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タワマン5階を10年で3,000万円高く売却「低層階は売れない」を覆した追い風の正体をプロが解説する

  • 2026.4.12
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社での実務を経て、現在は不動産ライターとして活動している宅地建物取引士のT.Sです。タワーマンションを選ぶ際、「高層階でなければ資産価値が保てない」という言葉を耳にしたことはないでしょうか。

以前はそれが定説でしたが、昨今の市場ではその常識が大きく変化しています。新築価格の高騰や金利上昇を背景に、あえて低層階に目を向ける動きが広がっているのです。今回は、その追い風の正体と低層階を検討する際の注意点を、市場の構造から解説します。

新築高騰が招いた「1億円の壁」と玉突き需要

まず押さえておきたいのは、低層階のリセールが健闘している要因は、「低層階そのものの価値が上がった」わけではないという点です。東京23区の新築マンション平均価格が1億円を突破し、新築が一般の実需層にとって手が届きにくい存在になった結果、中古市場へ需要が流れてきています。

さらに住宅ローンの審査では、借入額が1億円を超えると基準を厳格化する金融機関が多く「予算1億円以内」で探す層にとって、同じタワマン内の設備を享受しつつ価格を抑えられる低層階が現実的な選択肢になっています。加えて、金利上昇局面で購入予算を抑えたい実需層が増えていることも、低層階への注目を後押ししています。

10年で3,000万円のプラスを生んだ低層階の実例

筆者が知る実例を一つ紹介します。湾岸エリアに建つタワーマンションの5階(75平方メートル・3LDK)を10年前に5,500万円で購入した男性が、最近8,500万円で売却しました。高層階であればさらに大きな値上がり幅が期待できたものの、低層階でも3,000万円のプラスという結果は、10年前の「低層階は値下がりする」という定説を大きく覆しています。

ただし、これは前述のとおり、新築高騰によって中古市場全体の相場が押し上げられた構造的な結果です。高層階のリセール価格が1億円を超えるケースが増えたことで「1億円以内で買える低層階」に需要が集中する玉突き現象が起きているのです。

リモートワークの定着と、低層階を選ぶ際の注意点

リモートワークの定着も低層階への評価を押し上げています。自宅で過ごす時間が長くなり、眺望よりも部屋の広さや機能性を重視する層が増えたためです。ただし、すべての低層階が有望なわけではありません。

リセールを意識するなら、その階で「日照が確保できるか」「将来、新たな建物に遮られないか」を確認してください。総会議事録や長期修繕計画を仲介業者を通じて取り寄せ、管理状態や将来の修繕費の見通しも含めて判断することが重要です。「駅近」「管理良好」「大規模マンション」の条件を満たす物件を丁寧に選ぶことで、低層階であっても後悔のない住まい選びにつながるでしょう。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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