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札幌に「コウモリ」がたくさんいる!こんな場所にも?何を食べるの?現地調査してわかった、意外なこと

  • 2025.11.14
Sitakke

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
札幌にある「滝野すずらん丘陵公園」の「滝野の森ゾーン」から、森の住人KENTAが、自然の魅力や楽しみ方を伝える連載です。

札幌にコウモリ?

「森に行こう!」の連載は今年の春からスタートしましたが、先日この連載開始をきっかけにHBCラジオ「ひとりの夜にあなたとあたしのしたっけラジオ」に出演させていただきました!

放送当日はMCの森結有花アナウンサーと満島てる子さんと3人で熱い?「森トーク」を繰り広げてきました。お二人とも「森に行こう!」をちゃんと読んでくれていて、とても楽しくあっという間の30分!全然時間が足りなかったのでぜひまた呼んでもらいたいです。

さて、今回はラジオの中でお話しした“ある森の生きもの”について少し掘り下げてみたいと思います。

今回放送された内容はYouTubeにも上がっているのですが、サムネイルで使われているこのポーズが何を表してるかわかりますか?(笑)

Sitakke

これはトークの最後に紹介した“ある生きもの”をそれぞれが表現しています。その生きものがこちら!

Sitakke

コウモリ!

ラジオの中でもお話ししましたが、実は札幌ってコウモリがたくさんいる街なんです。その数なんと16種類!!

滝野では10年くらい前から専門家の方たちと一緒に園内に住むコウモリの調査をしています。

「え?コウモリの調査ってどうやるの?」って感じですよね。まずはそこから解説します。## 自分が捕まらないようにしないと…

コウモリ調査の方法は大きく2つ。
1つ目は網を使った捕獲。これは特別な許可が必要なので専門家の協力が必要です。

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「かすみ網」という網を使います。これは利用するのに許可が必要です。

広い森の中でコウモリが来そうな場所にあたりをつけて設置し、飛んでくるコウモリが網の前を通ると引っかかるようになっています。

オレンジ帽子が筆者ですが、腰に色々ぶら下げているので、近くを通るときは自分が捕まらないように細心の注意を払ってます。

特殊な音が鳴る!?

もう一つの方法が「バットディテクター」という道具を使った調査です。

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コウモリが超音波を出すのは知ってる人も多いと思いますが、「バットディテクター」とは人の耳では聞こえないコウモリが出す超音波を拾う道具になります。

普段はチャンネルの合っていないラジオのような雑音しか流れないんですが、コウモリの超音波を感知するとコウモリの種類によって「ポポポポポポポポポポ」など特殊な音が鳴ります。
実際、超音波を感知した直後に目の前をコウモリが飛んで行ったことが何度もあります。

鳥を探すときは鳴き声の違いで種類を見分けたりしますが、実はコウモリも種類によって使っている周波帯が違うんです!なので、調査中はダイヤルを回してどの周波で反応するかを確認しながら夜の森を歩き回ります。

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夜の森は真っ暗で何も見えないのでアウェー感が半端ないです。

そんなこんなで毎年調査をしていると、ちゃんとコウモリが見つかります!

Sitakke
調査中に見つかったコウモリ

※コウモリは歯や牙が鋭い上に菌を媒介することがあるので見かけてもむやみに触らないようにしてくださいね。手袋は必須です。

ここまでの調査の中で、滝野すずらん丘陵公園ではなんと6種類ものコウモリが見つかっています。

コウモリと言えば「夜に飛ぶ」「血を吸う」「洞窟にいる」などのイメージを持ってる方が多いと思いますが、調査を進めていくと意外なことがわかってきました。

こんな時間に、こんなところに…

まず昼間も飛んでいることがあります。

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開園中に現場のスタッフから通報があって見に行ったらパラソルから落ちてきたこともありました。

Sitakke

そして洞窟ではなく壁に引っ付いてることもあります。

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上と下で種類が違います。ちなみに頭が下です。

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一見汚れや虫にも見えますがコウモリです。

ちなみに食べものはさまざまで、滝野に住んでいるコウモリたちは飛んでいる「ガ」や「カマドウマ」などの虫を食べています。

大きさもさまざまなんですが、滝野で見るコウモリたちはみんなとても小さいです。

Sitakke

特に小さいのがコテングコウモリ。
丸まった状態で携帯と比べるとこのサイズ!

お顔の個性いろいろ!

そして一番大事なことは「コウモリは意外にかわいい」ということ。

Sitakke

カグヤコウモリ。つぶらな瞳がたまりません!

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コテングコウモリ。授業中寝てるときってこんな感じでしたよね?

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手に載せると赤ちゃんみたいです。
※建物の中にいたので外に出すときの様子。

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キクガシラコウモリ。個性が強い!!(笑)

このようにコウモリって意外に身近にいる生きものなんです。札幌の街中でも、実は夕方ふと空を見上げるとコウモリが飛んでるかもしれません!

いかがですか?
コウモリって吸血鬼と一緒にいたり、古い館や洞窟からお化けと一緒に出てきたりと「怖い」「気持ち悪い」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実はたくさんの種類がいて、人にとっては害虫となる虫たちを食べてくれたりもしているんです。

そしてコウモリたちは種類によって生活する場所や食べものが違うので、札幌にコウモリがたくさんいるということはそれだけ様々なコウモリたちが住める環境がある、つまり「自然が豊かな街」であるという証拠でもあるんです!
滝野すずらん丘陵公園で複数の種類のコウモリが見つかっているのも、森だけではなく花畑や遊具、川、キャンプ場、さまざまな人工物など多様な環境があるからなんだと思っています。

ただこんなにナゾが多くかわいいコウモリですが、さまざまな病気の媒介をすることがあります。また爪が鋭く引っかかれたりすることもあるので、見かけても近づきすぎたり素手で触ったりしないようにしてくださいね。

今年はもう冬眠に入る時期ですが、雪がとけて春になったらふと見上げたビルの間や近所の公園にもその場所が好きなコウモリがいるかもしれないので、探してみてください!

連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」

文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。

編集:Sitakke編集部IKU

※掲載の内容は記事執筆時(2025年10月)の情報に基づきます。

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