚が、判断に影響を与え始めていたのです。

「今決めないと他の人に取られる」という焦り

その場で担当営業は、さりげなく背中を押します。

「明日は他のお客様にも紹介するので、正直、今日中に意思表示いただいた方がいいです」

不動産の購入は本来、比較検討が前提です。しかしこの場面では、比較できない状況が作られていました。ご主人は、少し迷いながらもこう言いました。

「他にこんな条件の物件、なかなか出ないですよね…?」

「はい、正直かなり良い物件です」

営業は笑顔で返しました。結果として、その場で購入の意思を固め、後日そのまま契約へと進みました。ご夫婦の中には「未公開=条件が良い」というイメージが強くあったのです。

契約後に判明した「300万円のズレ」

引き渡し後しばらくして、Aさんから相談を受けました。

「近くの似た物件、いくらで売れてるか見たんですけど…」
「なんか、うち高くないですか?」

実際に周辺の成約事例(実際に売買が成立した価格)を確認すると、同条件の物件より約300万円高い水準でした。

  • 築年数はほぼ同じ
  • 専有面積も大きな差はない
  • 立地条件もほぼ同等

それでも、価格だけが明らかに上振れしていました。つまり、特別な価値があったわけではなく、単純に「高く買ってしまっていた」という状態です。

さらに調査を進めると、その物件は「価格調整中の段階で先行案内されていた」ものでした。いわば、市場に正式に出る前のテスト価格のような位置づけです。

本来であれば、他の物件と比較される中で価格が修正されていくはずでした。

しかし今回は、その前の段階で契約に至ってしまいました。未公開だから良い物件だったのではなく、まだ市場で評価されていない状態の物件だったのです。

そしてその代償が、300万円という形で表れていました。

特別感に流された瞬間、価格判断は鈍る

今回のケースでの最大の失敗は「未公開物件だったこと」ではありません。比較せずに決断してしまったことです。

不動産は情報の非対称性(売る側と買う側で持っている情報量に差がある状態)が大きい市場です。未公開物件の中には、本当に条件の良いものが含まれていることもあります。

しかしその一方で、比較ができないまま判断してしまい、価格の妥当性を見失うリスクもあります。だからこそ「今だけ」「あなただけ」という言葉を聞いたときほど、一歩引いて考えることが重要です。

土地や建物は、数百万円単位で差が生まれる買い物です。特別感や焦りに流されると、その差は一瞬で広がります。

“選ばれた”と感じたときこそ、一番冷静な判断が求められる場面かもしれません。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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