1. トップ
  2. エピソード
  3. 「私たちのことは、私たちで決めさせてください」離婚話に親戚が口を出した。しかし、嫁が初めて口にした本音で空気が一変

「私たちのことは、私たちで決めさせてください」離婚話に親戚が口を出した。しかし、嫁が初めて口にした本音で空気が一変

  • 2026.9.17

相手の家のことを調べよう、と2度言い出された

私が育った家では、結婚が決まると親戚が座敷に集まることになっていた。当人同士だけで話を進めず、一度は皆に報告する。昔からそうしてきたというだけで、私も深く考えたことはなかった。

その日、最初に口を開いたのは私だった。

「息子が結婚したい人がいるそうです。今日は、その話を聞いてもらおうと思って」

集まった親戚は10人だった。茶が配られ、私の話が一段落すると、床の間に近い席にいた年長の親戚が腕を組んだ。

「まあ、結婚となるとな。相手の家のことは、一度ちゃんと調べておいたほうがいいだろう」

私は少し迷ったものの、「そうですね」と答えた。自分が結婚するときにも、同じようなことをされたからだ。

しばらく別の話が続いたあと、その親戚はもう一度念を押した。

「疑うっていうんじゃないぞ。ただ、あとになって知らなかったでは困るだろう」

「分かっています。昔からそうしてきましたから」

そう答えながら、私もそれが当然なのだと思っていた。

その日は、相手の家について確認したうえで、改めて親戚に知らせることになった。

後日、分かった範囲のことをまとめた紙が親戚の間で回った。最後まで目を通した親戚からは、特に反対する声も出なかった。

「まあ、心配するようなことはなさそうだな」

「そうですか」

私はようやく肩の力を抜いた。

親戚が10人集まった座敷で、嫁が言い切った正論

それから二年ほど経ったころ、息子から夫婦関係について相談を受けた。

「父さん、ちょっと聞いてほしい。俺たち、このまま一緒にいるのは難しいかもしれない」

私は驚いた。そして、また昔からのやり方に従おうとした。

「一度、みんなにも話したほうがいいんじゃないか」

息子は少し黙ったあと、「分かった」と答えた。

私から前回と同じ親戚に声をかけると、結局10人全員が集まることになった。

息子夫婦も、自分たちの状況を話すために二人並んで座敷に座った。

話が始まると、親戚から次々に声が上がった。

「まだ二年だろ。もう少しやってみてもいいんじゃないか」

「夫婦なんて、合わない時期もあるよ」

「今すぐ決めなくてもいいだろう」

責めようとしているわけではないのだろう。皆、何とか夫婦を別れさせずに済ませたいようだった。

ただ、息子は畳に目を落としたままだった。隣のお嫁さんも、膝の上で両手を重ねたまま黙っていた。

しばらくして、お嫁さんが湯呑みをそっと置いた。

「あの…少し、いいですか」

小さな声だったが、皆が話を止めた。

「心配してくださっているのは分かっています」

そこで一度言葉を切った。

「でも、私たちのことは、私たち二人で決めさせてもらえませんか」

親戚の一人が困ったように眉を寄せた。

「でもなあ。みんな、二人のためを思って言ってるんだよ」

「はい。それも分かっています」

お嫁さんはうなずいた。

「ただ、今日ここに来てから、私がどうしたいのかは一度も聞かれていません」

座敷が静かになった。

お嫁さんは隣にいる息子を一度見てから、もう一度口を開いた。

「続けるにしても、別れるにしても、最後は二人で話して決めたいです」

誰もすぐには返事をしなかった。

やがて、床の間に近い席にいた最年長の親戚が、ゆっくり湯呑みを置いた。

「……そうだな」

隣から声が上がった。

「でも、うちはずっとこうしてきただろう」

「ずっとやってきたからって、何でもこっちで決めていいわけじゃないだろ」

そう言ってから、その人は息子夫婦のほうを見た。

「心配してるつもりだったんだがな。ちょっと口を出しすぎたかもしれんな」

その日は、離婚するかどうかについて親戚が結論を出すことはなかった。

帰り支度をしていると、最年長の親戚が私に小さな声で言った。

「結婚のときのこともそうだけど、これからは本人たちの話を先に聞いたほうがいいな」

「そうですね」

私はそれ以上、何も言えなかった。

息子夫婦はその後、二人で何度も話し合った。そして結論が出たあと、お嫁さんから私に電話があった。

「お義父さん。二人でちゃんと話して、決めました」

「そうか」

私は少し間を置いた。

「二人で決めたなら、それでいいよ」

以前の私なら、また親戚に相談しなければと思ったかもしれない。

けれど、その電話のあと、誰かを座敷に呼ぼうとは思わなかった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ