1. トップ
  2. カルチャー・教養
  3. 運動しなくても「クレアチン」12週間で筋肉と記憶の指標が改善、45〜65歳で

運動しなくても「クレアチン」12週間で筋肉と記憶の指標が改善、45〜65歳で

  • 2026.9.12
運動しなくても「クレアチン」12週間で筋肉と記憶の指標が改善、45〜65歳で
運動しなくても「クレアチン」12週間で筋肉と記憶の指標が改善、45〜65歳で / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

ジムの会員証は財布に入ったまま、今年も9月になってしまった。

年をとると筋肉は減り、脂肪は増えていきます。

年をとって脂肪が増え筋肉が減る状態はサルコペニア肥満と呼ばれ、健康リスクと体の機能の低下に結び付きます。

運動が効くと分かっていても、続けられる人は多くない。

Jisun Chun氏らの研究チームは、運動をしない中高年でもサプリの「クレアチン」をとると除脂肪量(体重から脂肪を除いた重さ)と筋力が増えたと報告しました。

対象は運動不足で健康な45〜65歳、期間は12週間、比べたのは偽薬です。

クレアチンは体の中でも作られ、肉や魚にも含まれる物質です。

蓄えられる先は、主に筋肉。

そこで、細胞がすぐに使うエネルギーの元になる分子「ATP」を素早く作り直す手伝いをします。

運動と組み合わせれば筋力が伸びることは、以前から知られていました。

筋トレの効果を高める目的で、スポーツの分野で長く注目されてきた物質でもあります。

近年は、脳の働きや健康への効果にも関心が集まっています。

サプリとして最もよく使われるクレアチン一水和物は、安くて安定で、研究も最も多い形です。

では、運動しない人が飲んだらどうなるのか。

研究内容の詳細は2026年8月11日に『Journal of the International Society of Sports Nutrition』にて発表されました

目次

  • 運動する人としない人、それぞれ偽薬と比べた
  • 筋肉だけでなく「血糖と記憶」の指標も動いた

運動する人としない人、それぞれ偽薬と比べた

運動する人としない人、それぞれ偽薬と比べた
運動する人としない人、それぞれ偽薬と比べた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

参加者はまず、運動と減量の食事に取り組むかどうかを自分で選びました。

健康で、運動を妨げる整形外科の問題がなく、直近2週間に減量薬やサプリを使っていない人に限っています。

時間の都合で15人が辞退し、血圧の高さやGLP-1受容体作動薬の使用などで数人が外れ、残った人が割り付けに進みました。

募集に応じた136人のうち、条件を満たして事前の説明を受けたのは94人。

そのうえでクレアチンか偽薬かをくじで割り当て、本人にも研究者にも中身を伏せる二重盲検にしています。

飲み方は5gの粉を朝と夜、1日10g。

運動組は週3回、監督付きの筋トレと有酸素運動をこなし、1日300〜500kcalのエネルギー不足を目指す食事の計画を指示されました。

運動組はスマホのアプリで毎日の食事を記録しました。

測ったのは開始時と6週目、12週目の3回。

DXA(体の組成をX線で測る装置)で除脂肪量と脂肪の量を、血液検査で脂質や血糖の指標を、テストで記憶や反応の速さを調べました。

測定の前は48時間、酒と市販の痛み止めを控えてもらいました。

本番の前に練習の回を設け、認知テストや反応の課題を試して、慣れによる見かけの上達を減らしています。

安静時の代謝量や心肺の運動能力、心理的な指標も測っています。

12週間を終えたのは64人。

ただし運動しない組は、偽薬13人とクレアチン13人という小さな比較です。

運動をするかどうかは本人の選択なので、運動そのものの効果を比べる設計ではありません。

試験は倫理委員会の承認を受け、公的な登録簿にも登録されています。

筋肉だけでなく「血糖と記憶」の指標も動いた

筋肉だけでなく「血糖と記憶」の指標も動いた
筋肉だけでなく「血糖と記憶」の指標も動いた / ※画像はイメージです。Credit: Generated by Codex (gpt-image), ナゾロジー編集部

運動しない組で動いたのは、除脂肪量と筋力だけではありませんでした。

血中の脂質の一部と、過去2〜3か月の血糖の平均を映すHbA1c、それに認知機能と記憶の一部の指標も良い方向に変わっています。

運動と食事に取り組んだ組では、クレアチンを加えると体脂肪率の減り方が大きくなりました。

体脂肪率の減少は、運動と食事を組み合わせた条件での結果です。

12週間の補給は、参加者の体に無理なく受け入れられました。

研究チームは、認知や血液の個々の結果は探索的なものとして読むべきだとしています。

研究チームの仮説は、クレアチンが運動と食事の効果を後押しし、認知にも良い影響を与えるというものでした。

【これまでの研究】

クレアチンだけをとった高齢者の研究は、これまで多くありませんでした(関連研究)。

オークランド大学の研究チームは以前に、健康な若い成人15人に7日間クレアチンをとってもらい、脳のクレアチンが平均9.2%増えたと報告しています。

酸素が10%しかない空気を90分吸うと注意力が落ちますが、クレアチンをとった時はその低下が抑えられました。

対象は若い健康な人で、酸素が薄いという特別な条件での結果です(関連研究)。

元論文の研究チームは、クレアチンが中高年の筋肉と筋力の維持を助けるかもしれないとみています。

飲むだけでいいならジムの会員証は財布に入ったままになりそうです。

参考文献

Creatine improves muscle mass and cognitive function in older adults even without exercise (PsyPost)
https://www.psypost.org/creatine-improves-muscle-mass-and-cognitive-function-in-older-adults-even-without-exercise/

Effects of creatine supplementation with and without exercise and diet intervention on body composition, cognitive function, and markers of health in middle-aged and older adults
https://doi.org/10.1080/15502783.2026.2716273

Creatine Supplementation Enhances Corticomotor Excitability and Cognitive Performance during Oxygen Deprivation
https://doi.org/10.1523/jneurosci.3113-14.2015

元論文

Effects of creatine supplementation with and without exercise and diet intervention on body composition, cognitive function, and markers of health in middle-aged and older adults
https://doi.org/10.1080/15502783.2026.2716273

ライター

天道銀河: 科学、歴史、心理、宇宙、生き物、テクノロジーなど、気になるものにはジャンルを問わず首を突っ込む雑食系ライターです。ひとつの分野を深く極めるというより、さまざまな知識を広く集め、意外なつながりを見つけるのが好きです。専門家ほど深くはなくても、好奇心の広さなら負けません。「こんな世界もあるのか」と思えるような、面白くてわかりやすい話題を届けていきます。

編集者

ナゾロジー 編集部

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ