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「あんたの学歴じゃ無理」と提案を拒否→気が付いたら取引先の社長に

  • 2026.3.17
ハウコレ

私はずっと「学歴がすべて」だと信じてきました。一流大学を出た自分は正しい道を歩んでいる。そう疑わなかった私の前に、10年前に切り捨てた部下が、想像もしなかった姿で現れたのです。

学歴だけが、私の武器だった

私は都内の有名大学を卒業し、メーカーに入社しました。同期の中では学歴はトップクラス。それが私の誇りであり、唯一の拠り所でした。

正直に言えば、仕事で飛び抜けた成果を出したことはありません。要領は悪くないが、突出した才能もない。でも「あの大学を出た」という事実が、私を支えてくれました。

学歴さえあれば、自分は価値のある人間でいられる。

そう信じることで、なんとか自分を保っていたのだと思います。

あの日の傲慢

営業部に、地方の短大卒の女性社員がいました。入社3年目で営業成績はトップクラス。周囲からの評価も高く、正直に言えば、その優秀さが目障りでした。

学歴では圧倒的に私が上。なのに、現場での実績は彼女のほうが上。その事実を認めたくなくて、心のどこかでずっと見下していたのです。

ある日、社内の新規事業プロジェクトに彼女が立候補してきました。海外取引先の開拓という、私が統括する大きなプロジェクト。彼女は企画書まで作り込んで持ってきました。

私はその企画書を読みもせず、こう言い放ちました。

「あんたの学歴じゃ、このプロジェクトは無理だよ」

彼女が食い下がってきたとき、さらにこう突き放しました。

「身の程をわきまえなさい。学歴っていうのは一生ついて回るものなんだよ」

あのときの彼女の、悔しさで震える目。今でも忘れられません。

結局、プロジェクトには自分の大学の後輩を推薦しました。成果は可もなく不可もなく。特別な結果を残すことはありませんでした。

止まったままの10年

その後、彼女は会社を辞めました。「やっぱりね、短大卒じゃ続かない」と陰で言ったのを覚えています。それから10年。私は課長のまま、同じ部署で同じ仕事を続けていました。後輩たちがどんどん昇進していく中で、私の肩書きだけが変わらないままでした。

会社の中で、「学歴」はもう誰も話題にしなくなっていました。評価されるのは成果を出す人間、行動する人間。私がしがみついていた「一流大学卒」という看板は、とうに色あせていたのです。

でも、それを認めるのが怖かった。認めてしまったら、私には何も残らないから。

そして…

ある日、会社から重要な取引先との商談を任されました。急成長している輸入商社の代表と直接会えるチャンスだと聞き、気合を入れて会議室に向かいました。

ドアが開いて、相手の代表が入ってきた瞬間、息が止まりました。

10年前、私が企画書も読まずに追い返したあの彼女だったのです。そして、「代表取締役」の名刺を差し出していたのです。

「お久しぶりです。本日はよろしくお願いいたします」

落ち着いた声、堂々とした佇まい。あの頃の悔しそうな顔はどこにもなく、すべてを乗り越えた人間だけが持つ自信をまとっていました。

商談の最後、彼女はこう言いました。

「10年前、企画書を読んでいただけなかったこと、覚えていらっしゃいますか。あのとき読んでいただけていたら、御社にとっても良い結果になっていたかもしれませんね」

私は何も言えず、ただ頭を下げることしかできませんでした。

(50代男性・営業)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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