1. トップ
  2. 「神戸建築祭2026」灘高等学校や神戸ムスリムモスク…名建築から土地の記憶を繙く初夏の旅へ

「神戸建築祭2026」灘高等学校や神戸ムスリムモスク…名建築から土地の記憶を繙く初夏の旅へ

  • 2026.4.25
Hearst Owned

港町に建てられた瀟洒な私邸や、世界的に有名な建築家が手掛けた建築など、通常非公開の歴史的建物を見学できる「神戸建築祭」が2026年5月8日(金)から10日(日)までの3日間開催されます。

開港以来、国際都市として独自の美意識を育んできた神戸。旧居留地の重厚な洋館から、異国情緒あふれる異人館、往時の繁栄を物語る港湾施設まで、多彩な文化を映し出す名建築がいまも街の中に息づいています。

3回目の開催となる今回は、新規参加建築数が過去最多を更新。新たに33件が加わり、全87件の建築が見学可能に。さらに公開エリアも拡大され、従来の北野・三宮エリアに加え、新たに「灘」「東灘」が追加されました。ガイドツアーでは西は舞子、東は宝塚・西宮までその舞台が広がります。

建築巡りに馴染みのない方も、専門家の解説が聴けるオーディオガイド(パスポート対象建築)や建物のオーナー自らが案内するガイドツアーを通じて、アートを鑑賞するように建物の意匠や歴史ついて深く知ることができます。

今回は、神戸生まれの編集・井本がひと足早く注目スポットを訪問。出生地という縁もあって折に触れて訪れる愛しの街ですが、建築という視点で歩くことで、新たな学びと発見に満ちたひとときとなりました。

開催期間中、「神戸建築祭」のパスポートを購入することで見学ができる、3つのおすすめ建築をご紹介します。

1.灘中学校・灘高等学校(5月10日のみ)

Hearst Owned

酒造家たちの矜持が宿る学び舎へ

大正時代、灘の酒造家3社(菊正宗酒造の嘉納家、白鶴酒造の嘉納家、櫻正宗の山邑家)が出資され設立された灘育英会が学校の始まり。中高一貫の男子校で全国トップクラスの名門校が「神戸建築祭」に待望の初参加となります。

本館を設計したのは、関西を中心に多くの公共建築を手掛けた建築家・宗兵蔵(そう ひょうぞう)。1928年の竣工からまもなく100年を迎えようとする建物は、2001年に国の登録有形文化財にも指定されました。外観の縦長窓上部や玄関ポーチには、直線で尖らせたアーチが用いられ、本来の半円アーチを再解釈した斬新なデザインに思わず見惚れてしまいます。

Hearst Owned

普段は男子生徒たちの活気に満ちた学び舎ですが、その静謐な空間に身を置くと、当時の酒造家たちが教育に懸けた情熱と、上質なものを追求した姿勢が伝わってきます。通常は非公開の校内を見学できる、極めて貴重な機会です。

見学可能日時/5月10日(日)10時~16時

2.神戸ムスリムモスク(5月9日のみ)

Hearst Owned

戦火を越え、祈りを捧げ続ける日本最古の聖塔

1935年に建てられた、日本で最も歴史あるイスラム教寺院。モスク特有の様式美を湛えた鉄筋コンクリート造の建物は、戦災や震災という幾多の困難を乗り越え、竣工当時の壮麗な姿をいまに伝えています。

2024年秋、同モスク初の日本人イマーム(指導者)に就任した藤谷勇介さんは、「正しい知識に触れる機会がないことが、宗教への誤解を生む一因。直接対話することで、イスラム文化の真実を伝えたい」と語ります。

Hearst Owned

見学できるのは1階の礼拝堂。厳かな祈りの場で、眩いシャンデリアがひときわ目を引きます。偶像崇拝を禁じるイスラムの教えにより、ステンドグラスや壁面の装飾はすべて幾何学模様や優美なカリグラフィー(文字装飾)で構成されています。

建築を通して異文化の美学に触れる、豊かな体験となるでしょう。

見学可能日時/5月9日(土)10時~16時30分(12時15分~12時45分は見学不可)

3.中華民國(台灣)留日神戶華僑總會(5月8日~10日)

Hearst Owned

明治期の洋館をそのままに─文化が重なる神戸の象徴

異人館が建ち並ぶ北野エリア。通常非公開のこの邸宅は、1909年にドイツ人実業家の私邸として建てられました。現在は神戸華僑總會の施設となっており、大規模な改修を免れたため、明治期の端正な佇まいが保たれています。

特徴的なのは、1階・2階ともに配された大きなガラス窓。もともとは開放的なベランダでしたが、冬は寒いので窓ガラスが入れられ、光が降り注ぐ広大なサンルームへと生まれ変わりました。

Hearst Owned

ドイツ人好みの堅牢な造りの中に、東洋的な趣を湛えた装飾家具が調和する空間は、まさに多文化共生の街・神戸を象徴する風景。

公開日には、心尽くしのお菓子とともに楽しむ「台湾茶飲み放題(別途1,500円)」や、建築イラストの展示も。歴史に包まれ過ごしてはいかがでしょうか。

「神戸建築祭」で出合う近代建築の数々は、1995年の阪神・淡路大震災を乗り越えて、大切に守り継がれてきた建物ばかり。異国情緒溢れる建築が多いのも神戸ならではです。

その土地の歴史、建てられた時代の背景を学ぶほどに建築巡りの楽しみは深まります。初夏の潮風が心地よい神戸を“学び”とともに散策しましょう。

■神戸建築祭2026
開催期間
/2026年5月8日(金)〜10日(日)3日間
※特別イベント・ガイドツアーは2026年4月25日(土)より開催
パスポート価格
/一般 早割3,300円・通常3,500円 U29(29歳以下) 早割1,800円・通常2,000円
※2026年4月30日までの購入で早割適用
※中学生以下は保護者1名につき1名まで同伴無料

開催時間
/10時〜17時頃(施設により見学可能日時が異なります)
対象エリア
/北野・山手、三宮・元町・港湾、湊川・兵庫、灘、東灘
※ガイドツアーは舞子・塩屋、宝塚、芦屋、西宮でも実施

参加建築数
/87件(うち33件は新規)
パスポート公開建築数
/30件(うち14件は新規)
ガイドツアー
/34コース(要申込・有料・定員制・一部抽選)
※ツアーのお申し込みは公式サイトより受付
※一部ガイドツアーの受付は終了しました

元記事で読む
の記事をもっとみる