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「800万円かけたのに…まだ寒いんです」築50年団地を300万で購入した30代夫婦の末路

  • 2026.4.13
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

「団地を安く買って自分好みにリノベーションすれば、理想の暮らしができる」

そんな言葉に、心が動いた経験はないでしょうか。最近はSNSでも「団地リノベ」が人気です。しかし、その裏で「こんなはずじゃなかった」と後悔している方も、実は少なくありません。

今日ご紹介するのは、300万円で団地を購入し、最終的に総額800万円をかけても寒さが解消されなかった30代夫婦の話です。

安く買えたはずの家が、なぜ“お金も快適さも失う選択”になってしまったのか。実際にあった、少し重たい現実をお伝えします。

この価格なら「リノベ前提でも安い」と判断した購入

30代前半で共働きのAさんご夫婦のエピソードです。

「中古マンションより安く、自分たち好みに仕上げたい」

そんな思いから、築50年以上の団地を300万円で購入しました。内見のときのことを、今でもよく覚えています。玄関に入った瞬間、奥様がぽつりとこう言いました。

「ちょっと寒いですね」

確かに季節は冬。ただ、あの“寒さの質”は少し違っていました。エアコンでは解消できない、床からじわっと上がってくるような底冷え。団地特有の、構造的な寒さです。正直に言えば、少し引っかかるものがありました。

ただ、ご夫婦の中ではすでに結論が出ていたようです。

「どうせリフォームするから問題ないですよね」「最初にしっかり直せば、むしろ快適に住めそうです」

この時点ではまだ誰も、その結末を想像できていませんでした。

300万円の想定が、工事中にどんどん膨らんだ

Aさんご夫婦は、購入後すぐに断熱リフォームに着手しました。

  • 内窓設置(二重サッシ)
  • 床断熱
  • 壁断熱

当初の見積もりは約300万円。

「最初にしっかり直せば、快適に住める」

そう信じてのスタートでした。しかし、工事が始まって間もなく、空気が変わります。施工業者からの報告でした。

「断熱材、ほとんど入っていませんね…」「配管もかなり傷んでいます」「下地も劣化していますね」

そして、決定的だったのがこの一言です。

「この物件、躯体(建物の骨組み)の隙間から冷気が入っています」

一気に、想定していたリフォームでは済まない状況になりました。Aさんは、現場でこう言いました。

「ここまで壊してるなら…全部やった方がいいですよね」「中途半端にやる方が、あとで後悔しそうで」

この判断が、結果的に引き返せない分岐点になります。

追加工事の繰り返し。見積もりは何度も修正されていきました。そして最終的なリフォーム費用は約500万円。購入費と合わせて、総額は約800万円にまで膨らみました。

800万円かけても、冬の寒さは消えなかった

リフォームが完了してしばらく経った頃、Aさんから一本の連絡が入りました。

「正直に言うと…まだ寒いんです」

現地で室内を確認すると、確かに一部は改善されていました。

  • 窓周辺の冷気は軽減されている
  • 見た目も新築のようにきれいに仕上がっている

しかし、壁や床から伝わる冷気は残ったままで、部屋ごとの温度差も大きい状況。特に北側の部屋は深刻で「エアコンをつけても足元だけ冷たい」という状態でした。

奥様は、少し力の抜けた表情でこう話していました。

「こんなにお金かけたのに…なんでこんなに寒いんですか」

さらに追い打ちをかけたのが、光熱費です。

  • 暖房は常に稼働
  • 電気代・ガス代は想定以上に上昇

結果として、安く買ったはずの住まいが、維持費のかかる家になってしまったのです。リフォームで理想に近づくはずだった暮らしは、いつの間にか「我慢して住み続ける家」へと変わっていました。

築古団地は「直せば快適になる」とは限らない

今回のケースから見えてくるのは、シンプルな事実です。団地は確かに価格が安く、魅力的に映ります。

しかし構造に起因する問題は、リフォームでは解決しきれないことがあります。特に注意したいのは、次のようなポイントです。

  • 断熱材の有無(そもそも入っていないケースが多い)
  • 躯体(建物の骨組み)からの冷気侵入
  • 床や壁の構造的な断熱限界
  • 共用部分に手を入れられず、専有部だけでは改善に限界がある

これらは、いくら費用をかけても“完全に消せない問題”になることがあります。だからこそ危険なのが「あとで直せばいい」「リフォームすれば快適になる」という考えです。

実務の現場では “直せる物件”と“直しても限界がある物件”は明確に分かれます。価格の安さに目を奪われると、その判断を見誤ります。

安いから買うのではなく、リノベーションが本当に成立するのかを見極めること。それが、この手の失敗を避けるために最も重要な視点です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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