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「年間数十万の維持費が…」親から相続したバブル期のリゾマン“負動産”、赤字脱却を目指し“民泊解禁”も待ち受けるシビアな現実

  • 2026.4.14
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産業界歴15年、現在は不動産ライターとして活動している西山雄介です。バブル期に購入したリゾートマンションを親から相続し、扱いに困っているという話をよく耳にします。

年間数十万円の維持費を払い続ける「塩漬け」状態の物件は、まさに“負動産”といえるでしょう。今回はインバウンド需要を背景に、リゾートマンションの管理規約を改正して民泊を解禁する動きについて、その条件と限界をプロの視点から分析します。

高齢化で放置されるリゾマンと民泊解禁の動き

バブル期に建てられたリゾートマンションの多くは、所有者の高齢化による深刻な課題を抱えています。放置される住戸が増え続け、管理費の滞納や共用施設の閉鎖が進んでいるのです。

売りに出しても買い手がつかず、所有者は利用しない物件に対して年間数十万円の維持費を払い続けなければなりません。こうした中、訪日外国人の需要回復を追い風にして、放置住戸を収益化しようとする動きが一部で出始めています。

具体的には、マンションの管理規約を改正し、民泊を解禁するというアプローチです。維持費だけがかかる物件を収益化できる可能性がある一方で、実現までには高いハードルが存在します。

規約改正の高い壁とシビアな収支の現実

民泊を始めるための第一歩は「管理規約の改正」です。区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要となりますが、不在の所有者が多い物件では委任状の取りまとめだけで数ヶ月を要するケースも珍しくありません。

規約改正の後は、希望するオーナーが住宅宿泊事業法に基づく届出を自治体へ提出し、運営を開始する流れです。また、収支の現実もシビアに計算しておきましょう。仮に年間100日稼働して1泊1万円の売上があったとしても、売上の20%前後となる運営代行手数料や、1回あたり数千円の清掃費などを差し引くと手残りは半分程度になります。

「年間の維持費を相殺できるか」が現実的なラインであり、一攫千金ではなく赤字脱却を目標に据えるべきです。住宅宿泊事業法では、基本的に、営業日数の上限は年間180日と定められています。旅館業法の許可を取得すれば上限はなくなりますが、設備や消防法の要件を満たすハードルはさらに高まるでしょう。

議論の先送りをやめて居住者との共存ルールを整備する

民泊解禁の是非は、マンション全体の将来像を見据えたうえで議論すべき重要なテーマです。「禁止を貫いて放置住戸を増やし続ける」か「解禁してルールの範囲内で収益化を図る」かを選択する必要があります。

結論を出さずに議論を先送りにすることは、資産価値を下げる大きなリスクの一つといえるでしょう。もし解禁を選択する場合は、居住者との共存ルールを事前に整備しておかなければなりません。

届出済みの住戸のみを許可し、管理組合が選定した「国の登録を受けた住宅宿泊管理業者」へ運営を限定するといった細則が不可欠です。トラブル時に24時間対応できる体制を構築できれば、リゾートマンション再生の有効な一手となるでしょう。



筆者:西山雄介(宅地建物取引士・マンション管理士などの資格所有)
不動産業界歴15年。新卒で東証プライム上場のマンションデベロッパーに入社後、計2社で新築・中古販売および管理業務に従事。実務現場を経て管理職も歴任し、組織運営にも携わる。現在はその多角的な視点を活かし、実務解説から不動産投資、法律事務所案件まで、専門性の高いコンテンツ制作・ディレクションを行っている。


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