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【小関裕太が探す 癒やしのデザイン#8】懐かしくて、新しい「黄金湯」 新宿の記憶を未来へつなぐ

  • 2026.9.5
MASAAKI INOUE

第8回は建築家・永山祐子の案内で、リニューアルしたばかりの銭湯「黄金湯 新宿」を訪ねた。


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新宿の街を象徴する繁華街からほど近い、裏路地を抜けたエリアにある住宅街の中で、半世紀以上営業を続けてきた銭湯が大規模なリニューアルを遂げ、話題を呼んでいる。新装開店した「黄金湯 新宿店」を訪れた小関裕太を出迎えたのは、設計を担当した建築家の永山祐子だ。

<写真>「黄金湯 新宿店」のエントランス外観。住宅街にあるため、周辺環境に溶け込むことを重視。華美なデザインは避けつつも、洗練された印象にまとめられている。

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<写真>入り口脇にある曲面を描くカウンターが番台代わり。天井スリットにカラーLEDを設置し、時間帯や気分に応じて空間演出を変えられるようにした。

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「昔なじみの懐かしさを残しつつも、現代のライフスタイルに寄り添い、これからも幅広い人々に愛される場所へと生まれ変わらせる。そのためには、新宿という街が持つ多様性と、この銭湯が地域に愛されながら刻んできた歴史を丁寧に読み解く必要がありました」

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役割の転換を示す、しつらえとディテール

そう語る永山は、この場所が昭和13年に銭湯として開業した当時から来訪者を見守り続けてきた印象的なタイル絵を大切に保存。このタイル絵の色彩から着想を得た淡いセージグリーンのタイルを採用し、空間の印象を一新した。

<写真>城の上に虹がかかり、山の麓に広がる湖にはヨットが浮かぶ。ヨーロッパの空想都市を描いたようなタイル絵は、前身の銭湯から受け継いだもの。

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一方で浴室の裏側は、がらりと印象を変えてほの暗い洞窟のような通路を設け、その中にサウナルームと水風呂を配し、外気浴が堪能できる開放的な屋外スペースなどを併設した。

<写真>有機的なフォルムが美しい洞窟のような通路を抜けて、サウナと水風呂、外気浴のスペースを行き来する。

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ぐるりと銭湯内部を一周した小関は、「見た目が美しいだけでなく、ここにしか存在しない空気感がデザインによって導き出されているように感じます」と語りかける。

柔らかな光と影のグラデーション、足裏に感じる床材のテクスチャー、空間を包み込む穏やかな色調に、特別な意識を感じた小関。これに対し、永山は、変化しつつある銭湯の役割を新たな言語で翻訳し直す必要があったと話す。

<写真>男性用サウナルームのすぐ脇には、新宿の空を眺めながら、水風呂と外気浴を交互に楽しむことができる広々とした屋外スペースも完備している。

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移ろう時代のあわいを 丁寧に綴り合わせる

「元来、銭湯は『入浴する』という普遍的な生活行為を行うための場所でした。でも、現代においてはさらなる要素が求められます。体と共に精神を癒やし、くつろぎの時間を提供し、ときにはエンターテインメント的な要素も必要とされる。そのために、ディテールを細かく調整し、日常とは少しかけ離れた非日常的な感覚も積極的に取り入れました」

<写真>セージグリーンのタイルは、このプロジェクトのために永山が選定したもの。

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<写真>オートロウリュ付きの男性サウナ。壁材には温熱効果を高める溶岩タイルを採用した。

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<写真>女性サウナには、天然地下水にきめ細かな泡をプラスした美泡水風呂が用意されている。

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子役時代から撮影で頻繁に通っていた新宿には、いろんな要素が混在しつつ、少しミステリアスな魅力を感じているという小関に、「最近では、若い女性の間で『新宿って昭和感があってかわいい』と人気があるらしいんです。新宿はこうして新しいものを受け入れつつも、侵食されない力強さがあるところがいいんですよね」と永山が答える。

都市の様相は常に移ろうもの。しかし、全てを一気に刷新するのではなく、移行のプロセスを丁寧に組み立てていくことも、デザインの大切な役割であると、この場所はそっと教えてくれる。

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小関裕太が撮影した、揺らぐ水面に映る時の移ろい

「時代の温度感にフィットさせながら、浴室と水風呂&サウナをデザイン、展開されているところに刺激を受けました。写真では、水面が移ろう様子に時間の流れを重ねています」(小関)

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今号のオフショットも!

暖簾からひょっこり顔をのぞかせる小関。撮影の合間に見せた、こちらまで思わず笑顔になるチャーミングなひとコマをキャッチ!

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小関裕太(Yuta Koseki)
1995年東京都生まれ。ドラマや映画、舞台などで活躍するほか、2024 年にはフォトグラファーとしての作品集『LIKES』、25年には30歳を記念したアーカイブブック『Y』を発売。主な出演作に、ドラマ『波うららかに、めおと日和』『豊臣兄弟!』、ミュージカル『レッドブック ~私は私を語るひと~』など。

シャツ¥176,000 パンツ¥267,300 /共にマルニ(マルニ ジャパン クライアントサービス)

Photo : MASAAKI INOUE Text : HISASHI IKAI Styling : SATOSHI YOSHIMOTO Hair & Make-up : CHIKA HORIKAWA

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