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「E&Y Gallery」にて、サウンドアーティストのスズキユウリによる「ファニチャー・ミュージック」がテーマの展覧会が開催中

  • 2026.9.2
HIROYA ISHIKAWA

デザイナー/サウンドアーティストのスズキ ユウリによる展覧会『ミュージック・アズ・ファニチャー』が、東京・神楽坂の「E&Yギャラリー」で開催中だ。会期は9月13日(日)まで。スズキは「音は生活を構成する重要なエレメントである」という考えのもと、人と音楽の可能性を探求してきた。この展覧会では、その成果を発表するかのように、過去に発表した作品とともに2つの新作が展示されている。

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スズキがテーマにするのは、20世紀初頭にフランスの作曲家、エリック・サティが提唱した、音楽を家具のように空間の一部として自然に存在するものと捉える思想「ファニチャー・ミュージック(家具の音楽)」だ。

その活動を振り返ると、2018年にロンドンの「スタンレー ピッカー ギャラリー」で展覧会『ファニチャー・ミュージック』を開催。その後、E&Yのコレクション“ザ アンビエント マシン”の開発や、アンビエント音楽の制作、サウンドアーティストのコーネリアスとのコラボレーションなどを通じて、このテーマを発展させてきた。

当初はコンセプチュアルなアート作品やインスタレーションを通して、テーマである「ファニチャー・ミュージック」を表現してきたが、それがやがて購入もできる「ザ アンビエント マシン」へと発展した。

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“ザ アンビエント マシン”はこれまでに3タイプが制作されている。今回の展覧会では新たに100台限定の“ザ アンビエント マシン - ポイント バイ コーネリアス エディション”が登場。これはコペンハーゲンを拠点とするクリエイティブスペース、サンキュー フォー クラッピング(TYFC)との協働によって制作されたもので、コーネリアスのアルバム『ポイント』の楽曲を小山田圭吾が再構成し、音源に使用した特別版だ。

<写真>これまで制作してきた“ザ アンビエント マシン”のアーカイブも並ぶ。

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“ザ アンビエント マシン - ポイント バイ コーネリアス エディション”は、前面に32個のスイッチを配したデザインが特徴的だ。スイッチには、それぞれ水の音、パーカッション、アコースティックギター、リバーブなどさまざまな音や効果が割り当てられている。それらをオンやオフにすることで、気分に合わせて自分の好きなように楽曲のアレンジが可能だ。

<写真>底面にエディションナンバーと小山田圭吾のサインが入っている。“ザ アンビエント マシン - ポイント バイ コーネリアス エディション”(W26.4×D13.5×H17.7cm)/E&Y ¥275,000

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「人間は色やグラフィックなどと比べて、音に関してはすごくセンシティブ。みんなが好きな音ってなかなかないからこそ、その人が好きな音にカスタマイズできるようにしたかった」とスズキは話す。

「なんとなくパチパチとスイッチを触りながら、その時の気分でいい感じの音を見つけてもらえたらと思います」

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そして、展覧会の会場でひと際目立つ存在が、アンビエントミュージックを奏でる“スピーカー コーナー”だ。これは高さ180cmのスピーカーシステムで、スピーカーを単なる音響機器ではなく、人と空間の関係をつくるためのメディアとして捉え直す作品となっている。

作品にはスズキの活動拠点であるイギリスの海辺の街マーゲートの海の音を収録したアンビエントミュージックが付属する。この音をアンプで増幅し、スプリッターで高音、中音、低音の3つの音域に分配。それぞれの信号をアイソレーターを使って安定化して出力することで、家具のような空間の一部としての音を奏でる。また、外部音源を接続することで、通常の スピーカーシステムとしても使用することができる。

<写真>“スピーカー コーナー”(W80×D40×H180cm)/E&Y ¥5,005,000 5台限定

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「基本的に高音のツイーター、中音のミッドレンジ スピーカー、低音のウーハーから構成されていて、これらをベルトを使ってまとめています。これはロンドンで見かけるレゲエのサウンドシステムからインスピレーションを受けたものです」

この作品には、アンビエントミュージックだけでなく、特注のアンプラック(アンプ、スピリッター、アイソレーター)も付属する。また、空間に合わせてカスタマイズも可能だ。ツイーター、ミッドレンジ スピーカー、ウーハーを別々に購入し、オリジナルのアンプとともにその場所に最適なサウンドシステムを構築することもできる。

「音域別に分けて出力した素晴らしい音を自宅で聴けることは少ないと思いますし、大きなサウンドシステムにありがちな待ち時間がなく、スイッチを入れたらすぐに音を鳴らせます。ぜひ日常的に楽しんでほしいと思います」

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ほかにも会場には、これまでにスズキが手掛けた作品が展示されている。例えば、蛍光灯やテレビモニターなどが発する電気信号を可聴化し、本来は聞こえないノイズを「音楽」として浮かび上がらせる“ターンテーブル フォー ドメスティック ノイズ”。

〈写真〉「ターンテーブル フォー ドメスティック ノイズ」を操作するスズキ

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さらにはターンテーブルに4本のトーンアームをつけて、同じレコードの異なる位置を同時にトレース。ひとつの楽曲を複数の時間軸として重ね合わせ、新たな音楽体験を生み出す“クアドラフォニック ターンテーブル”など、好奇心をそそられる独創的な作品が並んでいる。

「生活の中にある音の意味をずっと考えていました。特にコロナ禍で部屋から外に出られない状況が続いた時に、どれだけ音が人をイライラさせるのかがわかりましたし、それによって音は家具などと同じくらい、人々の暮らしにとって重要だと感じましたね」

スズキがテーマとする「ファニチャー・ミュージック」。その本質を展覧会『ミュージック・アズ・ファニチャー』で感じたい。

<写真>2016年に発表した“クアドラフォニック ターンテーブル”

Yuri Suzuki「Music As Furniture」
会期/~2026年9月13日(日)
会場/E&Y Gallery(東京都新宿区改代町40)

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スズキ ユウリ

1980年生まれ。アートユニット明和電機に携わり「音楽とテクノロジー」に関心を持ち、2005年ロンドンの「ロイヤル カレッジ オブ アート」に入学。音楽と音がどのように思考に影響を与えるのか、音と人の関係性について提議した作品を制作し、そのサウンドアート作品とインスタレーションは、世界中の展示会で展示されている。2026年にはグラミー賞にもノミネートされた。

Photo HIROYA ISHIKAWA

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