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『全財産3,000万を相続させる』遺言書を信じた40代妹→「揉めることはない」はずが…父の死後、姉から届いた“1通の連絡”

  • 2026.6.15
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

相続の際、「遺言書があれば揉めることはないだろう」と考えている人も多いのではないでしょうか。

しかし、遺言書の効力は“絶対”ではありません。

今回は、亡き父が用意していた遺言書があったにもかかわらず、相続財産が「750万円」も減ってしまった40代女性の事例について紹介します。

「全財産を相続させる」遺言書の内容に安心していた女性

「遺言書があれば相続トラブルとは無縁だと思っていました」

そう話すのは、父が亡くなり、相続が発生した40代の女性・Aさん(仮名)。

Aさんは3歳年上の姉と2人姉妹でしたが、姉は父と不仲で長年顔を合わせていない状態でした。

次女であるAさんは結婚後も実家近くに暮らしており、母を亡くした後は、足が悪い父のために身の回りのお世話をすることもあったそうです。

父はAさんにとても感謝しており、「Aに全財産を相続させる」という旨の遺言書を残していました。

遺言書が作成してあることはAさんも把握しており、要件を満たした正式な書式であることも確認済み。

本来の相続人はAさん・Aさんの姉の2人ですが、Aさんは問題なく「全財産3,000万円を相続できる」と安心していました。

姉の請求でAさんの相続分が「3,000万円→2,250万円」に

しかし、Aさんの姉に父の死を伝えたところ、「遺言の内容に納得できない」という連絡が届きます。

Aさんは「遺言書通りに相続できるから大丈夫」と考えていましたが、結果として姉に750万円を支払うことに。

Aさんの相続分は、予定していた3,000万円から2,250万円となってしまったのです。

これは、「遺留分」の請求によるものでした。

「遺留分」は相続分の最低保証

そもそも遺留分とは、法律により相続人として定められている「法定相続人」を対象とした「相続分の最低保証」です。ただし、兄弟姉妹は対象外となります。

通常は、相続財産の1/2(法定相続人が親・祖父母などの直系尊属のみの場合は1/3)をさらに法定相続分に則って分割した部分が遺留分にあたります。

※相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、遺留分を請求できるのは配偶者のみです。配偶者の遺留分は相続財産の3/8(=1/2×3/4)となります。

今回のケースにおけるAさんの姉の遺留分は、以下のとおりです。

  • 相続財産3,000万円×1/2=1,500万円
  • 相続人はAさん・Aさんの姉のみ→法定相続分は1/2ずつ
  • 1,500万円×1/2(法定相続分)=750万円(遺留分)

遺留分の請求は法律によって守られている大切な権利であるため、遺言の内容よりも優先されます。

話し合いがまとまらない場合は裁判で遺留分を取り戻すことになりますが、今回はAさんが支払いに応じたことで解決となりました。

遺言書を作成する際は「遺留分」にも配慮を

遺言書の中で指定する財産分与の方法には制限がないため、「特定の1人に全財産を相続させる」といった内容も当然無効ではありません。

しかし、遺された家族間での相続トラブルを避けたい場合、遺留分を侵害しないよう配慮するのも1つの方法です。

大切な財産の遺し方とともに、相続人それぞれの立場や権利について考えることが“円滑な相続”への近道となるでしょう。


監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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