1. トップ
  2. エピソード
  3. 「先輩って、給料いくらくらいもらってるんですか?」入社数日の新人からの質問。距離感の近い新人に先輩が伝えた一言

「先輩って、給料いくらくらいもらってるんですか?」入社数日の新人からの質問。距離感の近い新人に先輩が伝えた一言

  • 2026.9.15

昼休みの向かいの席から、質問が飛んできた

入社して数日の新人が、社員食堂で私の向かいに座った。

挨拶を交わした程度の間柄で、私が知っているのは彼の名前と配属先くらいだった。

定食を食べ始めてすぐ、彼が何気ない調子で聞いてきた。

「先輩って、給料いくらくらいもらってるんですか?」

汁物の椀を持ったまま、思わず手が止まった。

「え、給料?そういうのは……あんまり人には言わないかな」

苦笑いしながらかわしたつもりだった。ところが彼は「あ、そうなんですね」と言ったあと、少し考えてまた聞いてきた。

「じゃあ、手取りだとどのくらいです?僕、この先どれくらい上がるのかなって気になってて」

「いや、それもあんまり言わないよ」

今度は少しはっきり返した。それでも彼は、こちらが嫌がっているとは思っていないようだった。

「じゃあ、先輩くらいの年次だと月にどれくらいになるんですか?」

三度目だった。

「うーん…そのへんは自分の給料を見ながら想像してよ」

私が笑って返すと、彼も「あ、やっぱダメですか」と笑った。

それで終わるかと思ったが、今度は賞与や住宅手当の話になり、そのまま休日の話に移った。

「先輩って、休みの日は何してるんですか?」

「まあ、家にいることが多いかな」

「え、出かけないんですか? 誰かと遊びに行ったりとか」

「そのときによるかな」

「じゃあ今度、休み合ったらドライブ行きましょうよ」

あまりに屈託なく言われて、どう返せばいいのか一瞬迷った。

「いや、そこまで予定合わせなくて大丈夫だよ」

笑って断ったものの、給料のことから休日の過ごし方まで立て続けに聞かれ、少し疲れてしまった。

年上の先輩が、昼休みの終わりに声をかけた

食事を終えて席を立つと、隣の席で食べていた年上の先輩も、少し遅れて給湯室へ入ってきた。

湯呑みを置きながら、私の顔を見て苦笑する。

「さっき、ずいぶん聞かれてたな。困ってただろ」

「分かりました?」

「聞こえてたよ。休みの話までいってたもんな」

先輩は少し呆れたように笑った。

「たぶん悪気はないんだろうけど、まだ距離感が分かってないんだろうな」

昼休みが終わる少し前、先輩は新人の席へ書類を持っていった。その場で、周りに聞かせるような声ではなく、短く話しかけた。

「ちょっとだけいい?」

「はい、何ですか?」

「さっき給料とか休みのこと聞いてただろ。ああいうの、答えたくない人もいるからさ」

新人の表情が止まった。

「あ…すみません。嫌がってました?」

「嫌がってるっていうか、困ってたかな。濁されたら、それ以上は聞かないほうがいいよ」

「すみません。全然気づいてなかったです」

「まあ、次から気をつければいいよ」

新人は何度かうなずき、それ以上言い訳することはなかった。

翌日から、給料や休日について聞かれることはなくなった。廊下ですれ違えば、以前と変わらず「お疲れさまです」と明るく声をかけてくる。仕事について分からないことがあれば、普通に質問してきた。

その日の夕方、書庫で先輩と二人になったとき、私は礼を言った。

「昼の件、ありがとうございました。自分からだと、ちょっと言いづらくて」

「まあ、あの状況じゃ言いにくいよな」

先輩は書類を棚に戻しながら笑った。

「悪気がある感じじゃなかったし、一回言えば分かるだろうと思って」

実際、その一言で十分だった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ