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100万分の1頭の奇跡「白いバイソン」の誕生を米アイオワ州で確認

  • 2026.5.11
Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

米アイオワ州にあるニール・スミス国立野生生物保護区で、非常に珍しい「白いバイソン」の子どもが確認されました。

生まれたばかりのバイソンは通常、赤褐色の毛をしていますが、今回の子バイソンは淡い白色の毛並みをしていました。

アメリカ国立公園局によると、白いバイソンが野生で生まれる確率は約100万頭に1頭とされます。

ただ珍しいだけではありません。

白いバイソンは、多くのネイティブ・アメリカンの民族にとって神聖な存在とされてきました。

今回の誕生は、一頭の珍しい動物が生まれたニュースであると同時に、かつて絶滅寸前まで追い込まれたバイソンと、失われた草原生態系を取り戻す保全活動の象徴的な出来事でもあります。

目次

  • 100万頭に1頭の白い子バイソンが生まれた
  • 絶滅寸前だったバイソンと、失われた草原を取り戻す取り組み

100万頭に1頭の白い子バイソンが生まれた

ニール・スミス国立野生生物保護区の職員が、この白い子バイソンを初めて確認したのは4月30日のことです。

保護区では、この春すでに9頭の子バイソンが生まれており、白い子バイソンもそのうちの1頭として、ほかの新生児たちとともに草原を歩き回っています。

通常、生まれたばかりのバイソンは赤褐色の毛をしており、そのさび色がかった見た目から「レッドドッグ」と呼ばれることもあります。

子バイソンは生後10〜30分ほどで母乳を飲み始め、数時間のうちに歩いたり走ったりできるようになるとされています。

その中で、淡い白色の毛を持つ今回の子バイソンは、草原の中でもひときわ目立つ存在です。

保護区もフェイスブックへの投稿で、「自然は驚きをやめることがありません」と述べ、成長とともにどのような毛色へ変わっていくのか注目していると伝えています。

https://www.facebook.com/plugins/post.php?href=https%3A%2F%2Fwww.facebook.com%2FDesMoinesRegister%2Fposts%2Fpfbid0XNtTpLoEekArKzb9LG4sJLrVjkmuNiRfxkjATHnZb79Wge9o5Wx32GpbdEUc8MRVl&show_text=true&width=500

白いバイソンは、スー族、チェロキー族、ナバホ族、ラコタ族、ダコタ族など、多くのネイティブ・アメリカンの民族にとって神聖な存在とされています。

その背景には「白いバッファローの子牛の女」、またはプテサン・ウィと呼ばれる伝承があります。

この物語は世代を超えて語り継がれてきた神聖な話であり、白いバイソンの誕生は、調和や精神性、そして良い時代の訪れを示す希望のしるしと考えられてきました。

そのため今回の誕生は、単に珍しい毛色の動物が生まれたというだけでなく、文化的にも深い意味を持つ出来事なのです。

絶滅寸前だったバイソンと、失われた草原を取り戻す取り組み

バイソンは北アメリカ最大の陸上動物です。

かつてバイソンは、北アメリカに数千万頭規模で生息し、巨大な群れを作って草原を移動していました。

特に先住民文化にとって、バイソンは食料や生活資源であるだけでなく、精神的・文化的にも重要な存在でした。

しかし1800年代、アメリカ西部への進出が進む中で、バイソンは組織的な大量殺戮と生息地の喪失によって激減しました。

アメリカ魚類野生生物局によると、1889年にはアメリカ西部の一部に数百頭の野生バイソンが残るのみとなっていたとされています。

通常のバイソンの子は赤毛が目立つため「レッドドッグ」と呼ばれる/ Credit: ja.wikipedia

その後、20世紀初頭から保全用の群れが作られ、長い保全活動によって個体数は少しずつ回復しました。

現在では、北アメリカの保全群に約2万500頭、商業群に約42万頭のバイソンがいるとされています。

今回の白い子バイソンが生まれたニール・スミス国立野生生物保護区も、こうした回復の現場の一つです。

同保護区では1992年以降、かつて農地だった土地を、アイオワ州本来の草原やサバンナへ戻す大規模な再生事業が続けられています。

現在は、およそ5600エーカーの草原とサバンナが管理されており、在来植物の種まき、計画的な野焼き、外来種の除去、バイソンやエルクの再導入などが行われています。

バイソンは、この草原再生において重要な役割を担っています。

草を食べることで特定の植物が広がりすぎるのを防ぎ、体に付いた種子を運び、地面を転げ回る行動によって土壌にも変化を与えます。

つまりバイソンは、ただ保護される動物ではなく、草原そのものを形づくる一員なのです。

今回誕生した白い子バイソンは、保護区の800エーカーの囲い地の中で、ほかの群れとともに草原を歩いています。

その姿は、かつて失われかけた北アメリカの生態系が、少しずつ息を吹き返していることを感じさせます。

参考文献

One-in-a-million white bison calf born in Iowa
https://www.popsci.com/environment/white-bison-calf-born-in-iowa/

Rare White Bison Calf Born At Iowa Wildlife Refuge
https://www.discovermagazine.com/rare-white-bison-calf-born-at-iowa-wildlife-refuge-49077

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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