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時給1,200円に上がった40代女性→「月8.8万円を超えてしまう」シフトを減らそうとするが…FP相談で知った“26年10月の改正”

  • 2026.9.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

パートの収入を調整するとき、「月8.8万円を超えないようにしよう」と考える人は少なくありません。

ただ、この金額だけを頼りにシフトを減らすと、結果として収入だけが少なくなってしまう場合があります。社会保険への加入は、月の賃金だけで決まる仕組みではないためです。

さらに2026年10月には、「所定内賃金が月8.8万円以上」という条件が撤廃されます。時給が上がったことをきっかけに、勤務時間を減らそうとしていた47歳のYさんも、この変更を知らずに働き方を見直そうとしていました。

時給1,200円にアップ、でもYさんが喜べなかった理由

Yさんは47歳。スーパーでパート勤務をしています。夫は会社員で、家事とのバランスを取りながら働いてきました。勤務契約は週18時間で、実際に働く時間も週20時間を下回っています。

会社全体では、企業規模の判定に使われる厚生年金保険の被保険者が約80人。通常の従業員は週40時間勤務です。これまでの時給は1,100円でした。週18時間働くと、月額換算では約8万5,800円です。

Yさんが気にしていたのは、この金額よりも「8.8万円を超えるかどうか」でした。以前、同僚から「8.8万円を超えると社会保険に入る」と聞いたことがあり、それ以降は収入を増やしすぎないようにしていたといいます。

人手が足りない日に出勤を頼まれても、8.8万円を超えそうなら断ることもありました。そんなYさんに、勤務先から時給を1,200円へ上げるとの話がありました。

同じ週18時間でも、月額換算では約9万3,600円になります。Yさんにとっては約7,800円の増加です。ところが、「収入が増える」と喜ぶより先に、「これでは月8.8万円を超えてしまう」という不安が出てきました。そこで考えたのが、働く時間を減らす方法です。

週18時間から16時間半へ…年間では約9万円の差

Yさんは、週18時間だった勤務を16時間半ほどにすればよいのではないかと考えました。時給1,200円で週16時間半なら、月額換算は約8万5,800円です。

再び8.8万円より下にできます。ただ、年間で見ると差は小さくありません。週18時間のままなら約112万円。16時間半に減らすと約103万円となり、年間では約9万円少なくなります。

Yさんは、それでも社会保険に入らずに済むなら仕方がないと思っていました。一方、「また時給が上がったら、さらにシフトを減らすのか」という疑問も残ります。

そこで働き方についてFPに相談した際、確認されたのは月額ではなく、まず勤務契約の時間でした。Yさんは週18時間です。ここでYさんが見落としていたのは、8.8万円が社会保険加入を決める唯一の基準ではないという点でした。

短時間労働者の場合、「週の所定労働時間が20時間以上か」など、複数の条件を確認します。

Yさんは、「金額ばかり気にしていました」と話しました。しかも2026年10月からは、これまで意識していた月8.8万円以上という賃金要件自体がなくなります。

2026年10月、「8.8万円の壁」の見方が変わる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

賃金要件が撤廃されても、パートやアルバイト全員が社会保険へ入るわけではありません。

2026年10月から、原則として企業規模要件の対象となる厚生年金保険の被保険者が51人以上の企業等で働く短時間労働者について、「週の所定労働時間が20時間以上」「学生ではない」「2か月を超えて雇用される見込みがある」といった条件を確認する必要があります。

また、通常の従業員と比べ、週の所定労働時間と月の所定労働日数がともに4分の3以上なら、別の基準で加入対象になります。

Yさんの場合、通常の従業員が週40時間の職場で、契約は週18時間です。つまり、月額換算で9万円を超えたからといって、それだけを理由に加入が決まるわけではありません。

「金額だけでシフトを決めない」こと

Yさんは、8.8万円を下回るために年間約9万円の収入を手放そうとしていました。

しかし、確認すべきなのは月の賃金だけではありませんでした。勤務契約が週何時間なのか、勤務先がどの規模に当たるのか、自分がほかの加入条件を満たしているのかまで見たうえで判断する必要があるのです。

なお、ほかの加入要件を満たす人は、契約上20時間未満でも、実際の労働時間が2か月続けて週20時間以上となり、その状態が続く見込みなら、3か月目の初日から加入対象となる場合があります。

時給が上がったときに、すぐシフトを減らす必要があるとは限りません。

「8.8万円以内にするには何時間減らすか」から考えるのではなく、まず自分がどの加入条件に該当するのかを確かめる。この順番で考えることが、不要な働き控えを避けるうえで大切です。

※事例はプライバシー保護のため、相談内容の一部を変更しています。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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