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孫の口座に“1,000万円”を送金した70代祖父母→「相続税がかからない」と思いきや…数年後、待ち受けていた“想定外の大誤算”

  • 2026.9.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで孫への資金援助や相続の相談を数多く受けてきた柴田です。

「孫のために、まとまったお金を非課税で渡せる制度」があります。

今回は、その制度を使った70代のAさんご夫婦が、あとになって税金の請求に直面したお話です。

「1,000万円まで非課税」に飛びついた

Aさん(70代女性)とご主人は、銀行で「結婚・子育て資金の一括贈与」という制度を知りました。祖父母や親が金融機関に専用口座をつくり、18歳以上50歳未満の子や孫に、1人あたり1,000万円まで非課税で資金を渡せる制度です。※

「相続税の対策にもなりますよ」という説明に背中を押され、ご主人の名義から、当時20代前半だったお孫さんの口座へ1,000万円を送金しました。「元気なうちに渡せてよかった」と、ご夫婦は満足していたそうです。

その後、お孫さんは結婚式と新居の費用、そして出産や保育料にこの口座を使いました。ただ、使った金額は合計で600万円ほど。400万円が口座に残ったまま、数年が過ぎました。そしてご主人が亡くなり、相続の手続きの中で、Aさんは思いがけない説明を受けることになります。

※ただし、結婚に際して支払うお金は300万円が限度で、受け取る側の前年の合計所得金額が1,000万円を超えると使えません。

使い残しは「相続財産に加算」され、さらに孫なら2割増し

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相談に来られたAさんに、私は制度の「出口」を整理してお伝えしました。

この制度には2つの関門があります。1つめは、贈与した人(今回のケースではAさんのご主人)が亡くなったときです。口座に使い残しがあれば、その残額は贈与した人の相続財産に加算され、相続税の対象になります。Aさんのケースでは、残っていた400万円がご主人の相続財産に足し戻されました。「生前に渡したから相続税がかからない」という当初の狙いは、使い残した部分については成立しないのです。

しかも、受け取ったのがお子さんではなくお孫さんの場合、相続税の2割加算が適用されます(お孫さんが代襲相続人である場合を除きます)。つまり、相続税が1.2倍になるということです。

2つめの関門は、贈与を受けた人が50歳に達したときです。その日に口座は終了し、使い切れずに残った金額があれば、その年に贈与があったものとして贈与税がかかります。しかも令和5年4月1日以後に受けた分については、親子や祖父母孫の贈与で使える有利な「特例税率」ではなく、一般の税率が適用されます。

ここは誤解されやすいのですが、2つの関門で同じお金に二重の税金がかかるわけではありません。契約が終了したときの贈与税の計算では、すでに相続税の対象になった残額は差し引かれる決まりです。Aさんのケースでいえば、相続税がかかった400万円に、あとから贈与税まで課されることはありません。

とはいえ、裏を返せばこういうことです。贈与した人が元気なまま受贈者が50歳を迎えれば、今度は使い残しに贈与税がかかる。先に亡くなれば相続税がかかる。どちらに転んでも、使い切れなかったお金には税金がついてくるのです。個人的には、「手続きが面倒なうえに複雑なので、何とかならないかな〜」と感じる制度です。

そもそも都度渡せば非課税だった!

私がもう一つお伝えしたのは、この制度を使わなくても済んだ可能性です。

そもそも、親や祖父母などの扶養義務者が、必要になった都度、生活費や教育費として渡すお金は、贈与税がかかりません。結婚式の費用や出産費用も、必要なタイミングで実費を出してあげれば、この特例を使わなくても非課税で渡せた可能性が高いのです。今回のケースでは、わざわざ専用口座に1,000万円を囲い込んだことで、「使い切る」という宿題を背負ってしまったわけです。

なお、よく似た制度に「教育資金の一括贈与」(最大1,500万円)がありましたが、こちらは令和8年3月31日で期限を迎え、令和8年4月1日以後は新たに利用できなくなりました。結婚・子育て資金のほうは令和9年3月31日まで延長されていますが、いつまでもある制度ではありません。

まとめ

「結婚・子育て資金の一括贈与」は、制度そのものが悪いわけではありません。使い道がはっきりしていて、確実に使い切れる見通しがあるなら、有効な資産移転の選択肢です。

すでに口座を作って使い残しがある方は、お孫さんの結婚や出産、保育料など、制度の対象になる支出を早めに拾っていくことが先決です。これから検討する方は、まず「都度贈与で足りないか」を考えてみてください。Aさんは「知っていれば、その都度出してあげたのに」と繰り返していました。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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