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「小さいほう、貸してもらえる?」息子が渋々渡した赤い車。だが、返ってきたあと息子が取った行動

  • 2026.9.14

使っていないほうを、指さされた

保育園からの帰り道に近くの公園へ寄るのが、その頃の私たちの日課だった。

2歳の息子は赤い車の形をしたおもちゃを2台、いつも袋に入れて持ち歩いていて、公園に着くとまず砂の上に並べるところから遊びが始まる。

その日も息子は大きいほうを握り、道を描くように砂の上を走らせていた。

遊び始めて、まだそれほど時間もたっていなかった。

そこへ、同じくらいの年の男の子と、その母親が近づいてきた。男の子は息子のそばにしゃがみ、赤い車をじっと見つめた。

「かーしーて」

息子はすぐに首を振り、持っていた車を胸のほうへ引き寄せた。

「まだ使いたいみたい。ごめんね」

私がそう言うと、相手の母親は「あ、そっか」とうなずいた。

ところが、袋のそばに置かれていたもう1台に気づくと、そちらを指さした。

「じゃあ、小さいほう、貸してもらえる?」

息子は答えず、私の顔を見上げた。

「こっちも大事なんだよね」

私が息子に声をかけると、相手の母親も少し遠慮がちに、もう一度尋ねた。

「小さいほうも、だめかな?」

息子はしばらく小さい車を見ていたが、やがてしゃがんで拾い上げた。

「…はい」

差し出す手は、どこか名残惜しそうだった。

「ありがとう」

男の子はうれしそうに受け取り、すぐに砂の上を走らせ始めた。

それからしばらくして、母親に連れられてトイレへ向かうときも、男の子は赤い車を握ったままだった。

息子はその後ろ姿を何度か目で追っていた。私も「そろそろ返してもらおうか」と言おうか迷ったものの、もう少しだけ待つことにした。

返ってきた1台を、もう一度手に取った

しばらくして、男の子と母親が戻ってきた。

母親は息子の前で足を止めると、男の子に声をかけた。

「いっぱい遊んだね。そろそろ返そうか」

男の子は手にした車を見つめたまま、しばらく動かなかった。

「お友だちのおもちゃだからね。ありがとうして返そう」

少し間があってから、男の子は息子の前に車を差し出した。

「はい」

「ありがとう」

息子は受け取ると、大きいほうの車の隣に並べた。

相手の母親はその様子を見てから、私に小さく頭を下げた。

「ごめんなさい。使ってなかったから、貸してもらえるかなって簡単に思っちゃって」

「いえ。本人にとっては、どっちも大事だったみたいです」

そう答えると、母親は少し申し訳なさそうに笑った。

「そうですよね。ごめんなさいね」

すると息子は、並べた2台をしばらく見比べた。

そして小さいほうを手に取ると、さっきの男の子の前まで持っていった。

「はい」

私は少し驚いた。

男の子もすぐには受け取らず、母親の顔を見上げた。

「貸してくれるみたい。ありがとうって言おうか」

「ありがと」

今度は息子も嫌そうな顔をしなかった。

二人はそのまま並んでしゃがみ、それぞれの赤い車を砂の上で走らせ始めた。

最初は頼まれて渋々渡した1台だった。それでも、返ってきたあとにもう一度貸すことを決めたのは息子自身だった。

同じ「貸す」でも、大人に促されるのと、自分で決めるのとでは違うのかもしれない。二人が並んで遊ぶ姿を見ながら、私はそんなことを思った。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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