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「そろそろ代わってくれる?」2度声をかけても動かなかったブランコ。見かねた女性が母親に伝えた一言

  • 2026.9.14

幼児用のブランコだけ、順番が進まなかった

二年ほど前の休日の昼下がりだった。私は下の子を連れて、歩いて行ける近所の公園にいた。

日差しがやわらかく、砂場も鉄棒も子どもたちでにぎわっていた。ブランコや鉄棒など、順番を待つ遊具には自然と子どもたちの列ができていた。

小学生くらいの子たちは、乗り終わるとうしろへ回る。それだけのことが、誰に言われるでもなく続いていた。

ただ、幼児用のブランコだけは、なかなか順番が進まなかった。

3歳くらいの子がずっと座面に座っていて、その近くでは小さな子が二人待っていた。母親らしい女性は少し離れたベンチに座り、スマートフォンを見ている。

ときどき顔を上げて子どものほうを見るものの、交代を促す様子はなかった。

私が下の子に水筒を渡し、少し遊ばせてからもう一度ブランコを見ると、まだ同じ子が乗っていた。最初に気づいてから10分ほどたっていた。

先頭で待っていた女の子が、おそるおそるブランコへ近づいた。

「ねえ、そろそろ代わってくれる?」

乗っている子は鎖を握ったまま、返事をしなかった。

女の子はいったんうしろへ戻った。それでもしばらく待ってから、もう一度声をかけた。

「そろそろ代わってくれる?私も乗りたいんだけど……」

その声で、ベンチの女性が顔を上げた。

「まだ乗りたいみたいだから、もうちょっと待ってくれる?」

少し強い口調だった。

女の子は「あ……うん」と小さく答えて、またうしろへ下がった。さっきまでブランコを見ていたのに、今度は足元に目を落としていた。

私も何か言ったほうがいいのか迷った。でも、知らない親子の間に入る勇気までは出ず、そのまま様子を見ていた。

近くで見ていた女性が声をかけた

すると、少し離れたところで子どもを見守っていた年上の女性が、ブランコのほうへ歩いてきた。

その人も、さっきから待っている子どもたちの様子に気づいていたようだった。

ベンチの母親に向かって、穏やかな声で言った。

「ずっと待ってるみたいよ。そろそろ代わってあげたら?」

責めるような言い方ではなかった。ただ、そこに待っている子がいることを伝えるような口調だった。

母親は一瞬きょとんとしてから、ブランコのうしろを見た。

「あ…ごめんね」

そうつぶやくと、スマートフォンを鞄にしまって立ち上がった。

ブランコまで歩いていき、子どもの前にしゃがむ。

「そろそろ一回代わろうか」

「やだ。まだ乗る」

「まだ乗りたいよね。でも、待ってる子がいるから。一回降りて、またあとで乗ろう?」

子どもは口をとがらせた。

「もうちょっと」

母親も少し困った顔をしてから言った。

「じゃあ、あと三回ね。それで交代しよう」

母親が「いち、に、さん」と数えると、子どもはしぶしぶ鎖から手を離した。

「ほら、降りよう」

脇を支えられて座面から降りると、母親は待っていた女の子に軽く頭を下げた。

「ごめんね。どうぞ」

女の子は少し驚いた顔をしてから、

「ありがとう」

と答え、ブランコに座った。

うしろで待っていた子が、その背中をそっと押した。止まっていたブランコが、また揺れ始めた。

母親は自分の子どもの手を引いて、少し離れたところへ歩いていった。

大げさに謝ることも、その場で言い争いになることもなかった。ただ、さっきまで張りつめていた空気だけが少しやわらいだ。

うちの下の子が、動き始めたブランコを見ながら私の袖を引いた。

「あの子、乗れたね」

「うん。ずっと待ってたからね」

そう答えながら、私はもう一度ブランコのほうを見た。

ほんの一言でも、誰かが状況を伝えることで、止まっていた順番が動くこともあるのだと思った。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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