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「10年前のことで、話があるんだ」借金のお願いだと身構えた私。だが、差し出された封筒に固まった

  • 2026.10.5

10年ぶりに届いた、短い連絡

30代の私のもとに、学生時代の友人から連絡が来たのは、平日の夕方でした。卒業してから一度も会っていなかった相手です。

「近いうちに会えないか。話したいことがある」

学生のころは、毎日のように学食で並んで座っていた仲でした。2人ともお金がなく、月末になると財布の中身を見せ合って笑ったこともあります。

それだけに、10年たって突然「話がある」と言われても、用件がまるで想像できませんでした。

約束の夜、会社帰りに喫茶店へ向かうと、彼は奥のテーブルでコーヒーを前に座っていました。

「久しぶり。急に呼び出してごめんな」

「いや、いいよ。元気そうでよかった」

しばらく近況を話していると、彼が急に黙りました。カップを両手で包んだまま視線を落とし、少し間を置いてから顔を上げます。

「10年前のことで、話があるんだ」

身構えた私の前に置かれた封筒

その神妙な表情を見て、私は思わず身構えました。

10年ぶりに呼び出されて、この切り出し方です。

もしかして、お金を貸してほしいという話だろうか。今月は家賃を払ったばかりで、急な貸し借りに応じる余裕もありません。

「……うん。どうした?」

話を聞きながら、頭の中では断る言葉を考えていました。今月は厳しいと正直に言うべきか。それとも、もう少し事情を聞いてからにするべきか。

すると彼はかばんを開け、白い封筒を取り出しました。

やっぱりお金の話だったのか。

そう思った次の瞬間、彼は封筒を私のほうへ差し出し、深く頭を下げました。

「あのとき借りた5000円、返せてなかった。本当にごめん」

「…え?」

私は封筒と彼の顔を交互に見ました。

貸した?私が?

記憶をたどってみても、5000円を貸した場面がまったく思い出せません。

彼は少し困ったように笑いました。

「ずっと気になってたんだ」

私はてっきり借金を頼まれると思い、断り方ばかり考えていました。その自分が急に恥ずかしくなります。

「……ごめん。正直、俺、覚えてなかった」

「そっか。でも、返せてよかった」

封筒を受け取りながら、今度は私も笑ってしまいました。

帰り際、私は伝票をつかんで先に立ち上がりました。

「今日は俺が払うよ。コーヒー2杯分くらい、払わせてくれ」


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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