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「噛んでいると疲れる」好物の“たくあん”を残す80代母→気になった娘が病院に連れていくと…検査で判明した“思わぬ原因”

  • 2026.9.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

 

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

自分の歯が20本以上あっても、以前と同じように食べられるとは限りません。噛む力や舌の動きなど、歯の本数だけでは分からない働きも食事を支えています。

今回は、敬老の日に母が好物のたくあんを残したことから、食べにくさに気づいた母娘の事例をもとに、歯医者で調べる内容と、家族が書き留めておきたい変化を解説します。

 「歯は20本あるから」と聞いて、娘も納得していた

敬老の日、50代の女性が実家に帰省しました。80代の母が好きなたくあんを土産に選び、一緒に食卓を囲みます。

ところが母は、たくあんを皿の端に寄せたまま、箸を置きました。「お腹がいっぱい」と言うので歯の具合を尋ねると、「歯は20本あるから問題ない」と答えたのです。

母には、歯医者で「よく残っていますね」と言われた経験がありました。娘もその言葉を聞き、年齢とともに好みが変わったのだろうと受け止めます。

ただ、その後も食べ方が気になりました。煮物の人参は食べてもごぼうは残し、食事を終えるのが家族より20分ほど遅い日が続いたのです。

娘は気づいたことをスマートフォンにメモし、次の受診に付き添いました。診察室で母が口にしたのは、「噛んでいると疲れる」という言葉でした。

 歯の本数だけでは分からない、食べにくさがあった

母は歯や歯茎、かみ合わせに加え、口の機能の検査を受けました。舌で押す力の弱さも指摘され、母娘は初めて、歯が多く残っていることと、食べやすいことは同じではないと知ったのです。

8020運動は、80歳で自分の歯を20本以上保とうという目標です。歯を残すことは食べる楽しみを支えますが、20本あれば口の働きすべてに問題がない、という意味ではありません。

同じ20本でも、上下の歯がかみ合う場所や、歯や歯茎の痛み、入れ歯の合い具合などで、食べやすさは変わります。舌や唇の動き、飲み込む働きも、本数を数えるだけでは分からない部分です。

 歯医者では、舌の動きや噛み砕く働きも調べます

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

口腔機能低下症(口の複数の働きが低下した状態)の検査では、7項目を調べます。口の清潔度、乾燥、噛む力、舌と唇の動き、舌で押す力、食べ物を噛み砕く働き、飲み込む働きです。

例えば「パ」「タ」「カ」を繰り返して舌や唇の動きを調べ、専用の器具を舌で押して力を測ります。検査用のグミを噛んで、食べ物を噛み砕く働きを調べる方法もあるのです。

検査で3項目以上が基準に該当すると、口腔機能低下症と診断されます。もちろん、たくあんを1回残しただけで、病名が決まるわけではありません。

受診のときは、「いつから」「どの食品を残すか」「食事にどのくらい時間がかかるか」を伝えると、食卓での様子が分かりやすくなります。食べる量や体重の変化、むせ、食べこぼしも書き留めておきましょう。

家族の気づきに加えて、本人の「痛い」「噛むと疲れる」といった言葉も手がかりです。今回の娘が持参したメモも、母の食べにくさを一緒に振り返る助けになりました。

好物を残す理由を、もう少し聞いてみましょう

母娘は検査結果を聞き、食べやすい硬さや大きさを相談しました。食事量と食べにくかった物を記録し、次の受診で振り返る予定も立てています。

「歯を鍛えよう」と、無理に硬い物を食べさせる必要はありません。好物を残す日が続いたら、好みの変化と決める前に、痛みや食べづらさがないか尋ねてみてください。

歯が何本あるかに加えて、いつもの食事を楽しめているかも、家族と話すきっかけにしてはいかがでしょうか。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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