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『HODINKEE Japan』編集長 関口優のタイムピース探訪。普遍の輝き、ゴールドブレスレットへの回帰

  • 2026.9.17
Hearst Owned

近年、ラグジュアリーウォッチメゾンは、金時計へと鮮烈に回帰。それもブレスレットまでゴールドであつらえた時計がにわかに注目を集めています。なかでも、推薦したいのはジュエラーによるタイムピースなのです。

<Profile>
関口優(せきぐちゆう)/『HODINKEE Japan』編集長

1984年生まれ。腕時計専門誌編集長を4年間務め、業界最年少編集長にして同誌を専門誌売り上げNO.1に導く。2019年より現職。2023年から『リシェス デジタル』編集長を兼務。

いま、ジュエリーメゾンの金時計を選ぶ意味

ブルガリのトゥボガスは、バネ性のあるメタルを用いてつくりあげていきます。 Hearst Owned

ここ数年、時計界ではゴールドブレスレットをまとった金時計が静かなブームです。1960年代の華やかな潮流への回帰や、金相場の高騰にも後押しされながら、改めて引かれる理由は単なるトレンドではありません。オケージョンを選ばない“ラグジュアリースポーツ”の流行を経た現在だからこそ、ジュエラーが誇る繊細なサヴォアフェールへの渇望を感じます。美しい鏡面としなやかな着け心地は言わずもがな。ジュエラーの技は近年、独創的デザインを過去にないほど具現化できるようになり、正直、ジュエラーの新作こそ心待ちにする自分がいます。

いたずらに形を変えずに進化を繰り返す、それもまた彼らのブレスレットウォッチがひと味違う一因。最たる例が、ブルガリ「セルペンティ トゥボガス」です。最高峰の出来栄えを誇るブレスレットは、現在ではバネ性のある金属ブレードに、薄いイエローゴールドをリボン状に巻き付けるという手法によって実現。手仕事による勘も求められるため限られた職人のみが手掛けています。ブームとは無関係に、1940年ごろから技術を継承し続けている事実こそ、至高の価値となるわけです。

手仕事による曲面のフルポリッシュが美しい「ルド シークレット」。本作は1949年モデルを再解釈。 Hearst Owned

ヴァン クリーフ&アーペルの「ルド シークレットウォッチ」もまた、1934年以来メゾンを象徴する職人技を現代に伝える一本です。本作は贅沢なジュエリーウォッチでありながら、ブルーサファイアを配したふたつのサークルを押すことで、控えめに時刻を確認できるシークレット仕様。まだ女性が時刻を見るのがマナー違反だった時代の、奥ゆかしさを思わせます。細かいブリケットリンクを手作業で組んだブレスレットをキャンバスに、比類なきジュエリーセッティングによって貴石を主役とした独創的な仕上がりです。

そもそも、完璧なゴールドブレスレットを開発するには、時計本体の開発に比肩するコストや時間がかかります。とりわけゴールドにおいては、型に金属を流し込む鋳造や圧延、複雑な形状にゆがみのない鏡面を与える研磨など、時計製造とは全く別のノウハウも必要。事実、パテック フィリップでさえドイツのジュエラー・ウェレンドルフに製作を依頼することがあり、時計メーカーも古くから彼らと協業してきたのです。

独自のサヴォアフェールで高い質を担保し、さらに時計専業メーカーとは異なる独創性という余白を持つジュエラーの金時計。それこそが、いま改めて価値をリフレインしたいタイムピースなのです。

【ブルガリ】これ以上なく手首に沿う魅惑の金時計にスタッズのあしらい

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2026年発表の限定モデルとして、カーネリアンを文字盤に用いた一本。さらに、幅広い着け手のサイズに密着するブレスレットに、パヴェダイヤモンドを配したスタッズをプラスした特別なデザインに。時計“セルペンティ トゥボガス ウォッチ”[YG×カーネリアン、ケース径35mm、クオーツ]¥8,052,000(Bvlgari/ブルガリ・ジャパン)

【ヴァン クリーフ&アーペル】上下のサークルを押すことで時計がひそかに現れる

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クチュールをテーマにした、典雅なアールデコ調のウォッチ。滑らかなブレスレットと、サファイアを配したサークルを押すと、文字盤が現れるという機構がユニーク。時計“ルド シークレットウォッチ”[YG×サファイア、ケース縦49×横25mm、クオーツ]¥27,324,000(Van Cleef & Arpels/ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク)

問い合わせ先
ブルガリ・ジャパン
TEL/0120-030-142
URL/www.bulgari.com

ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
TEL/0120-10-1906
URL/www.vancleefarpels.com

初出:リシェスNo.56 2026年6月26日発売

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