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後輩への頼み事を茶化せなかった俺が、敬語に込めていたもの

  • 2026.8.29
ハウコレ

任せるのは、俺が一番信頼している後輩でした。だからこそ軽く受け流されたくなくて、選んだのが敬語でした。既読のまま返信が来ない時間が続きます。

送信ボタンの上で、指を何度も止めていました。相手は、いつも軽口を返してくる後輩。打っては消してを繰り返した末に残ったのは、普段の自分らしくない堅い文面でした。

任せたい相手に、どう切り出すか

異動の内示を受けて、最初に考えたのは担当案件のことでした。取引先との積み重ねを途切れさせるわけにはいかない。そして、任せられるのはあの後輩しかいない。細かいところまで気づいて、俺の雑な指示を何度も形にしてくれた相手です。そう決めてから、個人のメッセージアプリを開いては閉じる時間が続きました。

敬語を使った理由

いつもの調子で送れば、いつもの調子で返ってくる。それでは、この案件の重さも、俺がどれだけあの後輩を信頼して託すのかも、きっと伝わらない。冗談の延長で軽く流されてしまうのが怖くて、俺は茶化す言葉を全部消しました。「お疲れ様です。少しご相談したいことがあります。お時間をいただけますでしょうか。」。送ってすぐに既読はついたのに、返信はなかなか来ませんでした。戸惑わせているのだろうかと、返信を待つ間、意味もなくスマホを裏返しては戻していました。

短い返信と、告げた用件

届いたのは「どうしたんですか?何かありましたか?」という1通でした。心配させたことに気づきながら、俺は「急ぎではないので、ご都合の良いときで大丈夫です」と、また敬語で返してしまいました。切り出す踏ん切りがつかないまま迎えた翌日、「今なら大丈夫です。相談ってなんですか?」と後輩のほうから促してくれました。その1通に背中を押されて、俺はようやく用件を送りました。「来月から大阪に異動することになりました。今担当している案件を、あなたに任せたいと考えています」。しばらくして返ってきたのは、「敬語、やめてください。いつもの先輩に戻ってください」という一言でした。

そして...

俺は「ちゃんと頼みたかったんだ。いつもの調子で送ったら、冗談だと思われそうで」と返しました。敬語に込めたのは、案件の重さと、それを託せる相手だという信頼でした。それが伝わったのなら、もう敬語を使う必要はありません。次の文面は、不思議と普段どおりに打てました。今は引き継ぎ資料の1枚目を作りながら、質問攻めにされる日を待っています。

(30代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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