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親の介護はしたくない? 米ミレニアル世代で広がる“不満の声”。背景にある経済事情とは

  • 2026.8.18
Arman Zhenikeyev / Getty Images

親が高齢になるにつれ、多くの人が避けては通れない「介護」の問題。しかしアメリカでは、住宅価格の高騰や学生ローンなど経済的な負担を理由に、「親の介護は引き受けたくない」と考えるミレニアル世代が増えているという。

親の介護はしたくない?ミレニアル世代が抱える不満

ミレニアル世代の介護問題が話題となったきっかけは、2023年にRedditで拡散されたある投稿だったという。発端となったのは、経済メディア『Vox』が「経済的に余裕のない30代は、高齢の親の介護に伴う現実的な負担に備えられていない」と報じた記事で、それを受けて介護を巡る世代間の本音が明らかに。

そしてここ最近この議論が再び注目を集めており、『The Wall Street Journal』によれば、今年は約400万人のベビーブーマー世代(1946〜1964年に生まれた世代)が80歳を迎える見込みだと報じている。

Westend61 / Getty Images

『New York Post』によると、投稿が寄せられたのは、ベビーブーマー世代を批判するRedditのコミュニティ「r/BoomersBeingFools」だという。投稿者は介護について、「私たちは親の面倒を見るつもりはない。老人ホームに入ってもらう」と断言。これに対し、別のユーザーも「自分たちで何とかすればいい」と賛同している。

この発言は、“自分の力で道を切り開け”と若い世代に言い続けてきたベビーブーマー世代の価値観を、皮肉を込めてそのまま返したものだという。また、ほかのユーザーからも、親世代への厳しい意見が相次いでいるとのこと。

  • 「親世代の多くは子どもを十分に支えてこなかった。それなのに、なぜ子どもが親を支えなければならないのか」
  • 「何世代にもわたって将来への希望や安定を奪っておきながら、老後の介護まで子ども世代に求めるのはブーマー世代くらい」
  • 「家や車を売って、自分たちの老後は自分たちで何とかすればいい。こちらが助ける理由なんてない」

現実では親を支えるミレニアル世代も

ネット上では「親の介護はしない」と強気な意見が目立つものの、実際の状況は異なるよう。人口問題を研究する『Population Reference Bureau』によると、高齢者を介護する家族介護者の数は、2011年の約1820万人から2022年には約2410万人へと増加。この時期は、ちょうどミレニアル世代の親が高齢化を迎え始めた時期と重なっているという。

さらに『Fortune』によれば、アメリカで家族の介護を担う人のうち、最も多いのは成人した子どもで、全体の約40%を占めているとのこと。つまり、ネット上では親世代への不満が噴出する一方で、現実では多くのミレニアル世代が親の介護を担っている実態があるよう。

MTStock Studio / Getty Images

住宅や株式の価格が大きく上昇した時代に資産形成を進めたことから、アメリカ史上でも最大規模の資産を保有する世代とされているベビーブーマー世代。次世代へ莫大な資産が引き継がれる「史上最大の富の移転」が起こるとも言われているものの、その恩恵をミレニアル世代が十分に受けられるとは限らないという。

不動産情報サイト『Realtor.com』は、この「史上最大の富の移転」は実際よりも過大に見積もられていると指摘している。同社の調査によると、ベビーブーマー世代が保有する約93兆ドル(約14,725兆円)の資産のうち、退職後の生活費や負債、税金、各種手数料などを差し引くと、今後20年間でX世代やミレニアル世代へ相続されるのは、約36兆ドル(約5,700兆円)にとどまる見込みだという。

さらに、多くのベビーブーマー世代は、自宅を子どもへ残すのではなく、老後の生活資金を確保するための資産として活用しており、期待されるほど多くの財産が次世代へ引き継がれない可能性があるとのこと。

日本も直面する介護問題

『厚生労働省』によると、2026年2月1日時点で総人口1億2,297万5,000人、65歳以上の人口は3,619万8,000人で、うち75歳以上の人口は2,144万人である日本。2025年に発表された『国民生活基礎調査』によれば、在宅の要介護者等がいる世帯の構成割合で最も多いのは「核家族世帯」の40.2%、次いで「単独世帯」が33.2%となっている。

また、2026年4月時点の『介護保険事業状況報告』によると、要介護(要支援)認定者数は738万人で、うち男性が237万3,000人、女性が500万7,000人となっており、第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合は、20.2%となっているとのこと。さらに2022年の調査では、雇用労働者のうち、55〜59歳の10人に1人以上が介護に直面しているという。

Adene Sanchez / Getty Images

介護を巡る価値観は国によって異なるものの、高齢化が進む日本でも、介護は多くの人にとって避けて通れない問題となりつつある。仕事と介護の両立や家族の在り方を含め、その負担を誰がどう支えるのかという議論は、今後さらに重要になっていくはず。

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