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入居者へ長い敬語の文面を送った私、玄関先で伝えたかったお礼

  • 2026.8.19
ハウコレ

会う約束を取りつけてからも、最初の一言は決まりませんでした。玄関先で口をついたのは、用意していたお礼より先に、謝罪でした。

入居者に宛てた下書きを、私は挨拶の文だけ残して繰り返し書き直していました。

短い返信で保っていた距離

アパートを1人で管理するようになって20年になります。入居者との連絡は、入居のときに交換するメッセージアプリだけに限り、返信は「承知しました。」だけと決めていました。親しくなりすぎて、お願いを断れなくなった失敗が昔あったからです。ゴミ置き場が荒れたとき、私は特に確かめもせずに、全員宛てに「ゴミ置き場のルールをお守りください。」と送りました。その後、母屋の窓から見たのは、カラスに荒らされた袋を替えて積み直している、その人の姿でした。

敬語の向こうに隠した本題

お礼をしなければと思ってから、下書きは長くなっていきました。「近いうちに、少しお時間をいただけないでしょうか。」丁寧にしていたのは誠意ではなく、今さら距離を詰めて図々しいと思われるのが怖い、という逃げでした。「わかりました。いつでも大丈夫です。」という返信を受けてもなお、私は詫びの文面を重ねて、本題を先送りにしました。消しては足す敬語の分だけ、送信は遅れていきました。相手を不安にさせているだろうことは、わかっていました。

お礼より先に出た謝罪

数日後、玄関先に来てもらいました。菓子折りの紙袋を上がり口に置き、用意していたお礼より先に、口をついたのは謝罪でした。「変な送り方をしてしまって、ごめんなさいね。」それから、「ゴミ置き場、いつも直してくれていたでしょう。お礼が言いたかったの。」と伝えました。窓から見ていたことも、湯のみを出す余裕もないまま、立ったまま、そのまま話しました。「気づいてもらえて、うれしいです。」という言葉に救われながら、先に不安にさせたのは私だ、とも思いました。お礼のつもりが、身構えさせてしまっていたからです。

そして...

メッセージの文面は、用件だけの短いものに戻しました。感謝はためこまず、ゴミ置き場で顔を合わせたときに、その場で口にすると決めています。敬語を飾る時間で、伝えられることがあったはずでした。

(60代女性・不動産賃貸業)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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