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子どものドライアイの原因はスマホだけとは限らない?アレルギーとの関係を眼科医が解説

  • 2026.8.30

子どもがスマホを見た後に目をこすったり、しょぼしょぼさせたりするのはドライアイが原因?他の病気が潜んでいる可能性は?そんな保護者の疑問について、医療法人社団久視会いわみ眼科理事長岩見久司先生に伺いました。受診の目安や日常で気をつけたいポイントまで詳しく紹介します。

ママ広場

「最近、子どもがよく目をこすっている」
「ゲームをしたあとに、目が疲れたと言う」
「目が赤い、しょぼしょぼする」
そんな様子を見て、「スマホの見すぎかな?」と思ったことはありませんか?
ドライアイというと大人の病気というイメージがありますが、実は子どもにも起こります。
ただ、子どもは必ずしも「目が乾く」と上手に表現してくれるわけではありません。目をこする、しょぼしょぼする、目が疲れる、充血するといった様子から気づくこともあります。
そして大切なのは、こうした症状をすべて「スマホのせい」と決めつけないことです。子どものドライアイには、デジタル機器だけでなく、アレルギー性結膜炎など、いくつもの要因が関わっています。

子どものドライアイは、実は珍しくない

2025年、世界の子ども48,479人を含む41論文・42集団をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析が発表されました。
そこで推定された子どものドライアイの割合は23.7%でした。[1]
「では、子どもの4人に1人がドライアイなの?」と思うかもしれませんが、そう単純ではありません。
この研究では、質問票で「目が乾く」「不快感がある」などの症状から判断すると34.6%だったのに対し、実際に眼科的な所見を基準にすると16.6%でした。[1]
つまり、症状があることと、眼科の検査でドライアイの所見があることは必ずしも一致しません
研究ごとの差も非常に大きいため、「子どもの4人に1人」と断定するのは適切ではありませんが、少なくとも「ドライアイは大人だけのもの」とは言えなくなっています。

ゲームを始めると、まばたきが20.8回から8.9回に

では、スマホを見ているとき、子どもの目には何が起こっているのでしょうか。
興味深い研究があります。
6~15歳の健康な子ども36人に、スマホで1時間ゲームをしてもらい、まばたきや涙の状態を調べた研究です。[2]
普段の会話中には1分間に平均20.8回していたまばたきが、ゲームを始めると8.9回にまで減りました。しかも、この変化はゲーム開始後すぐに起こり、1時間続きました。
半分以下です
さらに1時間後には、「目が疲れる」「不快感がある」といった症状も悪化していました。[2]
ただし、ここには大切なポイントがあります。

この1時間の実験では、涙の量や涙の安定性などの検査値には明らかな変化は認められませんでした。
つまり、この研究から「まばたきが減ったから涙が乾き、ドライアイになった」と一本道で断定することはできません。
それでも、画面に集中すると、子どものまばたきが急激に減り、検査値に明らかな変化が出る前から目の不快感が増えることは、とても興味深い結果です。
まばたきには、涙を目の表面に広げる大切な役割があります。画面を見るときには、ときどき目を離して休むことが大切です。

「何時間見るか」だけでなく「いつ見るか」も大切

日本の子どもを調べた大きな研究もあります。
東京都内の小学生7,419人を対象に、スクリーンを見る時間と、肥満、運動、ドライアイ、学習などとの関係を調べた研究です。[3]
興味深いことに、ドライアイ症状については、スクリーンを見る「総時間」そのものよりも、寝る直前にスクリーンを見ていることとの関連が認められました。
一方、スクリーン時間が短い子どもほど身体活動が多いという関連も示されています。[3]
ここで注意したいのは、この研究は質問票を用いた観察研究なので、「スマホを見るから運動しなくなった」「寝る前のスマホがドライアイを起こした」と因果関係まで証明したわけではないことです。
しかし、スマホやタブレットの問題を「1日何時間まで」と、画面を見る時間だけで考えるのでは十分ではなさそうです。
いつ見るのか。そして、その時間に本来何をしていたのか
子どもの1日の過ごし方全体を見る必要があります。

スマホだけではありません。「目をこする」ならアレルギーにも注意

子どもの目で、もう一つ忘れてはいけないのがアレルギーです。
6~15歳の子どもを調べた研究では、アレルギー性結膜炎を伴う子どもでは、伴わない子どもより涙の安定性を示すBUT(涙液層破壊時間)が短く、ドライアイに関連する症状も多いことが報告されています。[4]
つまり、
「目をこする」
「目が赤い」
「しょぼしょぼする」
という症状があっても、ドライアイだけとは限りません。
特に「かゆい」はアレルギー性結膜炎を考える大切な症状ですし、ドライアイとアレルギーが重なっている場合もあります。
ですから、「スマホを減らしたのに治らない」と悩む必要はありません。
そもそもスマホだけが原因ではない可能性があるからです

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外で過ごす時間が長い子では、ドライアイが少なかったという報告も

韓国の小学生916人を調べた研究では、ドライアイと診断された子どもは全体の6.6%でした。[5]
都市部では8.3%、農村部では2.8%と差があり、ドライアイのある子どもではスマホ使用時間が長く、屋外活動時間が短いという関連が認められました。
統計解析でも、屋外活動時間が長いことはドライアイが少ないことと関連していました。[5]
ただし、これも「外で遊べばドライアイが治る」という意味ではありません。
スマホ使用、屋外活動、生活環境などは互いに関係しているため、どれがどこまで直接的な原因なのかを、この研究だけで分けることはできません。
それでも、子どもの目を考えるときに「画面を見る時間」だけを見るのではなく、屋外で過ごす時間も含めて考えるという視点は大切です。

屋外活動は、近視を考えるうえでも大切

実は屋外活動は、子どもの近視との関係でも研究されています。
2024年に発表されたコクラン・レビューでは、子どもの屋外活動を増やす介入を行ったランダム化比較試験がまとめられました。[6]
その結果、長期的に屋外で過ごす時間を増やすことは、近視になる子どもを減らす可能性があるとされています。
一方、すでに近視になった子どもの「進行」をどこまで抑えられるかについては、まだ十分な結論を出せませんでした。[6]
ここでも、「外に出れば何でも解決する」という話ではありません。
ただ、外で過ごすことは、体を動かすことだけでなく、子どもの目にとっても大切な生活習慣の一つだと考えられます。

家庭ではどうすればいい?

スマホやタブレットをすべてやめる必要はありません。
学校でもデジタル機器を使う時代ですから、「スマホ=悪」と考えてしまうと、親も子どもも疲れてしまいます。
家庭でできることは、意外とシンプルです。
ゲームなら、1ステージ終わったら一度画面から目を離す。動画なら、何本も続けて見ずに途中で休憩する。できれば寝る直前まで画面を見続けない。そして、外で遊んだり体を動かしたりする時間も確保する。
「まばたきしなさい」と何度も言うよりも、いったん画面から顔を上げる習慣をつくる方が、子どもには実践しやすいでしょう。

こんな症状があれば、眼科で確認を

一時的に目が疲れる程度なら、画面から離れて休むことで改善することもあります。
一方で、

○目をこする、しょぼしょぼする、充血することを繰り返す
○目の痛みを訴える
○強くまぶしがる
○目を開けていられない
○見えにくいと言う
○片目だけ強く赤い
○市販の目薬を使っても症状を繰り返す

といった場合には、単なる「目の疲れ」と決めつけず、眼科で確認してもらうことをおすすめします。
特に痛み、強いまぶしさ、見えにくさ、目を開けられないほどの症状がある場合には、ドライアイ以外の角膜の病気なども考えるため、早めの受診が必要です。

子どもの1日は24時間しかありません

スマホを見る時間が増えるということは、単に「画面を見る時間」が増えるだけではありません。
その時間、まばたきはどうなっているのか。
外で過ごす時間はどうなっているのか。
寝る直前まで画面を見ていないか。
子どもの1日は24時間しかありません。
スマホを悪者にするのではなく、目の健康をきっかけに、子どもの24時間の使い方を考える
私は、それが今の時代の「子どものドライアイ」を考えるうえで、とても大切だと思っています。

参考文献
[1]Zou Y, Li D, Virgili G, et al. Prevalence of dry eye disease among children: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open Ophthalmol. 2025;10(1):e002014. doi:10.1136/bmjophth-2024-002014.
[2]Chidi-Egboka NC, Jalbert I, Golebiowski B. Smartphone gaming induces dry eye symptoms and reduces blinking in school-aged children. Eye (Lond). 2023;37(7):1342-1349. doi:10.1038/s41433-022-02122-2.
[3]Mineshita Y, Kim HK, Chijiki H, et al. Screen time duration and timing: effects on obesity, physical activity, dry eyes, and learning ability in elementary school children. BMC Public Health. 2021;21:422. doi:10.1186/s12889-021-10484-7.
[4]Kim TH, Moon NJ. Clinical correlations of dry eye syndrome and allergic conjunctivitis in Korean children. J Pediatr Ophthalmol Strabismus. 2013;50(2):124-127. doi:10.3928/01913913-20130108-01.
[5]Moon JH, Kim KW, Moon NJ. Smartphone use is a risk factor for pediatric dry eye disease according to region and age: a case control study. BMC Ophthalmol. 2016;16:188. doi:10.1186/s12886-016-0364-4.
[6]Kido A, Miyake M, Watanabe N. Interventions to increase time spent outdoors for preventing incidence and progression of myopia in children. Cochrane Database Syst Rev. 2024;6(6):CD013549. doi:10.1002/14651858.CD013549.pub2.

※記事の作成にあたり、校正の補助として生成AIを使用しました。ファストチェックは医師が確認しています。

執筆者

プロフィールイメージ
岩見久司
岩見久司

大阪市立大学医学部卒
医療法人社団久視会 いわみ眼科理事長
眼科専門医・レーザー専門医
医学博士
兵庫医科大学非常勤講師

経歴
1日100人を超す外来をこなしながら、若手医師の教育や医師・医療関係者向けの講演も頻繁に行っている。
加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などを得意とする網膜内科医。
網膜の病気に将来繋がっていく可能性のある小児の近視が現在急増しており、近視治療にも積極的に取り組んでいる。
令和5年度より、「100歳まで見える目」をたくさんの方が持てるように啓蒙活動を展開している。

いわみ眼科ホームページ

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