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医師から『前立腺がん』と宣告された70代男性→「メスを入れるのは避けたい」相談すると…医師から告げられた“意外な治療法”

  • 2026.9.24
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

「がんの治療って、手術しか方法がないの?」——ご家族が、がんと診断されたとき、そんな不安を抱く方は少なくありません。「手術は怖い」「体への負担が心配」という理由で、治療の選択に悩まれるケースもあります。でも、手術以外にも、体への負担を抑えながらがんに向き合う方法があります。

今回は、前立腺がんの放射線治療を選んだ78歳男性と、そのご家族のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成したものです。特定の個人を指すものではありません。

「手術はしたくない」——選んだのは放射線治療

Dさん(78歳男性)は、健康診断をきっかけに前立腺がんと診断されました。

担当医からいくつかの治療法を提案されたDさんでしたが、「この年齢で体にメスを入れるのは避けたい」という思いから、体外から放射線を照射する「外照射治療(がいしょうしゃちりょう)」を選択しました。

治療の開始が翌月に決まったDさんでしたが、その前に、まずは1泊2日の入院で「スペーサー」という処置を受けることになりました。

付き添っていた娘のEさんは「放射線治療の前に、また別の処置が必要なんですか?」と、聞き慣れない言葉に戸惑いを隠せなかったそうです。

スペーサーってどんな治療?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

前立腺がんの放射線治療では、がんをしっかり治療するために、前立腺に対して一定量の放射線を照射する必要があります。

ところが、前立腺のすぐ近くには膀胱(ぼうこう)や直腸(ちょくちょう)があります。放射線が周囲の臓器になるべく当たらないよう工夫はされているものの、位置が近いために、直腸にもある程度の放射線が当たってしまうことは避けられません。その結果として、治療後に肛門からの出血などが起こる場合があります。

こうした直腸への影響をできるだけ小さくするための工夫が「スペーサー」です。ポリエチレングリコールという成分をベースにしたゼリー状の薬剤を、体外から前立腺と直腸の間に注入することで、前立腺と直腸の物理的な距離を広げます。この距離ができることで、放射線が直腸に届きにくくなり、治療後の出血などの副作用を抑えることにつながるとされています。

注入したゼリー状の薬剤は、通常約3ヶ月間は位置を維持し、半年ほどで自然に吸収されていきます。放射線治療の期間中はスペーサーが直腸を保護する役割を果たし、その役目を終える頃には体に残らないという点も、この処置の特徴のひとつです。

なお、直腸がんの手術を受けたことがあるなど、体の状態によってはスペーサーを注入できないケースもあり、その場合はスペーサーを用いずに放射線治療が行われます。スペーサーの処置も医療行為であるため、処置時の痛みや出血、稀に感染や周囲の組織(直腸など)への影響といった合併症のリスクが伴います。事前に十分な説明を受けましょう。

前立腺生検と似た処置で、入院は1泊2日

Dさんが受けたスペーサーの処置自体は、前立腺の組織を採取して調べる「前立腺生検(せいけん)」と似たような方法で行われ、入院期間も1泊2日程度で済みました。

処置を終えたDさんは「入れてみても、思っていたより何ともなかったよ。これで安心して放射線治療が受けられるなら、ありがたいね」と、ほっとした様子で話してくださいました。娘のEさんも「知らない処置と聞いて身構えていましたが、話を聞いて納得できました」と安心されていました。

放射線治療の前の一手間が、治療後の安心につながる

前立腺がんの放射線治療と聞くと、放射線を当てるだけのシンプルな治療をイメージされる方も多いかもしれません。

しかし実際には、スペーサーのように、体への負担を減らすための工夫が治療の前段階に組み込まれていることがあります。聞き慣れない処置の名前を告げられると、ご本人もご家族も不安になるのは自然なことです。

ご家族が前立腺がんの治療法を検討されている場合は、手術か放射線かという選択だけでなく、こうした付随する処置についても、担当医から十分に説明を受け、納得したうえで治療に臨まれることをおすすめします。

わからないことは遠慮なく質問してみてください。ひとつひとつの工夫の積み重ねが、安心して治療を受けられる土台になります。

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